毎年夏になるとフジテレビで27時間テレビが放送されます。2012年の総合司会はタモリさんでした。
放送の翌日の笑っていいともで、タモリさんは、27時間テレビの放送中まったく食事をしなかったとおっしゃっていました。放送終了後も食事をとらず、40時間絶食していたそうです。
タモリさんいわく、「27時間テレビが終わりに近づくにつれて頭が冴えてきた」そうです。そして、その理由を「食べるとお腹にエネルギーが行ってしまい、逆に疲れてしまう」と述べていました。
食べれば食べるほど眠くなる?
「しっかり食事をとって栄養を吸収しないと頭がボーっとしてくる」
現代栄養学では、この考え方が常識となっています。
タモリさんのおっしゃっていることと真逆ですね。
私も27時間テレビをつまみ食いするような感じで見ていましたが、タモリさんが、時間の経過とともにフラフラし始めるということはありませんでした。もちろん27時間仕事しっぱなしなわけですから、たまに疲れているようには見えましたが、倒れてしまいそうなことはなく、無事に放送は終了しました。
翌日の笑っていいともで、27時間テレビに出演されていたSMAPの香取さんは、放送中、同じSMAPの中居さんが居眠りしていたと暴露していました。中居さんだけでなく、昼時に出演されていた方々は、睡魔に襲われていたらしく、ネプチューンの堀内さんが、ふざけて出演者を熱湯プールに次々と落としていったおかげで眠気が吹っ飛んだとおっしゃっていました。
おそらく、タモリさん以外の出演者の方々は、休憩時間に食事をとっていたと思います。
食事をとっていたと思われる方が睡魔に襲われ、絶食していたタモリさんは眠くならなかった。
現代栄養学の考え方とは矛盾する結果となっています。
糖分が不足すると脳に栄養が行かなくなる?
現代栄養学で、食事をとらないと脳の働きが悪くなるというのは、脳は糖分をエネルギーとしているので、食事をしなければ脳に供給される糖分が不足するからと考えています。
もっともなことのように思えます。
しかし、この考え方では、タモリさんが27時間テレビの放送中食事をしなかったのに、放送終了が近づくにつれて頭が冴えてきたということを説明できません。
それどころか、多くの方が経験したことがあると思いますが、昼食後に眠くなるといった現象も説明できません。
脳の働きをよくするためには、しっかりと食事をとって糖分を補給する必要があるというのは間違っている。
実はこれが真実なのではないでしょうか。
最高のパフォーマンスを発揮するためには絶食すべし
糖分が脳の栄養になっているということは事実なのでしょうが、だからと言って、食事をしなければ頭がボーっとするということはないでしょうね。
むしろ食後の方が眠くなってくるのが当たり前なのです。
タモリさんがおっしゃっているように食事をすると消化のためにエネルギーがお腹に集中し、体の他の部分に行くべき栄養が奪われてしまいます。消化のためのエネルギーとは血液のことで、食事をすると大量の血液が胃腸に送り込まれます。血液が胃腸に集中するのですから、頭がボーっとして眠くなるのも当然です。
これは私が思い込みで述べていることではありません。医師の南雲吉則先生は、著書「空腹が人を健康にする」の中で以下のように述べられています。
脳は糖分しか利用できないからといって、ことさら糖分を摂ることをすすめる人もいますが、これは非常に短絡的な考え方です。糖分に限らず、脂肪もタンパク質もデンプンも、体の中ではブドウ糖に変わり、ちゃんと脳に届けられるように人間の体はできています。甘いものを食べなくても、血糖値は十分に上がりますから、脳のためにわざわざ糖分を摂る必要はありません。(56~57ページ)
また、同じく甲田光雄先生の著書「奇跡が起こる半日断食」でも興味深いことが述べられています。
たとえば、スポーツの大会に出場する場合、前日から断食すると、競技当日、スタミナがじゅうにぶんに発揮できます。かつて、力道山が世界選手権などの試合に出るときは、前日の夕食から食を抜いて断食の状態でリングに上ったということです。(16ページ)
最高のパフォーマンスを発揮したいなら、満腹では無理で、空腹の状態こそが望ましいということなのです。
それに食事をとらないと、しっかりと脳が働かないというのでは、野生動物は空腹になればなるほど、エサを獲ることができなくなってしまいます。つまり、満腹のときこそエサを獲ることに集中できるということです。
しかし、実際には、満腹の時に動物はエサを獲らないわけです。お腹がすいてきたときに獲物を追いかけるのが野生動物です。もしも空腹時に最高のパフォーマンスを発揮できないのなら、肉食動物はすぐに餓死してしまいます。
大事な時こそ絶食。
27時間テレビで学んだことでした。