レバーはビタミンとミネラルの宝庫

美容のためにはビタミンとミネラルをしっかりと摂取することが大切だと言われます。ビタミンは野菜に豊富に含まれており、ミネラルは海藻類に多く含まれているとされていますね。

確かに海藻にはミネラルが豊富に含まれている傾向がありますが、野菜にビタミンが多く含まれているというのは鵜呑みにしてはいけません。そもそもビタミンは、肉や魚にも含まれていますし、その量は野菜よりも多いです。ビタミンCは動物性食品にはあまり含まれてないので、野菜から摂取した方が良いですが、その他のビタミンやミネラルに関しては肉類、特にレバーから補給するのがおすすめです。

レバーはビタミンB群が豊富

まず牛、豚、鶏のレバー100グラムに含まれるビタミンを見てみましょう。

下の表は、カロリーSlismと栄養学博士の川島由起子先生監修の「カラー図解 栄養学の基本がわかる事典」を参考に作成したものです。1日目安と1日上限は、30歳から49歳の女性を対象としたものです。また、1日目安は、推定平均必要量、目安量、推奨量の中から最も多いもの、どれか一つしかわからなかったものを記載しています。

レバー100グラムに含まれるビタミン
ビタミン 1日目安 1日上限
A(㎍) 700 2,700 1,100 13,000 14,000
D(㎍) 5.5 100 1.3 0.2
E(㎎) 6.0 700 0.3 0.4 0.4
K(㎍) 150 1 14
B1(㎎) 1.1 0.22 0.34 0.38
B2(㎎) 1.2 3.0 3.6 1.8
ナイアシン(㎎) 12 250 13.5 14.0 4.5
B6(㎎) 1.2 45 0.89 0.56 0.65
B12(㎍) 2.4 52.8 25.2 44.4
葉酸(㎍) 240 1,000 1,000 810 1,300
パントテン酸(㎎) 4 6.4 7.2 10.1
ビオチン(㎍) 50 76.1 79.6 232.4
C(㎎) 100 30 20 20

上の表で、赤字になっている数字は1日目安を超えているもの、赤太字になっている数字は1日上限に達しているものです。

これを見ればわかるようにどのレバーも、ビタミンB群(B1、B2、ナイアシン、B6、B12、葉酸、パントテン酸、ビオチン)が、とても豊富です。

よくお肌の美容には、ビタミンCとEが大切だと言われますが、強い肌を作るためにはビタミンB群の方が重要です。ナイアシンは肌のビタミンと呼ばれていますし、パントテン酸は副腎皮質ホルモンの合成に関わっています。また、ビオチンは細胞分裂に関与するので皮膚や粘膜の健康維持に欠かせません。

B1は糖質代謝、B2は脂質代謝、B6はアミノ酸代謝と関わっているので、三大栄養素をしっかりとエネルギー利用し肥満を予防するためには、これらも多く摂取する必要があります。

したがって、美容やダイエットを意識するのなら、ビタミンB群をしっかりと補給すべきです。

ミネラルは亜鉛と鉄が豊富

次にレバーに含まれるミネラルを見ましょう。

レバー100グラムに含まれるミネラル
ミネラル 1日目安 1日上限
ナトリウム(㎎) 600 2,756 55 55 85
カリウム(㎎) 2,600 300 290 330
カルシウム(㎎) 650 2,500 5 5 5
マグネシウム(㎎) 290 17 20 19
リン(㎎) 800 3,000 330 340 300
鉄(㎎) 10.5 40 4 13 9
亜鉛(㎎) 8 35 3.8 6.9 3.3
銅(㎎) 0.8 10 5.3 1.0 0.32
マンガン(㎎) 3.5 11 0.33
ヨウ素(㎍) 130 3,000 4 1 1
セレン(㎍) 25 350 50 67 60
クロム(㎍) 10 1
モリブデン(㎍) 25 450 94 120 82

