太らない体質に憧れるよりも中性脂肪を利用する状態になる方がダイエットには効果的

どんなに食べても太らない人がいますよね。「太らない体質」とか「痩せ体質」と呼ばれている人です。

確かに食事量は多いのに太らない人はいます。でも、「太らない体質」や「痩せ体質」というものがあるのかはわかりません。また、筋トレをして筋肉量を増やすと、エネルギー消費が増えるので太らない体になれると言われています。これも、なんとなくは納得するのですが、食べる量が多ければ脂肪が体につくんじゃないかと思うんですよね。

太らない体質はあり得るのか?

さすがに際限なく食べ続ければ、誰だって太るでしょう。でも、大食いの人たちはスリムですから、必ずしも食事量が多いほど太るとは言えない部分もあります。大食いの人たちを太らない体質というのなら、そうなのでしょう。

では、ごく平均的な食事量の人が、大食いを始めたら太らない体質になるのでしょうか?

やったことがないので答えはわかりません。でも、誰もが大食いで太らない体質や痩せ体質になれるわけではないと思います。むしろ、大食いの人たちと同じ量の食事をすれば、ほとんどの人が太るでしょう。

大食いの人たちを見ていると、太らない体質は存在するように思います。でも、その太らない体質を人為的に作り出せるものなのでしょうか。筋トレをして筋肉量を増やせば、基礎代謝が増えて太りにくい体になると言われますが、大食いの人たちのような太りにくい体質とは少し意味が違う感じがします。

太りにくい状態を維持する方がダイエット向き

太りにくい体質を作ることに努力するよりも、太りにくい状態を維持する方がダイエットには適していると思います。

太りにくい状態とは、どういう状態でしょうか?

太ることを中性脂肪が体に蓄積することと定義するなら、中性脂肪が体に貯まらないようにすること、中性脂肪が貯まってもすぐにエネルギー利用できるようにすることが、太りにくい状態を作り出すために大切となります。

中性脂肪を貯めることも、中性脂肪をエネルギー利用するのを邪魔するのも、インスリンがカギを握っています。インスリンは、すい臓のβ細胞から分泌されるホルモンで、血糖を筋肉や脂肪組織に取り込ませる働きをします。筋肉に取り込まれた血糖はグリコーゲンとして蓄えられ、非常用のエネルギー源となります。また、脂肪組織に取り込まれた血糖は中性脂肪として蓄えられます。

血糖が筋肉にだけ取り込まれるのなら太りませんが、脂肪組織に取り込まれて中性脂肪になると太ります。なので、無駄に血糖が脂肪組織に取り込まれないようにすれば中性脂肪は貯まりにくくなります。血糖は炭水化物(糖質)を摂取すると増えますから、普段の食事で、米やパンなどの糖質が多い食品を食べるのを控えるとインスリンが過剰に分泌されなくなるので、血糖が脂肪組織に中性脂肪となって蓄えられることはありません。

また、インスリンが分泌されている時は、ホルモン感受性リパーゼの働きが抑制されて中性脂肪が分解されにくくなります。これについては以下の過去記事で説明してますので、ご覧になってください。

結局、中性脂肪が体に蓄積するのは、糖質を摂取した時にインスリンが大量分泌されることが原因です。大食いの人のようにどんなに食べても太らない体質を手に入れることよりも、糖質制限をしてインスリンが無駄に分泌されている時間を減らした方が、多くの人にとってダイエットを成功させやすいと思います。

糖質制限をしている限りは、中性脂肪が蓄積しにくい状態を維持できますから、実質的に太らない体質や痩せ体質になったのと同じです。世の中には、様々なダイエット法がありますが、最初に取り組むべきは糖質制限でしょう。