疲労もストレスも肌荒れもビタミンB群不足ではないか

人間が活動するためには、アデノシン三リン酸(ATP)と呼ばれるエネルギーが必要になります。ATPは細胞内で作られますが、その主原料になるのはブドウ糖や脂肪酸です。特に脂肪酸から得られるATP量はとても多いので、普段の食事からしっかりと脂肪を摂取しておきたいところです。

ブドウ糖をたくさん摂取する方法もありますが、こちらは太りやすかったり、糖尿病の原因になったりするので控えた方が良いですね。

脂肪酸はATPの主原料になりますが、これだけではATPを作れません。ATP合成には他にも様々な微量栄養素が関連しており、特に主原料である脂肪酸と同じように重要になってくるのがビタミンB群です。

ビタミンB群が不足すると疲れやすくなる

8種類あるビタミンB群は、どれが欠けてもATP合成に支障が出ます。だから、8種類すべてが不足しないように食事から摂取しておかなければなりません。特にブドウ糖利用に必要なビタミンB₁と脂肪酸利用に必要なビタミンB₂は、不足すると疲労や倦怠感の原因となりますから、この頃体が疲れやすくなってきたなと思ったら、B₁とB₂、特にB₁が不足しているかもしれませんね。

ビタミンB群が豊富に含まれている食品は、卵や肉類です。なので、疲れにくい体作りのためには、卵や肉類をしっかり食べる必要があります。また、B₁はブドウ糖をエネルギー利用する際に多く消費されますから、米や麦など炭水化物(糖質)が多く含まれている食品は食べないに越したことはありません。

ストレスを感じたらビタミンB群不足を疑う

現代の日本社会はストレス社会なんて言われていますから、多かれ少なかれ、誰もが精神的ストレスを抱えて生きているはずです。

できるだけストレスを避けるとか、自分なりのストレス解消法を見つけるとか、工夫してストレスを溜めない方法を探すことが大事になってますよね。でも、そうは言っても仕事を休むこともできないし、嫌な上司がいても自分の力で上司を変えることはできませんから、ストレスにさらされる環境はなかなか変えれません。

人はストレスにさらされると、副腎でコルチゾールというホルモンを分泌し心身をリラックスさせます。医師の本間良子先生の「しつこい疲れは副腎疲労が原因だった」を読むと、わずか3センチほどの大きさしかない副腎が日々の生活の中で懸命に働いていることがわかります。本の内容は、神経内科医のたがしゅう先生のブログ記事「『副腎疲労』と糖質制限」をご覧になってください。

副腎が疲れると、ストレスに弱くなってしまうので、心身ともに疲れてしまいます。そして、副腎が疲れている時はビタミンB群も欠乏状態にあるそうです。

副腎がストレスで疲弊しているときは、特に体の中のビタミンB群が枯渇状態にあります。というのは、副腎がストレスに対処するホルモンを生産するときに、ビタミンBがその生産回路の要所、要所で必要になってくるからです。
ビタミンB群には、ビタミンB₁(チアミン)、B₂、ビタミンB₃(ナイアシン)、B₅(パントテン酸)、B₆(ピリドキシン)、B₁₂(コバラミン)、葉酸、ビオチンという8種類のビタミンがあります。B群のビタミンはお互いに協力関係を保ちながら、さまざまな物質の代謝に関わっているため、「ビタミンB群」とひとまとめにされるのです。(178ページ)

肌荒れもビタミンB群不足

ビタミンB群はATP合成やストレスと戦う以外に皮膚や粘膜の健康維持にも欠かせません。口内炎、口角炎、皮膚炎、脱毛などはビタミンB群が欠乏すると起こる症状とされていますから、やはり、ビタミンB群が豊富な卵や肉類をしっかりと食べておきたいです。

よくストレスが肌荒れの原因だと言われますよね。

精神的ストレスを受けている時に肌の調子が悪くなった経験をした人もいると思います。だから、肌荒れを防ぐためには、まずストレスを溜めない生活をしないとダメだと考え、心身をリラックスするための情報を仕入れたり、アイテムを購入したりと工夫することでしょう。

でも、その前に肌荒れの原因がビタミンB群の不足ではないかと疑ってみた方が良いと思うんですよね。ストレスから心身を守るために副腎が頑張った結果、ビタミンB群が不足し、その影響が肌にも現れているんじゃないかと。

そうであれば、ストレスも肌荒れもビタミンB群不足が原因であり、ストレスが先で肌荒れが後に現れる症状ではないのかもしれません。つまり、ビタミンB群不足がストレスと肌荒れのダブルパンチを起こしていると思うんですよね。これに肉体疲労も加わることがあるでしょう。

女性の方は美容に関心があるので、皮膚のターンオーバーが28日周期だということをご存知だと思います。ビタミンB群が不足して肌に悪影響が出ても、皮膚の奥底で起こっている現象なので見た目には気付きません。でも、2週間や3週間経つと、不完全な皮膚が表面に押し出されてくるので、その時に肌荒れに気付くのではないでしょうか。

だから、ストレスを受けた後に肌荒れが起こると言われているのではないかと。

「職場で嫌なことがあってストレスを感じたら、甘い物を食べてリラックスするんだ」と言ってスイーツバイキングに行くと、さらにビタミンB₁を消費してしまいます。何より甘い物にはほとんどビタミンB群が含まれていないので、副腎がストレスに立ち向かうホルモンを分泌するのも困難になります。

肉食女子がパワフルなのは、普段からしっかりとビタミンB群を補給しているからなのかもしれませんね。

参考文献