レバーに含まれているミネラルの中では、亜鉛と鉄が割と豊富です。

これらのミネラルは、食事からの補給が難しいので、レバーはなかなか優秀な食材と言えます。また、亜鉛は牛肉にも豊富に含まれているので、積極的に食べたいですね。

亜鉛が肌にとって大切なのは、細胞分裂と深く関わっているからです。亜鉛はジンクフィンガーと呼ばれるタンパク質の成分としてDNA複製に欠かせません。なので、亜鉛が不足すると細胞分裂が正常に行われなくなります。皮膚や粘膜は活発に細胞分裂を行っていますから、亜鉛不足は肌の健康を損ねる原因となるので、しっかりと補給しておきたいですね。

ビタミンとミネラルの欠乏症

以下にビタミンとミネラルの欠乏症をまとめておきました。心当たりのある症状がみられる場合には、ビタミンとミネラルが不足している可能性がありますので、毎日の食事からしっかりと補給するようにしましょう。

ビタミンとミネラルの欠乏症
ビタミン 欠乏症
A 夜盲症、角膜乾燥症、細菌感染症、皮膚角質化
D くる病・成長障害、骨軟化症、骨粗しょう症
E 動脈硬化、高脂血症、血栓症、感染症
K 新生児メレナ、突発性乳児ビタミンK欠乏症
B1 脚気、ウェルニッケ脳症、肥満、慢性疲労、肩こり、食欲不振、倦怠感、筋力低下
B2 口内炎、口角炎、脂漏性皮膚炎、脱毛症など皮膚粘膜疾患、成長障害、粘膜・皮膚・目の炎症、ニキビ
ナイアシン ペラグラ症(皮膚炎、神経障害、不安症)、舌炎症
B6 成長の抑制や体重の減少、てんかん様けいれん、湿疹、口角炎、脂漏性皮膚炎、舌炎、小赤血球性貧血、動脈硬化、関節炎、感染症
B12 悪性貧血、高ホモシステイン尿症、高ホモシステイン血症、睡眠障害、知覚障害、食欲不振、倦怠感、メチルマロン酸欠症、染色体異常、関節炎
葉酸 巨赤芽球性貧血、口内炎、肌の炎症、高ホモシステイン血症、胎児の神経管閉鎖障害
パントテン酸 免疫力やストレス耐性の低下、動脈硬化、成長障害、体重減少、皮膚炎、毛髪が不健康になる
ビオチン 皮膚炎、脱毛、粘膜の炎症、筋肉痛、倦怠感、疲労感、神経障害、インスリン分泌不足
C 壊血症
ミネラル 欠乏症
ナトリウム 血圧低下、脱水症、低ナトリウム血症
カリウム 疲労の持続、低カリウム血症、筋力低下、心肺機能の低下
カルシウム 骨軟化症、骨粗しょう症
マグネシウム 神経興奮、不整脈、虚血性心疾患、疲労感、こむら返り、筋肉のけいれん、めまい、イライラ
リン 通常は欠乏症の心配なし。
鉄欠乏性貧血、疲労感、忘れっぽくなる
亜鉛 慢性の下痢、成長障害、性腺発育障害、皮膚障害、味覚障害
貧血、白血球・好中球の減少、コレステロール・糖質代謝異常
マンガン 皮膚炎、骨代謝や糖質・脂質の代謝低下、運動機能失調
ヨウ素 クレチン症など精神遅滞や成長発達異常、胎児の先天性甲状腺機能低下症、死産、流産
セレン ケシャン病、成長障害、肝臓障害、筋肉異常、関節炎、不妊症、免疫低下
クロム 耐糖能の低下、運動失調、神経障害、体重減少
モリブテン プリン体代謝障害

ビタミンAの過剰症

もう一度、レバーに含まれるビタミンの表を見てもらうとわかりますが、豚レバーと鶏レバーはビタミンAが1日上限をはるかに超えるほどの量が含まれています。また、葉酸についても、牛レバーと鶏レバーが1日上限に達しています。

