タンパク質が先!野菜や食物繊維から先に食べるのは間違っている

巷には、明らかに間違ったダイエット法や美容法が、まかり通っていることがあります。

その典型が、食べる順番ダイエットです。食べる順番ダイエットというのは、最初に野菜や食物繊維を食べて、その次にタンパク質、最後に炭水化物(糖質)を順番に食べることで痩せられるというもの。

でも、こんな食べ方は、栄養補給という面で非常にもったいないです。

血糖値と食べ物の関係を知らないのでは?

食べる順番ダイエットを誰が考えたのか知りませんが、おそらく、考案者は食べ物と血糖値の関係を知らないのでしょう。

糖質、脂質、タンパク質は三大栄養素と言われていますが、この中で血糖値を上げるのは糖質です。だから、血糖値を上げたくないのなら、食べる順番を考える前に糖質の摂取を控えることが大切です。

そもそも、糖質は三大栄養素と言われていますが、食べ物から補給しなくても、糖新生と言って、自分の体で造りだすことができます。だから、本来、三大栄養素という言葉自体がおかしいんですよね。

糖質を摂取すると太るのは、血糖値が上がった時に膵臓からインスリンが追加分泌されて、血糖を脂肪に変えて体に蓄積してしまうからです。

食べる順番ダイエットで、最初に野菜や食物繊維を食べるのは、栄養の吸収を悪くすることが狙いです。栄養の吸収が悪くなっている状態だと、糖質の吸収が阻害されるので、血糖値が上がりにくくなります。そうすると、インスリンの追加分泌を抑えることができるので、脂肪が蓄積しにくいんですね。

この仕組みを知ると、最初に野菜や食物繊維を食べるのは、ダイエットに効果的だと思うでしょうが、血糖値を上げるのは糖質だけなのですから、タンパク質や脂質よりも先に野菜や食物繊維を食べる理由はありません。

むしろ、タンパク質には必須アミノ酸、脂質には必須脂肪酸という人間が生きていくためには、食べ物から絶対に補給しなければならない栄養素が含まれていますので、この必須の栄養素の吸収まで食物繊維に阻害されるのは問題です。

きっと、食べる順番ダイエットの考案者は、タンパク質や脂質も血糖値を上げると思っていたのでしょうね。だから、最初に野菜や食物繊維を食べるべきだと言ったのでしょう。

食物繊維は血糖値の上昇を遅らせるだけ?

医師の牧田善二先生の著書「糖尿病はご飯よりステーキを食べなさい」に興味深いことが書かれています。

糖質を摂取した後は、血糖値が上がっていき、インスリンの追加分泌により、時間が経つと下がります。なので、食べ始め後1時間の血糖値よりも食べ始め後2時間の血糖値の方が低くなるのが一般的です。

牧田先生の著書の中で、ある患者さんの食べ始め後1時間と2時間の血糖値を比較した棒グラフが掲載されており、例えば、あんみつを食べて1時間後の血糖値は209、2時間後は117となっています。ざるそばは1時間後で207、2時間後で160となっていますし、和風ハンバーグ白米180gでは1時間後が235、2時間後が131です。

他にも糖質が含まれている食事について、1時間後と2時間後の血糖値が記されており、基本的には2時間後の方が血糖値が低くなっているのですが、カレー、白米150gを食べた時だけ1時間後が121、2時間後が189と逆転しています。これに対して、牧田先生は以下のように推測しています。

カレーライスを食べたときは、なぜか食べ始め後二時間経ってからのほうが血糖値が高くなった。おそらくこれは、野菜など繊維質が多く含まれていたために、炭水化物の消化に時間がかかり、血糖値の上昇までに若干時間がかかったのだと思われる。(99ページ)

この説明を読むと、食物繊維は糖質の吸収を遅らせているだけでしかないように思えますね。結局、摂取した糖質は、体に吸収され、余分な糖質は脂肪として体に蓄えられるということなのでしょう。

良質なタンパク質から最初に食べる

食物繊維が、栄養の吸収を阻害するのか遅らせるのか、どちらなのかは、科学者でない私には、検証することができません。

でも、どちらの場合にしても、絶対に補給しなければならないタンパク質と脂質は、食物繊維よりも先に食べた方が良いでしょう。特にタンパク質については、良質なものから順に食べるべきだと、私は考えています。

と言うのも、タンパク質は1回の食事で20~40gしか吸収できないとされているからです。

これが事実なのかどうかはわかりません。ただ、空きっ腹に最初に入れた食べ物ほど、栄養の吸収が良さそうですから、良質なタンパク質から先に食べた方が、しっかりと必須アミノ酸を補給できるのではないでしょうか。

このように考えると、タンパク質の良質度を表すプロテインスコアが100点満点の卵から、最初に口にするべきです。サンマ、イワシ、豚肉、鶏肉、牛肉が比較的プロテインスコアが高いので、卵の次は、これらの食品を食べるべきです。

タンパク質を補給すれば、多くの場合脂質も補給できるので、必須脂肪酸も摂取できているでしょう。そして、タンパク質を食べた後に野菜を食べて終了です。

「米は食べないの?」

と思うでしょうが、私は、糖質を制限しているので、米は食べません。当然、糖質が多く含まれているパンや麺類も食べませんし、小麦粉自体も極力口にしないようにしています。果物も糖質が多いので、それほど食べませんし、芋も基本的に食べません。レンコンやゴボウも、そこそこ糖質の量が多いのですが、1回の食事で食べる量がそれほど多くないので、これらは、あまり気にせず食べています。

当然、砂糖も食べませんよ。

糖質は、必須の栄養素ではないので、食べなくても何の問題もありません。むしろ、食べた方が、体が疲れやすくなりますし、何より肥満や成人病の原因になるので、食べないに越したことはありません。

しかも、糖質を制限するようになってから、お腹周りの贅肉がなくなりましたから、ダイエット効果も抜群です。

糖質制限を始めて、本来、人間は、お腹周りに脂肪が付かない生き物だということがわかりましたよ。

また、白米にはビタミンとミネラルが乏しいことにも気づきました。日頃から糖質が多く含まれている食品ばかりを食べていると、ビタミンもミネラルも不足しがちになるので、しっかりと栄養を補給するために米、パン、麺類など糖質過多の食品を控えた方が良いですね。

参考文献