17年半で被験者の21%が死亡している研究データってどうよ

あなたは、1日に卵をいくつ食べていますか?

私は、多い日だと7個、少ない日だと1個で、平均すると1日に3個から4個の卵を食べています。卵はプロテインスコアが100点満点の良質なタンパク質を含んでおり、ビタミンとミネラルの種類も豊富ですから、毎食1個は食べたい食材です。

ところが、2019年3月18日のヤフーニュースに「週に3個以上の卵を摂取、心疾患のリスク増大か 米研究」という記事が掲載され、そこには、コレステロール摂取量が1日に300mg増えると心疾患に関連したリスクが3.2%高まり、早死にする可能性は4.4%高くなると書かれていました。また、卵は1日の消費量が半個増えるごとに心血管疾患のリスクが1.1%上昇し、早死にするリスクは1.9%上昇するそうです。

私の場合、早死にするリスクは11.4%から15.2%くらい上昇していることになりますね。

2万9千人を17年半も追跡調査できるの?

この研究では、米国内の6研究グループのデータを詳しく調べたもので、被験者は29,000人あまり、平均17年半に渡って追跡調査したものだそうです。

被験者全員が1日に3食の食事をしていたとしたら、1日に81,000食を調べなければなりません。研究者10人で確認しても、1人当たりのノルマは1日に8,100食です。100人でも1人当たり810食も確認しなければなりません。しかも、17年半という長期間ですから、相当な費用がかかっているはずです。

それだけの手間をかけて調査したのなら、この研究は信頼できそうだと思いますよね。

ところが、シミズ先生のブログの「卵は心臓に悪い?」の記事では、この研究は前月や前年に何を食べたかのアンケートを1回行っただけだそうです。つまり、私が1ヶ月前のある日に昼はオムライス、夜は親子丼を食べたとしたら、その後も毎日同じ食事をしていることが前提になっているわけですね。

10年前なら、昼にオムライス、夜に親子丼を食べる食事をしていたかもしれませんが、私は現在は糖質制限をしているのでオムライスも親子丼も6年以上食べていません。29,000人の被験者に私のような人が含まれていたら、どうなるんでしょうね?

被験者の21%が死亡している

先ほどのヤフーニュースには、このような記述もありました。

その結果、心血管系の疾患を発症していたのは計5400人で、うち1302人は脳卒中(死者を含む)、1897人は心不全(同)を発症し、113人はそのほかの心疾患のため死亡していた。それ以外の原因で死亡した患者は6132人だった。

なんと29,000人の被験者のうち6,245人(113人+6,132人)の人が、平均17年半の間に死んでいたのです。被験者の死亡率は21%もありますよ。

いったい、どんな人を被験者に選んだのでしょうか?

50代の方ばかりを被験者に選んだのなら、17年半も経過すれば70歳前後になっているでしょうから、5人に1人くらいは亡くなっても不思議ではありません。しかし、被験者の大多数が20代や30代であれば、5人に1人が死亡するのは異常じゃないですか。

また、心血管系の疾患を発症した人が5,400人、それ以外の原因で死亡した人が6,132人となっている点も怪しいです。なんで、その他の6,132人を無視するんでしょうね。心血管系の疾患で亡くなった人の数は、ヤフーニュースの記事だけではわかりませんが、確実に言えることは、その他の原因で亡くなった人の数の方が心血管系の疾患で亡くなった人よりも多いということです。何か対策するのなら、「その他」じゃないですか?

いずれにしても、5人に1人が亡くなっているデータは異常なデータですから、この研究からは、何もわからないと考えるのが普通でしょう。