健康情報の常識を疑う

先日、明石家さんまさんとマツコ・デラックスさんがMCをしている番組を見ていたら、元プロ野球選手の桑田真澄さんが家族で出演されていました。

桑田さんの息子さんは、タレントのMattさん。

さんまさんが、Mattさんに桑田さんからどういう教育を受けたのかを問うと、今まで一度も叱られたことがなく、いつも「常識を疑え」と言われていたそうです。常識を疑うのは難しいことです。ただ、多数派に反対するだけなら、常識を疑うというより、ひねくれているだけです。

矛盾に気づくことから始まる

常識を疑うのは、それが何か変だと感じるからです。そして、変だと感じるのは、おそらく、何かしらの矛盾が生じているからだと思います。

ネットを見ていたら、糖質制限に否定的なお医者さんが、糖尿病患者にSGLT2阻害薬を投与していると述べていました。これなんかは、まさに矛盾です。

糖質制限は、体内に糖質(ブドウ糖)を入れないことで血糖値を上げないようにします。一方、SGLT2阻害薬は、尿細管からのブドウ糖の再吸収を邪魔して、ブドウ糖を外に捨てさせ、血糖値が上がらなくする薬です。

ブドウ糖を体内に入れるかどうかの違いはありますが、どちらも、体からブドウ糖を排除して血糖値を上げないようにする点では同じです。それなのに糖質制限を否定し、SGLT2阻害薬を使うのですから、そのお医者さんが言っていることは矛盾しています。

事実と理屈のずれ

また、現実に起こっていることと理屈との間にずれが生じている場合も、常識を疑うきっかけになります。

糖尿病は、肥満が原因で発症するというのが常識です。でも、糖尿病になった人の中には、痩せている人だっています。肥満が糖尿病の原因なら、痩せるように指導することで糖尿病の予防になるでしょう。

では、痩せている人はどうでしょうか。この場合も、糖尿病の予防や改善のために痩せろと言うお医者さんがいます。これも矛盾していますよね。

太っていて糖尿病になる人。痩せていて糖尿病になる人。どちらにも痩せろというのはおかしな話です。

糖尿病は、上がった血糖値が下がりにくくなる病気です。太っていて血糖値が下がらない人は痩せれば下がるかもしれません。しかし、もともと痩せている人の場合、肥満が原因で血糖値が下がらないわけではないので、同じように痩せろと指導するのは変ですよね。

世の中にあふれている健康情報には、こういった矛盾したものが多くあります。事実と理屈が食い違っている場合には、常識とされていることを疑いましょう。

テレビの健康番組なんて、矛盾の宝庫ですから、常識を疑うトレーニングにもってこいですよ。