人間は、左右対称に見えますが、細かい部分まで見ると左右対称ではありません。これは、よく言われていることなので、多くの方がご存知でしょう。
でも、体に左右差がありすぎると、やはり気になるもの。人間の体が左右対称ではないと言っても、外見はほぼ左右対称なので、明らかに体がゆがんでいる場合は、日々の生活の中の何気ない癖が影響している可能性があります。
私の場合、顔は左右対称ではありません。最もわかりやすいのが口を大きく開いた時で、明らかに開いた口の形がゆがんでいるんですよね。あと、全身を見ると、右肩が左肩よりも下がっています。
片噛みが体の傾きに影響を与える
自分の顔が左右対称ではないことは以前からわかっていました。
口を開けた時に左右対称ではないことも知っていましたし、それは、食事のとき、右側の歯だけで噛むことが原因だということも薄々気づいていました。右の顎だけコキコキとなる顎関節症(がくかんせつしょう)なので、片噛みが影響しているのでしょう。特に顎に痛みがあるわけではないので、一度、歯科で簡単に診てもらっただけで、その後は特に何もしていません。
右肩が、左肩よりも下がっていることは11年前に気づきました。
その日は、東京で面接を受けなければならず、前日からホテルに宿泊していました。そして、朝、客室の姿見で全身を映し、ネクタイがゆがんでいないかとか、シャツの襟が折れてないかとかをチェックし、服装に問題がないことを確認し終えました。
で、最後に直立して全身をじっくりと見ていると、右肩が下がっていることに気づきました。
その時は、普段からカバンを左手で持つことが原因で左肩がいかり肩になっているのだろうと考え、それ以後は、荷物を右で持ったり左で持ったりして、カラダが左右のどちらかに傾かないように意識していました。
でも、右肩が下がるのは、こういったことも理由なのかもしれませんが、他に原因があることを知りました。
それは、片噛みの癖があると、普段噛む方向に体が傾くということです。
片噛みは顔をゆがめ、体を傾かせる
この事実を知ったのは、口腔科の医師の西原克成先生の著書「生物は重力が進化させた」を読んでいるときでした。
顔やあごの形がゆがむ病気を顎顔面変形症(がくがんめんへんけいしょう)と言い、歯並びの乱れやゆがみ、噛みあわせの狂いなどが原因で起こります。この病気は、本人が顔の左右差を気にしていなければ病気として扱わないそうです。
最近の日本人の歯列の乱れの増加は、遺伝的要因が大きいと主張する学者が多いようですが、西原先生は、生体力学的に顔のゆがみは生活習慣によって顔やあごに加えられる外力で起こると述べています。
右手でほおづえをつく習慣があれば、もうそれだけで歯並びは乱れてしまう。また、片側だけで噛むくせがあったり、片側を下にして寝る習慣があったりすれば、歯並びがみだれるだけでなく、からだ全体がゆがんでしまうことになる(163ページ)
噛む動作は、顎だけで完結しているのではなく、直接噛むことに関係のない他の筋肉も連動するそうです。だから、噛むという行為は全身運動なので、片噛みを続けていれば、やがて体型がゆがんでいくことになります。
本書では、どのように体がゆがむのかを図で示しています。
その図を見ると、右側だけで噛む癖がある人は、顔が右に傾き、右肩が下がるほか、顎が右にねじれるようです。
この症状、まさに私にぴったりと当てはまります。今まで、顔のゆがみは、片噛みが原因だろうとは思っていましたが、まさか右肩が下がっていることも、右側だけで噛んでばかりいることが原因だとは思いもよりませんでした。
この事実を知って以降、食事の時は、左側でよく噛むようにしています。普段、使わない方の歯で噛むと何だか違和感がありますね。早く顎を動かせないので、おかげで食事のスピードが以前よりも遅くなりました。これを機によく噛んで食べるようにします。
でも、1口30回を意識するつもりはありませんが。回数の問題ではなく、食道を通りやすい大きさにまで噛み砕くこと、胃腸に負担がかからないように食物を噛んで小さくすることが大事だと思うからです。
筋トレの際に左右対称に体を動かすことが体のバランスを崩さないために大切だとは思いますが、普段の食事で、左右の顎を同じように使って噛むことは、もっと重要なことのようですね。
「生物は重力が進化させた」は、なかなか興味深い本でした。
現在では、生物の進化は突然変異で起こるというダーウィンの進化学説が主流となっていますが、本書では、それに対抗する生物の進化は環境の変化に対応するために起こったとする用不用の法則を紹介しています。そして、生物進化は、重力にいかに対応するかという問題であることが述べられています。
もしかすると、生物の進化と突然変異は何の関係もないのかもしれませんね。