先日、フジテレビの「ホンマでっか!?TV」でダイエットの特集をしていました。その番組内で、ある専門家の先生が、糖質制限ダイエットで痩せるのは、体から水分が抜けるだけとおっしゃっていました。
いったい何年前の古い知識を持ち出しているんだと思いましたね。実際に糖質制限をすれば体脂肪率が下がるので、水分が抜けるだけが糖質制限で痩せる理由ではありません。
ホルモン感受性リパーゼの働きを知ろう
このようなデマに騙されないためには、栄養学、生理学、生化学の順番で本を読むのがおすすめです。でも、そんなこと面倒だという人は、とりあえず、ホルモン感受性リパーゼの働きだけは押さえてください。
中性脂肪は、3個の脂肪酸を1個のグリセロールが束ねるようにして構成されています。体にぜい肉として蓄えた中性脂肪からエネルギーを作り出すには、まず、中性脂肪を分解して脂肪酸を取り出さなければなりません。ここで、中性脂肪を分解する働きをするのがホルモン感受性リパーゼです。
ホルモン感受性リパーゼが活発に働いていれば、体に蓄えた中性脂肪はどんどん分解されて脂肪酸へと変わっていきます。そして、脂肪酸はアセチルCoA(コーエー)となって、細胞内のミトコンドリアでオキサロ酢酸とくっつきクエン酸になります。
次にクエン酸は、クエン酸回路で酸化され電子が取り出されます。その電子は電子伝達系に運ばれてアデノ三リン酸(ATP)と呼ばれるエネルギーになります。
体内で、上の反応が続いている限り、中性脂肪は分解され続けますから太りにくくなります。反対に上の反応が抑えられると中性脂肪が溜まっていき太りやすくなります。
ホルモン感受性リパーゼの働きが中性脂肪を溜めにくくするために必要なのですが、糖質を摂ると、このホルモン感受性リパーゼの働きが抑えられてしまいます。糖質を摂ると血糖値が上がります。その血糖値を下げるためにすい臓からインスリンが分泌されます。そして、インスリンはホルモン感受性リパーゼの働きを押さえようとします。
- 太らないためにはホルモン感受性リパーゼを働かせる必要がある
- ホルモン感受性リパーゼは、インスリンが分泌されない状態を維持することで働きが持続する
- インスリンは糖質を摂取すると大量分泌される。
- だから、糖質摂取が肥満の原因になる
まとめると上の通りです。ホルモン感受性リパーゼの話をしないダイエットの専門家の話を聞いても無駄ですよ、なお、ホルモン感受性リパーゼについては、下の記事で図を使って説明していますからご覧になってください。
糖質制限をやめたら太る
ホルモン感受性リパーゼの働きがわかれば、糖質制限をやめたらリバウンドする理屈もわかると思います。
番組では、ブラックマヨネーズの小杉さんも出演されており、以前に糖質制限をしていた時は、80kgくらいの体型でした。小杉さんも、ダイエットのために糖質制限をしたのですが、糖質制限をやめて、また太ってしまいました。
糖質制限前、糖質制限中、糖質制限後の小杉さんの写真が紹介されていましたが、明らかに糖質制限中は痩せていました。この3枚の写真を比べれば、糖質を食べている期間に太っていることが証明されているわけですから、太らないようにするには、糖質制限を継続するしかないことがわかります。
たまに糖質を食べるくらいなら太りませんが、毎食、ご飯やパンを食べていれば、誰だって太っていきますよ。
糖質制限で痩せるのは水分が抜けるだけだという言説に騙されないようにするためにも、生化学の本は読んんだ方が良いですね。