卵業界の反撃開始か?卵を食べても血中コレステロールは増えません。

先日、スーパーに買い物に行った時、卵売り場に「卵を食べても血中コレステロールは増えません」といった内容の紙が貼られていました。

卵にはコレステロールが多く含まれています。だから、卵をたくさん食べると血中コレステロールが増えると言う人がいるのですが、これは数十年前から否定されています。それなのにテレビの健康番組などでは、健康のためにコレステロールを摂りすぎないようにしましょうと、ずっと言い続けています。

しかし、2015年以降は、コレステロールは健康に良くないとは言っているものの、食品に含まれるコレステロールが血中コレステロールを増やすとは言わなくなってきているように思います。

卵は優秀な栄養源

昔から卵は、人間が必要な栄養素が、ビタミンC以外は全部含まれていることから優秀な栄養源とされています。しかし、コレステロールが多く含まれているため、卵は1日1個までにしましょうと言われてきました。

今でも、卵を食べすぎてはいけないとテレビ番組で言われていますが、厚生労働省が公表している「日本人の食事摂取基準2015年版」でコレステロールの摂取量の上限が廃止されたので、卵をたくさん食べても問題ありません。日本人の食事摂取基準2015年版の125ページに以下の記述があります。

コレステロールは体内で合成できる脂質であり、12~13 mg/kg 体重/日(体重50 kg の人で600~650 mg/日)生産されている。摂取されたコレステロールの40~60% が吸収されるが、個人間の差が大きく遺伝的背景や代謝状態に影響される。このように経口摂取されるコレステロール(食事性コレステロール)は体内で作られるコレステロールの1/3~1/7 を占めるのに過ぎない。また、コレステロールを多く摂取すると肝臓でのコレステロール合成は減少し、逆に少なく摂取するとコレステロール合成は増加し、末梢への補給が一定に保たれるようにフィードバック機構が働く。このためコレステロール摂取量が直接血中総コレステロール値に反映されるわけではない。(125ページ)

そして、コレステロールの目標量を定めるのに十分な科学的根拠がないことも記載されています。

コレステロールの摂取量は低めに抑えることが好ましいものと考えられるものの、目標量を算定するのに十分な科学的根拠が得られなかったため、目標量の算定は控えた。(125~126ページ)

これまでテレビの健康番組で、コレステロールが多く含まれている食品を食べると血中コレステロールも増えると言っていましたが、これには科学的根拠はないのです。最近でも、脂質異常症の人はコレステロールを制限すべきだと言う医師はいますけどね。でも、これは健康な人にコレステロール制限は不要と言ってるようなものですし、コレステロールを多く摂取するから脂質異常症になるのではないとも考えられます。

卵は1日3個は食べましょう

冒頭で述べたスーパーの貼り紙には、卵には人間に必要な9種類の必須アミノ酸が含まれているとも解説されていました。その通りですよ。しかも、必須アミノ酸のバランスが非常に良く、プロテインスコアが100点満点ですからね。大豆のようにプロテインスコアが50点ちょっとしかないタンパク質とは違います。

他にも、ビタミンやミネラルも豊富だと解説されていました。これもその通りであります。ビタミンはCばかりが注目されますが、皮膚や粘膜の健康維持にはビタミンB群の摂取が大切です。人間が体内でアデノシン三リン酸(ATP)というエネルギーを生み出すためにもビタミンB群がなければなりませんから、卵をしっかり食べてビタミンB群を補給しておきたいです。

さらにスーパーの貼り紙には、「卵を1日3個は食べましょう」といったことも大きな字で書かれていました。従来は、卵は1個までとか2個までとか「上限」を決めるような表現でした。ところが、この貼り紙を読むと「3個は」となっているので、卵を1日3個以上食べることを推奨していますね。

スーパーの貼り紙では、日本人の食事摂取基準2015年版でコレステロールの摂取上限が廃止されたこと、同年にアメリカでもコレステロールの摂取上限が廃止されたことなども解説されていました。

私の近所のスーパーだけがこの貼り紙を卵売り場に貼っていたのか、それとも卵業界が一致団結してポスターを作り、スーパーに配布しているのか、どちらなのかはわかりません。これまで、卵はニセ科学による風評被害を受け続けてきましたから、卵業界は大きな経済的打撃を被っていたはずです。

でも、これからは積極的に卵が栄養価の高い優れた食品だとアピールして売上を伸ばしてほしいですね。