夏に向けて汗腺の働きを良くする工夫

夏が近づき、少しずつ暑くなってくるにつれて汗をかく頻度が増えてきます。汗は、体の体温調整の働きをしてくれるので、暑い時にしっかりと汗をかけることは良いことです。

でも、最近、エアコンが普及したこともあり、夏の暑い日でも、うまく汗をかくことができなくなっている人が増えているようです。私は、基本的に夏だろうが冬だろうがエアコンを使いません。そのためか、夏はよく汗をかきます。ただ、糖質制限を始めてからは、汗の量が減っているように思うのですが。

汗をかきにくい人の汗は臭いやすい

汗をかくのが苦手な人が、汗をかいた場合、通常よりも匂いがきつい汗が出るそうです。これは、体臭や多汗の治療を行っている医師の五味常明先生の著書「新・もう汗で悩まない」で述べられています。

汗腺には、体温調節を行うためのエクリン腺ときつい臭いを発する汗を出すアポクリン腺があります。アポクリン腺は腋などに多くあります。そのため、脇からかいた汗は、他の部位からかいた汗と比較すると臭いわけです。

通常、エクリン腺から出る汗は、ほとんど水に近いので臭うことはないのですが、汗をかくのが苦手な人は、エクリン腺から出る汗も臭いがきつい傾向にあります。五味先生によると、エクリン腺の汗が臭うのには、以下のような原因があるそうです。

本来汗はほとんど水に近いのですが、汗腺の機能が低下すると、血漿の成分を再吸収できないため、濃度の高い汗をかいてしまいます。これには、重炭酸イオンや尿素などが含まれているため、「ニオう汗」となってしまいます。(193ページ)

エクリン腺から出る汗は、無臭です。でも、汗をかいてそのままにしておくと、1時間くらいしたら、皮膚の細菌や垢と反応して臭いが発生します。でも、日頃汗をかかない人の場合は、汗の濃度が高いので、発汗してすぐに汗臭くなってきます。

なので、汗をかいてすぐに汗臭さを感じる人は、普段、汗をかく機会が少なく、汗をかくのが苦手な人なのでしょう。そういった方は、汗をかきやすくする汗腺トレーニングをした方が良いかもしれません。

汗腺トレーニングは3週間

「新・もう汗で悩まない」では、汗をかくのが苦手な人が、汗をかきやすい体にする汗腺トレーニングの方法が紹介されています。特に難しいことではなく、3週間続ければ効果が出るそうなので、夏に向けて気温が上がり出してくる頃から実施すると良さそうです。

1.高温手足浴

まずは、高温手足浴です。

高温手足浴は、浴槽に浅く43~44℃の熱いお湯を入れて、手と足だけを10分~15分ほどお湯につけておく汗腺トレーニングです。浴槽で10分以上四つん這いの姿勢を保つのは大変でしょうから、洗面器を浴槽に沈めてイス代わりに使うと良いでしょう。

2.微温浴

次に高温手足浴の後、浴槽に水を追加して、水温が36℃になるように浴槽いっぱいにぬるま湯を張ります。

高温手足浴で高まった交感神経をリラックスさせるのが、微温浴の目的です。お湯に酢を入れると効果が高まるそうです。また、爪先を上下に動かしたり、両手を握ったり開いたりする運動も同時に行うのも良いそうです。

3.風呂上りのケア

入浴後は、体から十分に水分をタオルで拭き、ゆっくりと汗を出します。そして、自然の風やうちわなどで汗を蒸発させて、体温が自然に下がるようにします。汗がひいたところで衣服を着ます。

汗がひくまでの間、体のエネルギー代謝を円滑にするクエン酸を含んだリンゴ酢や黒酢のドリンクを飲んだり、汗腺の機能を高めるショウガドリンクを飲むと、汗腺トレーニングの効果が高まるとのこと。

ショウガドリンクは、すりおろしたショウガにハチミツなどで甘味を付けますが、糖質制限をされている方は、すりおろしショウガを水に溶かすだけで良いでしょう。ただ、甘味がないと胃が熱く感じることがあるので注意が必要です。

以上の汗腺トレーニングを3週間ほど続けると、汗腺機能が高まり、徐々に良い汗をかけるようになるそうです。

普段、エアコンの効いた部屋でデスクワークをしている方で、汗のカキが悪いと感じている方は、上記の汗腺トレーニングを試してください。

参考文献