糖尿病は運動では治らない

先日、テレビ番組「ザ!世界仰天ニュース」を見ていたら、プロレスラーの谷津嘉章さんが出演されていました。

プロレスラーは、体を大きくするために食事量を増やさなければなりません。谷津さんも、若い時から食事量を増やして体作りをしてきましたが、ある日、医師から血糖値が高いことを指摘され、糖尿病予備軍だと告げられました。

医師は食事制限をするようにすすめましたが、谷津さんはプロレスラーとして食事量を減らすことはできなかかったため、食事制限をしませんでした。そして、とうとう糖尿病になってしまいます。

糖尿病になっても食事制限をせず

谷津さんは、糖尿病と診断された後も食事制限をしませんでした。

糖尿病は、自覚症状なく進行しますから、あまり深刻な病気とは考えていなかったようです。

ある日のトレーニング後、シューズを脱ぐと、足の指から甲まで黒くなっているのに気づきました。後輩にすすめられたことから、谷津さんは病院で見てもらうと、足が壊死していると告げられました。

幸い、その時は塗り薬を塗って完治したのですが、その後も、靴擦れをよく起こすようになり、再び足の指から甲まで黒くなります。

再度、病院で見てもらったところ、非常に危険な状態になっていると医師に言われ、直ちに足を切断する手術を受けました。

谷津さんは、右足のひざ下を切断しましたが、番組では明るく振る舞っていらっしゃいました。

足を切断して谷津さんのように明るくいられる方もいるでしょうが、多くの人は足を失ったら大きなショックを受けるはずです。私も、今、足を切断しなければならないと告げられたらショックですし、きっと抵抗すると思います。

糖尿病予防は運動よりも食事が大事

糖尿病は、以前は、見境なく食事をして、運動もせず、怠惰な生活をしている人がかかる病気だと思われていました。

でも、現在は、痩せていても糖尿病になる人が多いですし、谷津さんのようにハードな運動をしていても糖尿病になる人はいます。

適度な運動で糖尿病を予防できると言われていますが、糖尿病予防で最も重要なのは食事です。運動をしていれば糖尿病にならないのなら、プロレスラーの谷津さんは糖尿病になってはいません。

糖尿病は、上がった血糖値が下がりにくくなる病気です。

血糖値が上がっても速やかに下がれば糖尿病ではありません。運動は、上がった血糖値を下げる効果があります。だから、糖尿病予防のために運動が推奨されるのはわかりますが、そもそも血糖値を上げる最も大きな要因は食事です。そして、食べ物の中で、直接血糖値を上げるのは米、パン、麺類、果物などに多く含まれている糖質(炭水化物)です。だから、全体の食事量を減らすよりも、糖質摂取量を減らす方が血糖値が上がりにくくなります

また、糖尿病になっても、糖質制限をしていれば血糖値が上がりにくくなりますから、失明、腎症、足の壊疽(えそ)といった糖尿病の合併症の予防も期待できます。

運動は血糖コントロールの一手段

世の中には、運動すれば糖尿病が治ると言う人がいます。

治りませんよ。

筋トレだろうがジョギングだろうが、運動をしても糖尿病は治りません

糖尿病が治ったと言っている人は、単にインスリン抵抗性が改善されただけです。

すい臓のβ細胞から分泌されるインスリンは、血糖値を下げる働きがあります。しかし、インスリン抵抗性があると、血糖値が下がりにくくなります。太っている人によくインスリン抵抗性がみられますが、痩せるとインスリン抵抗性が改善し、上がった血糖値が下がりやすくなります。

運動で糖尿病が治ったと言っている人は、痩せてインスリン抵抗性が改善されたと考えられます。食事制限でも痩せればインスリン抵抗性は改善されます。もちろん、糖質制限だって減量効果があるのでインスリン抵抗性は改善します。

早い話が、いかなる手段であっても痩せればインスリン抵抗性は改善し、血糖コントロールが良好になるのです。運動は血糖コントロールの一手段にしかすぎません。

でも、運動や食事制限で痩せ、血糖値が改善した人の中には、糖尿病が治ったと勘違いする人がいます。インスリン抵抗性を知っていれば、運動や食事制限で血糖コントロールが良好になっていると考えますが、インスリン抵抗性を知らなければ糖尿病が治ったと思うのも無理はありません。

