炭水化物を食べてたらビタミンとミネラルの推奨量や必要量の摂取が困難

現代の栄養学では、1日に必要なカロリーの約60%を炭水化物(糖質)で補給しましょうと言われています。そして、必須ビタミンや必須ミネラルもしっかりと推奨量や平均推定必要量を満たすためにバランスの良い食事を心がけましょうとも言われていますね。

しかし、炭水化物をカロリーの60%補給して、必須ビタミンと必須ミネラルを推奨量摂取することは極めて難しいです。炭水化物の代表と言えば白米、パン、麺類ですが、これらに含まれるビタミンとミネラルはとても少ないため、カロリーの60%も炭水化物で補給していたのでは、ビタミンやミネラルの欠乏症になってもおかしくありません。

ご飯、ゆで卵、牛肉、豚肉、鶏肉のビタミンとミネラルを比較してみる

炭水化物にビタミンとミネラルが少ないことを理解するには、他の食品と含有量を比較するのが最適です。

以下の表は、ご飯1膳160グラム、ゆで卵1個60グラム、牛肉と豚肉と鶏肉を各100グラムで、ビタミンとミネラルの含有量をまとめたものです。食品に含まれるビタミンとミネラルはカロリーSlismに掲載されている値を使わせていただきました。また、推奨量は「カラー図解 栄養学の基本がわかる事典」の30歳から49歳の女性の推奨量を用いています。推奨量が記載されていなかった栄養素については、推定平均必要量や目安量を記載しています。

白米のビタミンとミネラル
ビタミン 推奨量 ご飯 ゆで卵 牛肉 豚肉 鶏肉
A(ug) 700 84 24 10 39
D(ug) 5.5 1.08 0.4 0.4 0.1
E(mg) 6.0 0.6 1.1 0.6 0.2
K(ug) 150 7.2 13 4 53
B1(mg) 1.1 0.03 0.04 0.05 0.54 0.07
B2(mg) 1.2 0.02 0.24 0.12 0.13 0.18
ナイアシン(mg) 12 0.32 0.06 3.9 4.6 5
B6(mg) 1.2 0.03 0.04 0.28 0.21 0.18
B12(ug) 2.4 0.54 1.3 0.4 0.4
葉酸(ug) 240 4.8 21 5 2 11
パントテン酸(mg) 4 0.4 0.81 0.5 0.79 1.68
ビオチン(ug) 50 0.8 15 3.5
C(mg) 100 1 2 3
ミネラル 推奨量 ご飯 ゆで卵 牛肉 豚肉 鶏肉
ナトリウム(mg) 600 1.6 78 52 47 59
カリウム(mg) 2,000 46.4 78 230 250 270
カルシウム(mg) 650 4.8 30.6 4 3 5
マグネシウム(mg) 290 11.2 6.6 14 15 19
リン(mg) 800 54.4 108 130 140 160
鉄(mg) 6.5 0.16 1.08 1.5 0.6 0.4
亜鉛(mg) 8 0.96 0.78 3 1.8 1.6
銅(mg) 0.8 0.16 0.05 0.05 0.05 0.04
マンガン(mg) 3.5 0.56 0.01 0.01 0.02
ヨウ素(ug) 130 9
セレン(ug) 25 1.6 21.6 14
クロム(ug) 10 1
モリブデン(ug) 25 48 3 2

この表で赤字になっている数字は、ご飯が他の食品よりも優れている栄養素です。こうやって見ると、ご飯1膳で補給できるビタミンとミネラルが非常に少ないことがわかります。ビタミンA、D、E、Kのいわゆる脂溶性ビタミンは、ご飯から補給することは不可能ですし、不足しやすいミネラルである鉄と亜鉛も、わずかしか摂取できませんね。

白米を1日3食しっかりと食べるとお腹は膨れますが、ビタミンとミネラルは慢性的に欠乏することがわかると思います。唯一、モリブデンだけは推奨量を満たせますが。

ご飯をゆで卵に置き換えた方がビタミンとミネラルを万遍なく摂取できる

白米は、空腹は満たされるけども、必須ビタミンと必須ミネラルが欠乏する食べ物と言えます。

すなわち、太るけども栄養不足になる食品ですね。まだ食パンの方が、ビタミンもミネラルも豊富です。うどんにいたっては、白米よりも栄養価が低いです。

これら炭水化物を多く含む食品は、どれもビタミンとミネラルが乏しい食品です。それなのに1日に必要なカロリーの60%も炭水化物で補給する意味は、いったいどこにあるのでしょうか?

栄養バランスを優先した食事をするのであれば、ご飯、パン、麺類は、ゆで卵に置き換えた方が良いです。1日3回、白米を食べるのなら、ゆで卵を3個食べた方が、ビタミンもミネラルも万遍なく補給できるので、栄養バランス的に優れています。

もちろん、ゆで卵や肉類でも不足する栄養素はあります。ビタミンC、カリウム、マグネシウム、ヨウ素あたりですね。でも、これらは、他の食品と組み合わせることで摂取できます。ブロッコリーやアボカドだと、ビタミンC、カリウム、マグネシウムが比較的多く含まれています。ひじきなどの海藻類には、カリウム、マグネシウム、ヨウ素が豊富です。

また、レバーは、ビタミンとミネラルが豊富ですから、適度に食べることをおすすめします。

なので、動物性食品中心に栄養補給し、足りない栄養素を野菜、海藻、その他の食品で補うのが、栄養バランスの良い食事と言えます。炭水化物中心食は、どうしてもビタミンやミネラルといった微量栄養素が不足します。また、炭水化物が多い食品は、良質なタンパク源にもなりません。

健康や美容を意識するのであれば、炭水化物は控えるに越したことはないですね。

参考文献