糖尿病の食事療法に糖質制限食が有効と認められたの?

しらねのぞるばさんのブログの以下の記事で、日本糖尿病学会の『糖尿病診療ガイドライン2024』が紹介されていました。

上の記事には『糖尿病診療ガイドライン2024』が無料でダウンロードできるページへのリンクも貼ってあったので、私もダウンロードしてちょっとだけ読んでみました。その中には、糖尿病の食事療法についても解説されており、炭水化物(糖質)制限の有効性の記載もありました。

肥満の人にはエネルギー摂取量の制限が推奨される

その食事療法を読んでいくと、CQ3-2で「糖尿病の血糖コントロールのためにエネルギー摂取量の制限を推奨すべきか?」というQ&Aがありました。そして、その答えは、「過体重・肥満を伴う 2 型糖尿病の血糖コントロールのためにエネルギー摂取量の制限が推奨される」というものでした。

エネルギー摂取量の制限は、一般的にカロリー制限と言われるものですね。過体重を伴う2型糖尿病の場合、5%以上の減量によって血糖コントロールが有意に改善するそうです。

まあ、そうでしょうね。肥満が原因のインスリン抵抗性で血糖値が上がっているのなら、痩せればインスリン抵抗性が改善され、それに伴い血糖値も下がるのは容易に想像できます。糖尿病は太っている人だけが発症する病気だと思われていた時代には、エネルギー摂取量の制限が効果的な食事療法であり、それ以外は考えられなかったのでしょうね。

糖質制限食はどうか

CQ3-2では、「糖尿病の血糖コントロールのために炭水化物制限は有効か?」という問いが示されていました。そして、その答えは、「 2型糖尿病の血糖コントロールのために,6~12 ヵ月以内の短期間であれば炭水化物制限は有効である」というものでした。

糖質制限食を認めたように思えますね。

でも、12~24ヶ月以降は、HbA1cの改善に有意差はなかったとしており、糖質制限食を長期的に行っても意味がないような記載になっています。また、以下の記載もあり、糖質制限食を認めることはできないという意思が伝わってきます。

総エネルギー摂取量を制限せずに,炭水化物のみを極端に制限することによって体重や HbA1c の改善を図ることは,その効果のみならず,長期的な食事療法としての遵守性や安全性など重要な点についてこれを担保する科学的根拠が不足しており,現時点では勧められない.(43ページ)

いつまでこんなこと言ってるんだと思いますよね。糖質制限食については、十分な研究が行われていないから勧められないと読めそうなのですが、そもそも、糖質制限食の研究をする気があるのか疑問です。

長期の糖質制限食を勧めないのなら、長期の糖質制限食の研究なんてできないでしょう。

カロリー制限との併用なら糖質制限食は認められるのか?

上の引用した文章に「総エネルギー摂取量を制限せずに,炭水化物のみを極端に制限すること」という文言が見られます。

これって、「カロリー制限と糖質制限を同時に行うのなら問題ないよ」と読めなくもないですよね。

それなら、過体重を伴う2型糖尿病の人が、カロリー制限をする場合、まず、糖質摂取量を減らすことから始めれば、カロリー制限と糖質制限の両方の良いとこ取りができるじゃないですか。

そんなこと糖質制限をしている人なら、誰でも知っていることなんですけどね。

とりあえず、日本糖尿病学会も、短期であれば糖質制限の効果を認めているので、太っている2型糖尿病の人には、「カロリー制限をするなら、まず糖質量を減らした方が良いよ」とアドバイスしても問題ないのでしょう。

まあ、私は、糖尿病の人には糖質制限するようにアドバイスしますけどね。