太る原因がアルファリポ酸の減少というのは本当なの?

テレビを見たり、ラジオを聞いていたりすると、よくダイエットサプリのCMが流れます。その中で、紹介される機会が多いのが、アルファリポ酸が配合されているものです。

CMの内容は決まって、糖を分解する働きをするアルファリポ酸が20歳を境に減少していくのが肥満の原因だから、アルファリポ酸を摂取しましょうといった内容です。そして、アルファリポ酸の必要量を食事から摂取しようとすると、鶏肉○○kg食べなければならず、そんなことは日常の食事では不可能と続き、最終的にアルファリポ酸○○mgを配合したダイエットサプリが紹介されます。

なるほど、アルファリポ酸を補給すれば、年をとっても太らないんですね。でも、ちょっと疑問が残りませんか?

40歳で基礎代謝は10%落ちる

大人になって太る原因がアルファリポ酸の減少だということですが、それ以前に大人になったら仕事などで運動量が減る人が多いことの方が、太る要因ではないでしょうか。

運動量が減れば、当然、筋肉量も少なくなってくるので、基礎代謝も下がります。基礎代謝は、生きていくうえで、何もしなくても消費されるエネルギーのことで、成人の場合、個人差はありますが、1,500kcal程度あるとされています。

基礎代謝は、筋肉が多い人ほど高いので、筋トレをして筋肉を増やしておけば、太りにくい体を造ることができると言われていますね。でも、仕事でなかなか運動できない人は筋肉量が少しずつ減っていきます。

40歳になった頃には、20代の頃と比較して10%ほど基礎代謝が低下するとされています。つまり、150kcalほど基礎代謝が下がるということです。これは、ご飯に換算すると、茶わん約1杯分になります。

基礎代謝の減少は、人それぞれ異なるでしょうが、それがアルファリポ酸の減少が原因と言えるのでしょうか。それよりも筋肉量が減ったことの方が、基礎代謝が下がる原因だと考えられないでしょうか。

100メートル走ればわかること

もしも、学生時代に100メートルを12秒で走れた人が、40歳になっても同じスピードで走れたのなら、筋肉量に変化がないと思えるので、基礎代謝の減少は筋肉量の減少とは言えないでしょう。

でも、多くの人が、学生時代よりも足が遅くなっているのではないでしょうか。100メートルを12秒で走れた人でも、40歳になったら15秒くらいかかっているのでないですか。若い時よりも20%以上も足が遅くなっているのですから、筋肉量もそれくらい落ちていると考えるのが普通ですよね。

それをアルファリポ酸の減少が原因で、太りやすくなっているというのは、おかしなことです。

筋肉量が減れば、基礎代謝も下がります。若い時よりも太りやすくなったというのなら、筋肉量が減ったと考えるのが自然でしょう。それなら、体を鍛えて筋肉を増やし基礎代謝を上げるか、現在の基礎代謝を前提に食事量を減らすかのどちらかの選択を採るしかありません。

それに大人になってアルファリポ酸が減少していくのなら、不要になったから体がアルファリポ酸を減らしているのではないでしょうか。

おそらく、アルファリポ酸が糖質の分解に関係があるというのは事実なのでしょう。でも、動物が太ったり痩せたりするのは、そんなひとつの栄養だけが原因ではないはずです。

だって、あなたの痩せている知り合いは、ダイエットサプリを使っていないでしょ。