ビタミンやミネラルは、必須の栄養素ですが、食事から少量を摂取すれば事足ります。
しなしながら、食品に含まれているビタミンやミネラルは、それほど多くないので、人体が必要としている量を摂取するためには、それなりの工夫が必要になります。
「バランスの良い食事をする」とか「1日に30品目食べる」とか言っている人は、まず、ビタミンとミネラルの摂取量が不足していることでしょう。ビタミンとミネラルが不足しないようにするためには、1日にどれだけの量を摂取する必要があるのかを知っておかなければなりませんし、食品ごとのビタミンとミネラルの含有量を調べられるようにしておかなければなりません。
ビタミンとミネラルの1日の必要量
ビタミンとミネラルの1日の必要量は、ほとんどの栄養学の本に記載されています。
川島由起子先生監修の「カラー図解 栄養学の基本がわかる事典」に記載されている30歳から49歳までの女性の1日のビタミンとミネラルの摂取推奨量と耐容上限量は以下の通りです。なお、推奨量が設定されていないビタミンとミネラルは、目安量か推定平均必要量を記しています。
ビタミン | 推奨量 | 耐容上限量 |
---|---|---|
A | 700ug | 2,700ug |
D | 5.5ug | 100ug |
E | 6.0mg | 700mg |
K | 150ug | – |
B₁ | 1.1mg | – |
B₂ | 1.2mg | – |
ナイアシン (ニコチンアミド) |
12mg | 250mg |
ナイアシン (ニコチン酸) |
12mg | 65mg |
B₆ | 1.2mg | 45mg |
B₁₂ | 2.4ug | – |
葉酸 | 240ug | 1,000ug |
パントテン酸 | 4mg | – |
ビオチン | 50ug | – |
C | 100mg | – |
ナイアシンは、ニコチンアミドとニコチン酸の2種類があります。ニコチンアミドは動物に含まれているナイアシンで、ニコチン酸は植物に含まれているナイアシンです。
ミネラル | 推奨量 | 耐容上限量 |
---|---|---|
ナトリウム | 600mg | – |
カリウム | 2,000mg | – |
カルシウム | 650mg | 2,500mg |
マグネシウム | 290mg | – |
リン | 800mg | 3,000mg |
鉄 | 6mg | 40mg |
亜鉛 | 8mg | 35mg |
銅 | 0.8mg | 10mg |
マンガン | 3.5mg | 11mg |
ヨウ素 | 130ug | 3,000ug |
セレン | 25ug | 350ug |
クロム | 10ug | – |
モリブデン | 25ug | 450ug |
ナトリウムは目標量が塩分換算で7g未満、カリウムは2,600mg以上が目標量とされています。
まず、ビタミンとミネラルの推奨量と耐容上限量を知っていたかどうかですよ。知らなかった人は、闇雲に食事をしていたわけですから、推奨量を摂取できている可能性は低いでしょうね。
特に毎食、白米か食パンを食べている人は絶望的です。どちらも、ビタミンとミネラルの含有量が少ないです。これらは、糖質が多く含まれている食品ですが、一般的に摂取カロリーの60%を糖質で賄うことがバランスの良い食事とされています。しかし、俗にバランスが良いとされる食事を続けていれば、ビタミンとミネラルは欠乏しますから人体にとってはバランスの悪い食事となります。
食事の前に栄養価を調べる
ビタミンとミネラルの推奨量をしっかりと補給するためには、食事の前に食品に含まれるビタミンとミネラルを調べなければなりません。
カロリーSlismを使えば、どの食品にどれだけの栄養素が含まれているか簡単に調べられます。
実際に食品に含まれる栄養素を調べてみればわかりますが、ビタミンとミネラルの推奨量をしっかりと摂取しようと思うと、食事は特定の食品に偏ります。だから、1日30品目を食べていれば、ビタミンもミネラルもしっかりと摂取できていると思うのは誤りで、食べる品目が多くなるほどビタミンもミネラルも不足しやすくなります。
ビタミンとミネラルを多く含んでいる食品は鶏卵ですから、毎日、鶏卵を食べることは必須と言えるでしょう。しかし、鶏卵だけでは、全てのビタミンとミネラルの推奨量を摂取できませんから、鶏卵では不足する栄養素はその他の食品から補給しなければなりません。
例えば、マグネシウムとヨウ素は、鶏卵にはあまり含まれていませんが、魚介類や海藻には多く含まれている傾向にありますから、海の物を少しは食べておきたいですね。
また、ビタミンB₁₂は、植物からは摂取できないので、野菜ばかりを食べる食生活も良くないです。野菜は健康的なイメージが強いですが、低栄養な食材ばかりですから、野菜中心になれば栄養不足になりやすいです。特に農作物の栄養価は年々低下しており、50年以上前とは比べ物にならないほど低栄養となっているそうです。
サプリメントも選択肢として持っておく
ビタミンもミネラルも、普段の食事から摂取するのが望ましいと考える人は多いと思います。
もちろん、普段の食事で全てのビタミンとミネラルを補給できれば問題ないです。でも、食品の栄養価を調べるとわかりますが、自分が普段食べている食品では、ビタミンとミネラルを摂りきるのはなかなか難しいです。
そもそも、食事のたびに食品の栄養価を調べるのが面倒です。ビタミンもミネラルも食事から摂取しましょうと言っている本人が、本当に推奨量を摂取できているのか疑問です。試しに1週間の食事から摂取できたビタミンとミネラルをカロリーSlismで調べてほしいです。まあ、ほとんどの人がビタミンもミネラルも不足していますよ。
だから、マルチビタミンやマルチミネラルのサプリメントも、選択肢として持っておいた方が良いです。栄養が偏っているなと感じた時には、サプリメントを使っても良いんだと考えた方が楽でしょう。
非常食として備えておくこともできますし。
ただ、ビタミンやミネラルをサプリメントで摂取すると、過剰症の危険があります。だから、耐容上限量を超えないようにサプリメントを使うのが無難です。耐容上限量をはるかに超えた実験結果から、ビタミンやミネラルをサプリメントで摂取するのは危険だと警鐘を鳴らす人もいますが、それは過剰症になって当たり前の実験ですからフェアではないですね。
食品の栄養価を調べないで、日々の食事からビタミンとミネラルを摂りきるのは難しいです。まずは、どの食品にどれだけのビタミンとミネラルが含まれているかを調べましょう。そして、ビタミンとミネラルが不足しているとわかった時には、食事内容を見直しましょう。サプリメントも使って良いんですよ。
なお、ビタミンとミネラルの欠乏症と過剰症は以下の記事にまとめています。