血糖値スパイクは炭水化物スパイクだよね

先日、朝の情報番組を見ていると血糖値スパイクが紹介されていました。

血糖値スパイクとは、糖質を摂取すると急激に血糖値が上がってインスリンが大量に分泌され、一気に血糖値が下げることです。グラフにすると鋭くとがった針のようになり、それが陸上競技のスパイクの歯に似ていることが血糖値スパイクと呼ばれる所以です。

この血糖値スパイクが、健康に良くないということから、最近注目を集めています。

糖質を摂らなければ血糖値スパイクは起こらない

以前から血糖値スパイクと同じ意味で、グルコーススパイクという言葉が使われています。グルコースはブドウ糖のことなので、ブドウ糖スパイクとも言います。

血糖値スパイクという言葉は、NHKの番組で登場してから使われるようになったみたいです。番組の内容は、神経内科医のたがしゅう先生のブログで紹介されているので、ご覧になってください。

血糖値スパイクを起こすのは、炭水化物(糖質)を摂取することが原因です。だから、糖質制限をすれば血糖値スパイクを起こしません。ところが、私が見た朝の情報番組では、糖質制限についてく触れてませんでした。

食べる順番を守れば良いのか?

その情報番組では、食事の際に食物繊維、タンパク質、炭水化物(糖質)の順番で食べれば血糖値が上がりにくくなると解説していました。

この順番で食事をすると太りにくくなるとも言われていますね。最初に食物繊維を食べておけば、その後で糖質を摂取しても吸収が遅くなるので血糖値が上がりにくいとされています。血糖値が上がらなければインスリンの分泌量も少なくなるので、糖質が脂肪組織に蓄えられにくくなるからです。

でも、最近、この説は本当に正しいのかと疑問に思うようになりました。その理由は、タンパク質を摂取してもインスリンの分泌量が増えるからです。糖質を摂取した時ほどはインスリンが分泌されませんが、それでも、タンパク質摂取でインスリン分泌量は空腹時よりも増えます。なお、タンパク質摂取でもインスリンが分泌されることについては以下の記事を参考にしてください。

先にタンパク質を摂取してインスリンを分泌させておけば、その後に糖質を摂取しても血糖値の上がり方が緩やかになるのではないでしょうか?

血糖値スパイクが起こるのは、インスリンが十分に分泌されていない状態で糖質を摂取するから起こるのだと思うんですよね。だから、タンパク質を先に食べておけば、空腹時に糖質を摂取した場合よりも血糖値の上がり方が緩やかになるような気がします。

インスリンを何度も大量に分泌させることが問題

糖尿病は、血糖値が高い状態が持続する病気です。糖尿病は、足が壊死したり、失明したり、腎臓が悪くなったりと様々な合併症を引き起こすので深刻な病気です。

糖尿病は、インスリンの分泌量が減って血糖値を下げれなくなった状態です。インスリンの分泌量が減るのは、インスリンを分泌するすい臓のβ細胞の機能が衰えるからです。β細胞が衰えるのは、インスリンを分泌し過ぎるから。だから、無駄にインスリンを分泌させないことが糖尿病の予防には大切なことだと言えます。

空腹時の血糖値は、109mg/dlを超えていなければ正常とされています。

仮にインスリンが分泌されないという仮定で糖質を摂取した時に200mg/dlまで上がったとします。この場合、血糖値が空腹時の上限よりも91mg/dl高くなっていますよね。でも、糖質を摂取すればインスリンが分泌されるので、ここまで血糖値が上がることはありません。

インスリンの分泌で血糖値を80mg/dl下げることができれば、食後血糖値は120mg/dlまでしか上がりません。でも、インスリンの分泌で40mg/dlしか血糖値を下げれなければ160mg/dlまで血糖値が上がります。したがって、同量の糖質を摂取しても、インスリンを分泌する能力に個人差があるので、食後血糖値は人によって違いが出てきます。

糖質をたくさん摂取しても、血糖値が上がってないから問題なし。

と言うことではなく、糖質を摂取しても血糖値が上がっていないのは、β細胞を酷使してインスリンを大量分泌しているだけかもしれません。β細胞を酷使し続ければ、やがてインスリンの出が悪くなり血糖値が下がらなくなります。そうならないように糖尿病であろうがなかろうが、インスリンを大量分泌させるような糖質摂取は避けるべきです。

タンパク質の後に糖質を摂取すれば血糖値が上がりにくいと言っても、それは、先にタンパク質を摂取してインスリンを分泌しているから血糖値の上がり方が緩やかになっているだけかもしれません。大切なことは、インスリンを何度も何度も分泌させるような食事をしないこと、つまり、糖質摂取量を控えることではないでしょうか。

食べる順番なんて関係ありません。

いかにβ細胞に負担をかけないかが重要なのです。

血糖値スパイクは、インスリン分泌による血糖降下作用も考慮しています。しかし、本当に大切なことは糖質がどれだけ体内に入って来たかを知ることでしょう。

血糖値スパイクは、医療関係者しか理解できない言葉です。素人にも、わかりやすく伝えるなら炭水化物スパイクと言うべきですね。