東京、大阪、兵庫、京都の4都府県に4月25日から緊急事態宣言が発令されることになりました。期間は5月11日までの予定。
東京と京都まで便乗する必要はないと思うんけどね。そもそも、大阪も4月9日に陽性率がピークに達し、何もしなくても、陽性者数が減り始めているので、緊急事態宣言は不要なのですが、偉い人にはわからんのですよ。
新規陽性者数の増加の内訳
1月13日から4月23日までの陽性者の増加数を確認していきましょう。なお、データは、大阪府の「新型コロナウイルス感染症患者の発生状況について」のページから取得しています。
経路別の1月13日から4月23日までの陽性者数の増加表から見ていきましょう。
飲食店での陽性者の発生がないのはいつもの通りです。
一方、3月下旬以降、職場、学校、児童施設などでの陽性者の発生数が増加しているため、「他」の増加が目立ち始めています。増加率は128.6%で、最も高くなりました。
年代別の陽性者数の増加表です。
こちらは、未就学児の増加率が上昇しています。
なお、年代が不明の方が2人います。
1月13日から4月23日までの陽性者数の推移です。
4月10日頃から横ばいとなり、20日頃から減少に転じています。何もしなくても、陽性者数が自然に減っているのがわかりますね。1月13日に出された緊急事態宣言の時と同じです。
それなのにテレビでは、このままだと感染が拡大して医療崩壊を起こすと言っています。不思議ですよね。
こちらは検査数の推移です。
4月上旬は検査数が少なめだったのですが、4月中旬以降に検査数が増加しています。4月上旬の検査数の少なさから、今後、陽性者数がどう動くのか予想が難しかったのですが、4月中旬に検査数を増やしてくれたおかげで、感染の拡大が収まっていくだろうとの予測が立ちました。
なぜ、そんなことが言えるのかというと、下のグラフで示すように4月9日の9.2%をピークに陽性率が下がり始めているからです。
これは、検査数を増やしても、陽性者を見つけられなくなっていることを意味しています。「もう、これ以上掘っても、何も出てこないよ」ということですね。
4月10日に陽性者数が天井に達したと予想し、その後も陽性者数がじわじわ増えていたので予想が外れたかと思ったのですが、やっぱり4月9日が天井でした。これから再拡大する可能性もありますが、そうなった時は、緊急事態宣言が本当に意味がないとわかります。
経路別と年代別の陽性者数の推移
次に経路別と年代別で、陽性者の推移を見ていきましょう。
まずは、経路別の推移です。
感染経路不明と感染経路不明者の濃厚接触者等の増加が収まってきています。感染拡大と人の流れが一致しているようには見えません。
上のグラフから、医療機関、施設、他を取り出したのが下のグラフです。
「他」の増加が目立ちます。先ほど、未就学児の陽性者数が増加していると述べましたが、「他」に含まれている児童施設が保育園や幼稚園を指しているのでしょうか。
そうだとすると、園児がどこかで感染して、保育園や幼稚園で他の園児にコロナウィルスを移していることになります。では、園児はどこで感染しているのでしょうか?
