夏ほど痩せやすい季節はない

冬は痩せやすい季節と言われますが、実感としては夏の方が痩せやすく感じているはずです。

感じるどころか、実際に体重を測定すれば、冬より夏の方が体重が減っていますから、夏が痩せやすい季節であることは間違いないでしょう。夏は、じっとしていても痩せていきますし、運動すれば他の季節以上に体重が大幅に減少します。

だから、痩せたければ夏に運動するのが最も効果的です。

基礎代謝率は酸素消費量で測る

基礎代謝という言葉があります。

基礎代謝は、安静にしている状態でのエネルギー消費量のことです。何もせず、ボーっとしているだけでも、ヒトはエネルギーを消費します。

基礎代謝が高い人ほど、多くのエネルギーを使うので太りにくいとされています。そして、基礎代謝は冬に高くなるとされています。なぜ、冬に基礎代謝が高くなるかというと、体温を上げるために体内で熱を作り出すからです。

ヒトは、糖質、脂質、タンパク質からエネルギーを作り出せますが、多くのエネルギーを作り出すためには酸素が必要です。だから、我々は、エネルギーを作り出すために酸素を吸っているんですね。

酸素を吸って、糖質、脂質、タンパク質からエネルギーを作り出すと、二酸化炭素と水が発生します。冬は、二酸化炭素を吐き出す量が増えることから基礎代謝が高まっていると考えられています。

ところが、単位時間あたりのエネルギー消費量を示す基礎代謝率は、酸素消費量を計測して求めます。

生物学者の本川達雄先生の著書『生物学的文明論』に酸素消費量の測り方が簡単に説明されているので紹介します。

酸素消費量を測るには、動物を、暑くもなく寒くもなく、その動物にとって快適な環境に置き、しばらく絶食させて、眠ってはいないが安静にしている状況の酸素消費量を測ります。朝起きてボーッとしている時が、だいたいこの状態です。このようにして求めた単位時間あたりの個体の酸素消費量を基礎代謝率と呼びます。(145ページ)

この文章を読むと、冬に二酸化炭素を吐き出す量が増えるから基礎代謝が上がるというのは、ちょっと意味が違うような気がしますよね。

運動時は酸素消費量が増える

運動をすると安静時と比べて多くのエネルギーを使います。エネルギーを多く使っているということは、酸素消費量が増えているということです。

運動時は、呼吸が速くなりますが、あれは、体内に多くの酸素を取り込んでいるわけですね。そうすると、息が荒くなっているときは、酸素を多く体内に取り込んでいる状態ですから、酸素消費量が増えているはずです。したがって、その状態は、エネルギーを多く消費している状態であるはずです。

では、夏と冬で、どちらの方が呼吸が速くなっているでしょうか?

何もしていないときは、夏も冬も、呼吸の速さは同じくらいだと思います。では、運動しているときはどうでしょうか。きっと、多くの人が、夏の方が息が荒くなると感じているはずです。

息が荒い状態になると、多くの酸素を体内に取り込んでいるから、酸素消費量も増えていると考えれば、冬より夏の方が多くのエネルギーを消費していると言えませんか?

吐き出す二酸化炭素の量が多いから痩せるのか、吸い込む酸素の量が多いから痩せるのか。

どちらの説明も、論理的で正しいように思えます。

しかし、誰もが夏に痩せ、冬に太る経験をしているのですから、夏は痩せやすい季節とみて間違いないでしょう。夏に運動するのは辛いですが、ちょっと歩くだけでも簡単に体重が減りますから、歩いて買い物に行くなどの工夫をするだけで、今より痩せることができますよ。

参考文献