ビタミンCはすぐに排泄されるので大量摂取に意味はないのか?

ビタミンCは、たくさん摂取しても、すぐに尿として排泄されてしまうので、大量摂取に意味はないと言われています。

だから、体内に吸収できる量のビタミンCを摂取すれば十分というのが、現在の栄養学や医学の主流の考え方です。

では、排泄されずに体内に吸収できるビタミンCの量は、どれくらいなのでしょうか?

60mgまでの摂取量であれば100%体内に吸収できます。だから、この程度の摂取量で十分との考え方があり、1日に400mg以上のビタミンC摂取は無意味との意見もあります。

しかし、これは、1日に1回だけビタミンCを摂取した場合であり、複数回摂取した場合には当てはまりません。つまり、複数回の摂取であれば、ビタミンCの大量摂取には意味があるのです。

ヤギは病気になるとビタミンC合成量を増やす

人間は、自前でビタミンCを作れませんが、人間以外では自前でビタミンCを作れる動物がいます。

イヌ、ネコ、ブタ、ラットなど様々な動物が、毎日、体内でビタミンCを作っており、その量は、人間の体重に換算すると100mgを超えています。

生田哲先生の著書「ビタミンCの大量摂取がカゼを防ぎ、がんに効く」によれば、ヤギは、1日に体重1kgに対して190mgのビタミンCを体内で作っているそうです。そして、病気になった場合には、1日に最大で1kgに対して1,300mgものビタミンCを合成しています。

これを体重60kgの人間に換算すると、通常時で11.4グラム/日、病気の時で78.0グラム/日ものビタミンCを体内で作り出している計算になります。

では、ヤギは、これだけ多くのビタミンCを合成して体内で全て消費しているのかというと、そのようなことはなく、ヤギに限らずビタミンCを体内で合成できる動物でも、ビタミンCを排泄しているそうです。

そして、ビタミンCを大量に摂取しても意味がないとの主張は、ビタミンCを合成できる動物は体外にビタミンCを排泄しないことを前提にして作られた理屈なので、的外れとしか言いようがありません。

病気になったヤギが、大量にビタミンCを合成するのは、病気と闘うためと考えるのが素直でしょう。捨てるために合成しているとは、考えづらいですね。

ビタミンCの尿中排泄率

ビタミンCの経口摂取では、その量が増えるほど、尿中排泄率が高まります。「ビタミンCの大量摂取がカゼを防ぎ、がんに効く」の131ページに経口摂取でのビタミンCの吸収率と尿中排泄率が記されていたので、以下に紹介しておきます。

摂取量(mg) 吸収量(mg) 吸収率(%) 尿中排泄率(%)
~60 ~60 100 0
100 80~90 80~90 10~20
1000 750 75 25
2000 880 44 56
3000 1172 39 61
4000 1099 28 72
6000 1560 26 74
12000 1920 16 84

この表を見ると、60mgの摂取では100%吸収されますが、摂取量が増えるほど吸収率が下がるので、1回に大量のビタミンCを摂取することは非効率とわかります。でも、摂取量が増えるほど、吸収量が増えているので、400mg以上のビタミンCの摂取は無意味とは言えません。1,000mgの経口摂取でも750mgは体内に吸収されているのですから、1回の経口摂取で400mg以上のビタミンCの吸収は可能です。

ただ、吸収率を高めるためには少量を頻回に摂取した方が良いですし、血中のビタミンC濃度を高く維持するためにも、1回で大量に摂取するより間隔を空けながら複数回に分けて摂取した方が効果的です。これについては、以下の記事で紹介しています。

ビタミンCには、ウィルスの核酸(DNAやRNA)を切断して不活性化する能力があるので、ウィルス感染が疑われる場合には、とりあえずビタミンCを複数回に分けて大量摂取しておきましょう。1日1回の少量摂取では意味がありませんよ。

参考文献