各種メディアを見ていると、冬こそダイエットに適した季節だと紹介されています。ダイエット業界では、冬だけでなく、春も夏も秋も、ダイエットに適した季節だと言っているように思うのですが。
冬がダイエットに適している理由として挙げられるのが、「寒い時期の方が代謝が上がるから」というものです。その通りなのかもしれませんけども、冬が他の季節よりも痩せやすいなんて感じている方は少ないでしょう。むしろ、冬は太りやすいと感じている人の方が多いはずです。
冬は寒くて運動しないのが太る原因?
冬は代謝が上がるのに太るのは、運動をしないからだと言われそうですが、本当に運動をしていないかどうかは、1日の行動をノートなどに記録しなければわかりません。そんなことをしている人は、ほとんどいないでしょうから、冬に運動をしていないかどうかを確かめるのは、すぐにはできません。
でも、夏の方が運動をするという人の方が少ないように思いませんか?暑くて汗がダラダラ出る夏よりも、寒い冬の方が体を動かせば温まるのですから運動しようという動機が強いと思うんですけどね。
とにかく冬に運動をしているかどうかなんて、本人でも記録してない限りわかりません。だから、他人なら、なおさら自分のことを知らないのですから、「運動しないから太るんだ」と言われても説得力はないでしょう。
競走馬は冬に太りやすい
冬が痩せやすいなんて言っているのは、ダイエット業界だけだと思いますよ。
だって、競走馬は冬になると太りやすいですからね。これは、競馬ファンの間では常識です。でも、ファン層がダイエットに全く興味のなさそうなおじ様ばかりだから、ダイエットに関心を持っているだろう女性と接点がなく、馬は冬にダイエットしにくいという情報がダイエットに励んでいる方に伝わらないのでしょう。
競走馬がどの程度、冬に太るかを確かめることは簡単です。JRAのホームページに冬にアクセスしてレース結果を見ればいいだけです。着順は無視して、出走した馬の体重を見れば、前走との比較でどれだけ増減があったかがわかります。
冬にレースに出走した馬の多くが、前走との比較で馬体重が増加しています。中には、10kgも20kgも太っている馬もいます。
馬体が絞れないと嘆く調教師
競馬をされている方ならご存知でしょうが、スポーツ新聞には、レースに出走する競走馬を管理している調教師やその下で働いているスタッフのコメントが記載されています。
冬のレースの時は以下のようなコメントが多いです。
- 時期的に馬体を絞りにくい。輸送でいくらか減るとは思うが。
- 放牧明けを一叩きしたけど、まだ余裕がある感じ。
- 使って良くなるタイプだけど馬体が絞れてこない。
そして、案の定、パドックを周回している競走馬のお腹がボッテリとしていて、主催者発表の馬体重が前走比で「+12kg」となっているわけです。
一般人が冬に痩せやすいとは考えられない
競走馬は、スーパーアスリートです。
そのスーパーアスリートでさえ、冬は体重が増えるのに一般人が冬に痩せやすいなんて考えられません。
上り坂を全力疾走させられたり、毎日2時間ウォーキングさせられたりしているのに競走馬は冬に太ってしまうのです。反対に夏は、強い調教をしていないのに馬体重が減ります。調教師も、夏は馬体重を維持するために軽めの調教で済ませることがあります。レース前につかれてしまっては意味がないですから。
牧場でのんびりとしている時期もありますが、競走馬はトレーニングセンターにいる間は、日々、運動しています。春夏秋冬、レースに勝つために調教をしているのに冬は太るのです。
それなのにスーパーアスリートではない一般人が、冬に痩せやすくなると言うのはどうなのでしょうか?
理論的に寒くなれば代謝が上がり痩せやすいと言っても、実際には、多くの人が冬に太ります。それなら、代謝が上がりやすいことと痩せやすいことは、それほど関係がないのかもしれません。
冬は、競走馬でも太るのだから、人間だってダイエットの効果が出にくいと考えるべきでしょう。