ネット上で「糖尿病が治った」と言っている人は、ただ無知なだけです。

運動をしても食後に高血糖を起こす

運動で糖尿病が治ると言っている人の中には、糖質制限では糖尿病は治らないと言う人がいます。

「糖尿病を治したければ糖質制限をしてはダメ、運動をしなさい」と言っているのですが、運動しているあなたが糖尿病のままじゃないかと。

最近、運動で糖尿病が治ったと言っている人のブログを読んだのですが、空腹時の血糖値も食事から2時間後の血糖値も高く、明らかに糖尿病です。でも、本人は糖尿病が治ったと言い、糖質制限を批判しています。

何度も言いますが、運動は血糖コントロールの一手段でしかありません。もちろん、糖質制限も同じです。

インスリン抵抗性は痩せれば改善する可能性があります。しかし、インスリンを分泌するすい臓のβ細胞は、死んでしまうと生き返りません。β細胞は大量にありますから、1個や2個死んだだけでは血糖値に影響を与えませんが、一定以上死んでしまうと上がった血糖値がなかなか下がらなくなります。

糖尿病と診断された時には、多くのβ細胞が死んでいると推測されます。β細胞の死の原因は酷使することと言われていますから、できるだけインスリンを分泌させないような食事、つまり糖質制限食こそが糖尿病の予防に適しています。誰がどう考えたって、そういう結論になるはずです。

運動で糖尿病を予防できるのなら、プロスポーツ選手が糖尿病になるのはおかしいですよね。

足が壊死しても諦めない

谷津さんは、壊疽から足を切断しましたが、糖尿病で足が腐り始めたからと言って、必ず足を切断しなければならないわけではありません。

以前にも紹介しましたが、以下のブログを運営している方は、足が壊疽しても糖質制限で回復し切断を免れています。

あと楽道さんのブログの記事でも、糖質制限で壊疽が完治した報告があります。

糖質制限で足の切断を回避した例が2つもあるのですから、足が黒くなっても諦めていはいけません。

さらに形成外科医の夏井睦先生の著書「患者よ、医者から逃げろ」では、「なつい式湿潤療法」で壊疽が完治した症例が掲載されています。

足が壊疽すると、医師は、骨髄炎から敗血症を発症し死にいたる危険があるので、足を切断すると患者に説明するのですが、夏井先生は糖尿病性壊疽症例を数十人治療して、骨髄炎を起こした症例は皆無だと述べています。そもそも、骨髄炎との診断が間違っているそうです。

足趾の壊死は、足趾の末梢動脈の閉塞が原因で、皮膚だけでなく骨も壊死するが、通常は骨が丸ごと壊死するわけでなく、血流が途絶して死んだ部分と、血流が保たれて生きている部分に分かれ、死んだ骨が生き残った部分から自然に分離してくる。これが腐骨化だ。
(中略)
この腐骨化を「ガラス容器のタピオカ」に置き換えて考えるとどうなるか。
腐骨化するのは骨の先端部分で、それ以外の大部分は生きている。つまり、ガラス容器の端っこが割れて離れたが、それ以外のガラス容器は大丈夫で、もちろん、中のタピオカの血流も保たれている。そのため、タピオカ表面で肉芽形成が始まり、タピオカ本体は肉芽という蓋で覆われ、細菌は侵入できなくなる。
つまり、どう考えても骨髄炎は起こりようがない。(254ページ)

糖尿病で足が黒くなってきたら、糖質制限に理解があり、なつい式湿潤療法を行っているお医者さんに診てもらうことが第一選択です。次善の策は、糖質制限に理解があるか、なつい式湿潤療法を行っているお医者さんに診てもらうこと。

最悪なのは、糖質制限を批判し、なつい式湿潤療法も知らないお医者さんに診察されることであることは言うまでもありません。

ちなみになつい式湿潤療法を行っているお医者さんは、夏井先生のホームページに掲載されています。

運動で糖尿病が治るというのは、デマだから信用しないように。

でも、運動は糖質制限と同じように血糖コントロールの手段となります。

まずは、糖質制限をして血糖値を上げにくくすること。血糖値が上がったら、速やかに下げるために運動すること。

参考文献