葉酸は極端な大量摂取で発熱、じんましんなどの葉酸過敏症を起こす危険がありますが、レバーを毎日食べなければ問題ありません。

でも、ビタミンAは豚レバーと鶏レバーにかなりの量が含まれているので過剰症の心配があります。ビタミンAの過剰症は、吐き気、脱毛、筋肉痛、皮膚の落屑(らくせつ)、頭痛、皮膚のかゆみ、関節の痛みといった症状が出るので、これらの症状が出たらビタミンA過剰症の可能性があります。

ビタミンAは肝臓に貯蔵できるので、毎日補給しなくても問題ありません。食い溜めができるということですね。でも、食い溜めができるからこそ体内に蓄積して過剰症になる危険があるのでしょう。

しかし、ビタミンAの過剰症はそれほど気にしなくても問題なさそうです。分子生物学の三石巌先生の著書「医学常識はウソだらけ」によると、10万マイクログラムのビタミンAを毎日摂取した、一時に100万マイクログラム以上のビタミンAを摂取した時に過剰症が発生したようです。1日上限が2,700マイクログラムなので、普通では考えられない量のビタミンAを摂取していたということですね。

また、サプリメントなどの合成のビタミンAは体に蓄積しやすいので、ビタミンAの補給は天然のものにした方が良いでしょう。

ただ、毎日10万マイクログラム以上のビタミンAを摂取し続けても過剰症が出ないケースもあったそうです。

ビタミンAには、界面活性作用という脂を溶かす石鹸のような作用がある。それが細胞膜を不安定にして過剰症の原因になるわけだが、ビタミンAが血中にあるときにタンパク質と結合していれば、この界面活性作用が消えてしまう。つまり、良質タンパクをきちんと摂取していれば、過剰症は起こらないのである。(192ページ)

三石先生は、食物繊維の摂り過ぎは良くないと述べていますが、ビタミンに関してはそれは当てはまらないと考えています。

ビタミンAは、過剰症を恐れた情報が多いですが、普段から卵や肉といった良質なタンパク質を補給していれば、そんなに怖がることはないようです。

ちなみに私は2015年3月から鶏レバーを5ヶ月ほど食べ続けています。量は、1週間で200グラムから250グラムほどです。耐用上限を超えていますが、今のところビタミンA過剰症と思われる症状は出ていません。それどころか、レバーを食べた翌日は、肌の調子がすこぶる良いですね。

β-カロテンはビタミンAの代わりにならない?

ビタミンAの過剰症を心配してβ-カロテンを積極的に補給するようにと言われることがあります。

β-カロテンは、プロビタミンAとも呼ばれているビタミンAの前駆体で、ニンジンなどの野菜に多く含まれています。β-カロテンは、体内で必要量をビタミンAに変えて利用するので過剰症にならないとされています。

しかし、β-カロテンは吸収率がそれほど良くなく、また、必ずしもビタミンAに変えて利用されるわけではないようです。医師の斎藤糧三先生の著書「腹いっぱい肉を食べて1週間5kg減!ケトジェニック・ダイエット」に以下の記載があります。

β-カロテンからビタミンAを合成する力の低い人がいることが2008年にわかりました。女性ボランティアを対象とした調査では、欧州人のおよそ35%はβ-カロテンからビタミンAを合成する力がきわめて低いことが分かっています。(23ページ)

実に3人に1人がβ-カロテンからビタミンAを作り出すのを苦手としているのです。

ビタミンAが不足すると夜盲症になります。鳥目ですね。さすがに夜盲症になればビタミンAの不足に気づくでしょうが、それ以外の欠乏症の症状からビタミンAの不足に気づくことは難しいかもしれません。

肌が乾燥して粉を吹くような状態だとビタミンAが不足している可能性がありますから、そういう場合にはレバーを食べてみると良いのではないでしょうか。

それと、肌の乾燥は動物性脂肪の不足も原因となります。レバーをバター、牛脂、ラードなどで炒めて食べると良いでしょう。

参考文献