筋トレには良質なタンパク質の摂取が必要と言われるが・・・。

人間の体の多くは、タンパク質からできています。もちろん筋肉もタンパク質からできていますね。

スロートレーニングをする理由は、ダイエットや筋力アップなど人それぞれでしょうが、いずれの場合でも、筋肉を付けることが目標となります。スロトレで筋肉に負荷をかけた後、超回復で筋肉が太くなるには、タンパク質が必要になります。

そのため、筋肉を付けるためには、良質なタンパク質の補給が必要と言われます。

ところで、良質なタンパク質とはいったいどのようなタンパク質なのでしょうか?

良質なタンパク質は抽象的な表現

良質なタンパク質という表現は、とても抽象的です。

テレビを見ていると、健康や美容の専門家が出演していることがありますが、その人たちが良質なタンパク質という言葉を使っている場合、どういう理由で、それが良質なタンパク質なのかといった説明がありません。

それらの専門家が、良質なタンパク質の代表のように挙げるのが、納豆などの大豆です。おそらく、大豆が体に良いという情報を聞いたことがある人は多いと思います。

でも、大豆がどうして良質なタンパク質なのかを説明している人は少ないように思います。私も大豆は良質なタンパク質だと思っていますが、それがなぜ良質なのかを人に説明することはできません。

大豆は脂質が少ないとか、いろいろ理由はあるのでしょうが、納得のいく理由を聞いたことがないような気がしますね。

その他にも牛肉やマグロなど、タンパク質を多く含む食材はありますが、どれがどういう理由で優れたタンパク源なのか、はっきりとしたことをテレビで言っている人は少ないように思います。

プロテインスコアが高い食材が良質なタンパク質

良質なタンパク質については、分子栄養学の提唱者の三石巌先生が、その著書「医学常識はウソだらけ」のなかで、プロテインスコアが高い食材が良質なタンパク質であると述べています。

人間の体には、20種類のアミノ酸が必要であり、これらを様々な順序で並び替えたものがタンパク質です。私達が摂取したタンパク質にはアミノ酸が含まれていて、それらが体内で必要な形に並べ替えられます。

20種類のアミノ酸のうち9種類は不可欠アミノ酸(必須アミノ酸)と呼ばれ、人間の体で作ることはできません。だから、不可欠アミノ酸は食事の中で補給するしかないんですね。

ここまで言えば、何が”良質”タンパクかは、もうおわかりだろう。

人体に必要な九種類の不可欠アミノ酸を、人体が求めるのと同じ比率でふくんでいるのが、良質タンパクである。私はこれを、一〇〇点満点のタンパク質という意味で「プロテインスコア一〇〇のタンパク質」と呼んでいる。含んでいるアミノ酸の中身によっては、プロテインスコア八〇程度のタンパク質もあれば、プロテインスコア五〇ぐらいしかないタンパク質もある。(133ページ)

これは、なかなかわかりやすいですね。タンパク質の良質度を人体が必要とする比率で不可欠アミノ酸を含んでいるかどうかで判断するのですから。

同書の137ページにプロテインスコアの高い食材を記した表が掲載されていますので、その中の上位10品目を以下に列挙します。

  1. 卵=100
  2. サンマ=96
  3. イワシ=91
  4. マトン=90
  5. 豚肉=90
  6. カジキ=89
  7. アジ=89
  8. 鶏肉=87
  9. イカ=86
  10. そば=85

これを見てもらえばわかりますが、プロテインスコアという視点から見た良質なタンパク質は卵ということになります。しかも卵は100点満点です。積極的に食べた方が良い食材ということになりますね。

そして、テレビでよく聞く良質なタンパク質の代表である大豆はというと、プロテインスコアが56しかありません。納豆の場合は55です。プロテインスコアという視点では、大豆も納豆も良質なタンパク質とは言えませんね。

卵はコレステロールが高いので、食べすぎは体に良くないと言われますが、三石先生によれば、そもそもコレステロールは人間の細胞を作るのになくてはならないものだそうです。さすがに卵ばかりを食べすぎるのは良くないのかもしれませんが、良質なタンパク質の補給のためには、控える必要のない食材でしょう。

1日のタンパク質の摂取量はどれくらいが望ましい?

良質なタンパク質がどのようなものなのかわかりました。では、1日にどれくらいの量を摂取すればよいのでしょうか?

三石先生によれば、体重の1/1000の良質タンパクの摂取が必要ということです。体重50kgなら50gということですね。なお、先ほど紹介した「医学常識はウソだらけ」の中では、タンパク質10g摂取するのに必要な量についても掲載されていましたので抜粋します。

  1. 卵=79g
  2. サンマ=52g
  3. イワシ=63g
  4. マトン=68g
  5. 豚肉=83g
  6. カジキ=48g
  7. アジ=56g
  8. 鶏肉=55g
  9. イカ=68g
  10. そば=357g

これを参考に自分の体重の1/1000のタンパク質を補給すれば良さそうですね。

ただ、人間が1回の食事の中で補給できるタンパク質は20gから40gといわれています。なので、1食でまとめて必要なタンパク質を補給しようとしても無理ということになります。

完全栄養からは卵とイワシが優れている

テレビによく出演されている医師の南雲吉則先生が提唱する完全栄養は、ひとつのものを丸ごと食べるというものです。食材を丸ごと食べることで、その食材に含まれる栄養を全て補給できるという考え方ですね。

この考え方をプロテインスコアの高い食材に当てはめると、丸ごと食べることができる食材は、卵、イワシ、アジ、イカあたりになりますね。一方、豚肉、カジキ、鶏肉なんかはプロテインスコアは高いですが、1匹丸ごと食べることはできないので、完全栄養という面では卵や小魚ほど優れた食材とは言えません。

テレビで良質なタンパク質という言葉が出てきた場合、その良質度はいったい何を根拠にしているのかを意識することが大切かもしれません。不可欠アミノ酸をバランスよく含んでいるタンパク質なのか、脂質が少ないタンパク質なのか、視点が違えば、良質かどうかの考え方も違ってきますからね。

ただ、私は、三石先生の言うプロテインスコアの高いタンパク質の補給が大事だと思いますけどね。

なお、1日に食べなければならない必須アミノ酸の量については以下の記事にまとめています。

参考文献