ビタミンCを1時間ごとに摂取すれば血中濃度を3倍に維持できる

ビタミンCは、たくさん摂取しても、取りすぎた分はすぐに体外に排出されるので、大量摂取に意味はないと言われることがあります。

だから、ビタミンCは少量を数回に分けてこまめに摂取する方が効果的だとされています。

確かにビタミンCは、1回の摂取量が少ない方が吸収率が高いですし、摂取したビタミンCはすぐに外に出て行ってしまうので、同量のビタミンCを摂取するのなら分けて摂取した方が効果的です。

でも、この理屈は、ビタミンCを大量に摂取しても無意味だということではありません。

ビタミンCの血中濃度はピークから30分後に半減する

血中ビタミンC濃度は、健康な人だと、1dlあたり1.2mgとされています。

そして、ビタミンCを摂取すると、一時的に血中ビタミンC濃度が高くなり、ピークから30分後に半減するとされています。

生田哲先生の著書「ビタミンCの大量摂取がカゼを防ぎ、がんに効く」によれば、1グラムのビタミンCを経口摂取した場合、2時間後に2.4mg/dlまでその濃度が上昇し、4時間後には1.2mg/dlまで下がると説明されています。

図にすると以下のような感じです。

1グラムのビタミンCを1回摂取した場合の血中濃度

この図を見ると、1グラムのビタミンCを1回摂取するよりも、0.2グラムのビタミンCを5回に分けて摂取した方が、ビタミンCの血中濃度を比較的高く維持できそうに思います。

ビタミンCを1時間ごとに1グラム摂取するとどうなるか

上記理由から、ビタミンCの1日の推奨量は0.2グラムとされているのですが、1グラムのビタミンCを何度も摂取した場合でも、血中濃度は2.4mg/dlを超えることはないのでしょうか?

そんなことはなく、ビタミンCの経口摂取を何度も繰り返せば、その血中濃度を2.4mg/dl以上にすることが可能です。

最初に摂取されたビタミンCが排泄される前、すなわち四時間以内に次の摂取をすれば、ビタミンCの血中濃度が少し上昇します。さらに三回目の摂取を四時間以内に行えば、濃度はさらに上昇することになります。(140ページ)

血中のビタミンC濃度が下がりきる前に追いビタミンC(略して、追いC)をすれば、血中濃度を1.2mg/dl以上に維持できるだけでなく、ピークも上昇させることが可能です。

「ビタミンCの大量摂取がカゼを防ぎ、がんに効く」の139ページに1時間ごとに1グラムのビタミンCを摂取し続けた場合の血中濃度の推移が紹介されています。同ページに掲載されていたグラフを少し簡略化したのが以下の図です。

1グラムのビタミンCを1時間ごとに摂取した場合の血中濃度

この図を見れば明らかなように1時間ごとに追いCすれば、10時間後には血中ビタミンC濃度が3.9mg/dlまで上昇し、その後も追いCを続ければ、この値を維持できることがわかります。実に通常時の1.2mg/dlの3倍以上の濃度です。

このように血中ビタミンC濃度を高濃度で維持することをマンチェスター・メトロポリタン大学のスティーブ・ヒッキー博士とヒラリー・ロバーツ博士は、ダイナミック・フロー命名しています。

ダイナミックフローの状態にある人がカゼをひいたり、感染症にかかったとき、そうでない人と比べて格段に有利なのは、このように血中ビタミンC濃度が高く保たれているため、ただちにバイ菌と戦うことができるからです。
この戦いで特定組織のビタミンC濃度が一時的に低下したとしても、別の組織に蓄えられた予備のビタミンCが血液を介して送られてきます。このため、血中濃度も、特定組織の濃度も低下しないですむのです。(142~143ページ)

ダイナミックフローの状態を維持できれば、健康状態を維持しやすくなるのなら、1回のビタミンCの摂取量を2グラムや3グラムに増やして、1時間ごとに摂取すれば、さらに高い濃度を維持できそうに思えます。

でも、ビタミンCを摂りすぎると下痢をするので、無制限に体内に取り込むことはできません。これは以下の記事でも紹介しています。

ビタミンCが腸管から吸収できる量には限界があるので、血中ビタミンC濃度を4.4mg/dl以上には上げることができないようです。

でも、ウィルスに感染した時のように体内でのビタミンCの要求量が高まっている場合には、1日に100グラム以上のビタミンCを摂取しても下痢にならない人もいます。ビタミンCの摂取上限は、個人差があるとともにその時の体調によっても変化します。

ウィルスに感染した時は、大量のビタミンCを摂取する必要があるので、粉末タイプのビタミンCを使った方が安上がりです。

ビタミンCは、1回に大量に摂取しても、血中濃度は一時的に高くなるだけですが、持続的に摂取し続ければ血中濃度を高い状態に維持できます。血中ビタミンC濃度を高い状態で維持したい方は、錠剤やカプセルのビタミンCを持って外出すると良いでしょう。

参考文献