GI値を意識した食事はお酒を一気飲みするか少しずつ飲むかと同じ発想

ダイエットに限らず、体全体の健康のことを考えると、血糖値が上昇する食事は控えるべきです。

具体的には、米、パン、麺類、イモ類、砂糖など、糖質が多く含まれている食品を食べると血糖値が上がってしまうので、こういった食品を毎日3回食べるのは好ましくありません。糖質が多く含まれている食品は、一切口にしないのが理想ですが、なかなかやめられないという人も多いでしょう。だから、1日1食だけでも米、パン、麺類を一切食べないようにすることから始めるのが簡単です。

そして、糖質が含まれていても血糖値の上がり方が緩やかな食品があるので、糖質を摂取する場合は、血糖値が急激に上がりにくい食品を食べるのが良いと言われています。

GI(グリセミックインデックス)値の低い食べ物

上述したように糖質が多いものを食べると血糖値が上がります。

高血糖は体に負担がかかるので、すい臓からインスリンが追加分泌され、正常な範囲まで血糖値を下げます。この時、インスリンは血糖を脂肪に変えて体に取り込みます。だから、糖質の多いものを食べると脂肪がつきやすくなり、それが肥満の原因となるのです。

脂質の多い食事をすると太ると勘違いしている方が多いですが、脂質よりも糖質を摂取した方が圧倒的に太りやすいのです。

また、糖質の多い食事をして血糖値を上げ、それをインスリンが下げるということを頻繁に行っていると、やがてインスリンの効きが悪くなったり、すい臓が疲れてインスリンの分泌が悪くなったりします。こうなると、高血糖の状態が継続してしまいます。この高血糖が持続する状態が糖尿病です。

だから、肥満や糖尿病の予防のためには、糖質を多く含む食べ物を頻繁に食べるべきではないのです。

急激に血糖値が上がるとインスリンが大量に分泌されることから、糖質が含まれていても血糖値が一気に上がりにくい食べ物を食べることが推奨されています。そして、血糖値の上がりやすさを数値化したものをGI(グリセミックインデックス)値といいます。

同志社大学医学部教授の米井嘉一先生の著書「早く老ける人、老けない人」に日本医学出版の「糖尿病キーワード改訂第2版」に掲載されている各食品のGI値を示した表が載っていたので、以下に示します。

各食品のGI(グリセミックインデックス)値

上の表は、グルコース(ブドウ糖)を摂取した時の血糖値の上がる早さを100%とした場合、それ以外の食品がどの程度のスピードで血糖値を上げるかを表しています。

ニンジンは急速に血糖値を上げそうなイメージはないですが、GI値が80~89%となっていますね。白米も70~79%で高めです。血糖値を急激に上げにくいと言われている玄米でも60~69%で白パンと同じなのですから、血糖値の観点から見ると、健康に良い食べ物とは言えませんね。

豆類は比較的GI値が低く大豆とピーナッツは10~19%と最も低くなっています。

GI値はまやかし

GI値のことを知ると、健康に良い食生活を送るためにGI値の低い食品を中心に食べようと思ってしまいます。

でも、GI値が高くても低くても糖質を摂取することには変わりありません。テレビ番組を見ていると、GI値の低い食品、例えば精製されていない食品は健康に良いと紹介されることがありますが、非常に怪しい情報です。

そもそも血糖値が上がりやすいとか上がりにくいとかいう以前に糖質を摂取していることが問題なのです。でも、GI値が低い食品は健康に良いと述べている方々は、糖質は人間が生きていくために必ず摂取しなければならない栄養だと思い込んでいるのでしょう。だから、糖質を摂取しないように指導するのではなく、GI値が低い食品を食べることを推奨しているのだと思います。

GI値というのは、お酒の飲むスピードと同じです。

よく春になると大学1年生が急性アルコール中毒になって、救急車で病院に搬送されたなんていう記事を読むことがあります。記事の内容を詳しく読んでいくと、先輩にビールの一気飲みを強要されたことが原因だと書かれていたりします。

ビールを一気飲みすれば肝臓への負担が大きくなるでしょう。でも、ビールを少しずつちびちびと飲んでいれば健康に良いということではないですよね。一気飲みしようが、ちびちび飲もうが、同じ量だけビールを飲めば肝臓が処理しなければならないアルコールの量も同じなわけです。

GI値の発想は、お酒を一気飲みせず少しずつ飲みましょうと言うのと変わりません。

GI値の低い食品から糖質を100グラム摂取するのと、砂糖を10グラム食べるのなら、普通に考えれば砂糖10グラムの方が糖質摂取量が少ないので、体への負担は少なくて済むはずです。でも、GI値を重視する人たちは、砂糖10グラムよりもきっと1日2食玄米を食べて糖質100グラム摂取する方が健康的だと言うでしょうね。

騙されてはいけませんよ。

GI値を意識する前に糖質の摂取量を意識すべきなのです。

その上で、GI値を参考にするべきなのですが、そもそも糖質制限をしていればGI値を見なくても良いですし、知る必要もありません。

ビールを一気飲みするよりも、ちびちび飲めば健康的だなんて言うよりも、ビールを飲まない方が健康に良いことは誰だってわかっています。結局、GI値はまやかしに過ぎないのです。

参考文献