未婚の大学生が出歩いて、園児にコロナウィルスを移しているのでしょうか。そんなことはないでしょう。園児が体調を崩して、医療機関に行った時にウィルスを移された可能性の方が高いはずです。
施設や職場での陽性者数も増加していますが、どうも、医療機関からウィルスが漏れ出て、感染が拡大したように思うのですが。
年代別の陽性者数の推移です。
灰色の線の20代以下は、すでに減少に転じています。
反対に青色の線の60代以上で陽性者数が増加しています。これを見る限り、感染しても無症状の若者が、他の世代にコロナウィルスを移しているとは考えられません。
オレンジ色の線の30~50代と60代以上は、増加数が相関しています。両者に関係があるのか、偶然なのか、どちらでしょうか。
年代別の陽性者数の累計です。
まだ、20代が突出していますが、そろそろ陽性者数が減少し始めているので、増加スピードが落ちていきそうです。
重症者数を見てもピークを過ぎているのがわかる
大阪府では、重症者数が重症病床数を上回り、医療崩壊が起こっていると言われています。
確保している重症病床は300弱で、4月23日時点での重症者数が334人ですから、約50人の重症患者が重症病床以外で治療を受けています。
1月13日から4月23日までの重症者の残留数の推移は以下の通りです。
これを見ると、4月に入ってから、一気に重症者数が増えているのがわかります。そして、このまま行けば重症者数が400人、500人と増加していき、さらに犠牲者が増えていくと危惧されています。
さて、病床のひっ迫度は、重症患者の残留数の影響を受けます。運ばれてくる重症患者の数が、退院する重症患者の数よりも多い状況が続けば、どんどん重症患者の残留数が増えていきます。上のグラフを見ると、そのような状況が続いているように思えます。
でも、これについては、重症患者の回転期間を見なければ、適切な判断をできません。企業では、仕入れた商品が何日後に売れるかの指標として在庫回転期間を用います。例えば、今日仕入れた商品が3日後に売れれば、在庫回転期間は3日です。
これを使って、重症患者の回転期間を分析します。
3月1日から23日までの比較的重症患者が少なく安定していた期間の回転期間は13.8日です。コロナに感染して重症化した人が、回復あるいは死亡するまでの平均的な期間が、約14日と推測できます。
大阪府で、変異ウィルスが広がり、感染が拡大し始めた3月24日から4月23日までの重症者回転期間の推移を示したのが以下のグラフです。
これを見ると、4月12日の41.4日が最長で、ここまではずっと右肩上がりに回転期間が長くなっています。ところが、4月13日以降は、徐々に回転期間が短くなっており、4月23日は31.4日にまで短縮しています。まだ、13.8日と比べると非常に長いですが、この調子で回転期間が短縮していけば、約2週間で13.8日くらいまで落ちてきそうです。
重症者回転期間の推移からも、感染拡大のピークは過ぎていると考えられますね。
なお、回転期間は過去30日間の退院と死亡の合計人数を元に計算しています。
死亡者数が増え始めている
1月13日から4月23日までの死亡者数は、634人でした。
4月に入ってからも死亡者数が増えてきませんでしたが、中旬以降に増加し始めています。
重症者数が増えているので、死亡者数も増えているのでしょう。
ただ、不思議なことに90歳以上の死亡が少ないです。1月13日から1月31日までは67人、2月1日から2月28日までは35人、3月1日から3月31日までは13人、4月1日から4月23日までは24人です。
90歳以上の陽性者数の推移をみると、4月以降が最も多くなっているのですが、死亡者が急増する気配がありません。
陽性が判明してから重症化するまで、重症化してから死亡までの期間を考慮すると、まだこれから90歳以上の死亡者数が増える可能性はあります。ただ、今のところは大幅に増える気配はありません。
1月13日から4月23日までの死者数の内訳です。
30代が2人、40代が3人、50代が17人です。
これまで30代の死者はいなかったのですが、この1週間で2人の死亡が確認されています。ただ、1人は、コロナ関連死かどうかが調査中となっていましたから、後から取り消される可能性があります。
全体的に死亡年齢が低下しており、変異ウィルスは若い世代でも危険だと言われています。ただ、先ほども述べたように死亡者の平均年齢の低下は90歳以上の死亡者数が少ないことも関係していますから、一概に変異ウィルスの毒性が強まったとは言えません。むしろ、3月下旬以降の陽性者数の増加と比べると、死者数が少ないので、変異ウィルスの毒性は従来のものよりも弱くなっているとも考えられます。
なお、1月13日から4月23日まで、大阪府でコロナ陽性と出た方の生存率を示すと以下のようになります。
- 90歳以上:80.5%
- 80代:88.0%
- 70代:95.2%
- 60代:98.6%
- 50代:99.7%
- 40代:99.95%
- 30代:99.96%
- 20代以下:100.0%
陽性者と死亡者が完全に対応していないので、参考程度にしかなりませんが、コロナに感染しても高確率で生存しています。90歳以上でも5人中4人は生存しているのですから、それほど怖いウィルスではないですね。