タンパク質は筋肉だけでなく脳にとっても重要な栄養素

筋トレをしていると、タンパク質が重要だと思うことがよくあります。どんなに筋肉を鍛えても、それを大きくするための材料がなければ、パワーアップすることはできません。

誰もが知っていることですが、筋肉は、タンパク質でできています。だから、筋肉を強化するために必要な材料はタンパク質であり、これが不足していると、トレーニングをがんばっても筋力アップするのが難しいんですね。

タンパク質は、筋肉だけでなく、脳にとっても重要な栄養素です。よく脳の唯一のエネルギーは糖質だと言われますが、これは完全な誤りで、糖質を補給する必要はなく、タンパク質をしっかりと摂った方が良いのです。

肉を食べることが思考力を高める

最近、心療内科医の姫野友美先生の「成功する人は缶コーヒーを飲まない」という本を読みました。

本のタイトルだけを見ると、缶コーヒーを買って飲むより、自分で豆をひいた方が安上がりで、しかも美味しいから、できるビジネスマンは缶コーヒーを飲まないといった内容が書かれたビジネス書なのかなと思ってしまいますが、そうではありません。

おおざっぱな内容は、糖質の過剰摂取は様々な疾病の原因となるので控えましょうといったものです。つまり、糖質制限について書かれているんですね。

この本の中では、肉を食べれば頭の回転が速くなると述べられています。その理由は以下の通りです。

脳にいちばん必要な栄養素は、タンパク質である。脳の乾燥重量の40%はタンパク質でできており、神経伝達物質の原料もタンパク質であり、それをキャッチする受容体もタンパク質だからである。この神経伝達物質がとても重要で、私たちが考えたりひらめいたりするとき、脳内では神経伝達物質の信号が活発に行き来している。つまりタンパク質から神経伝達物質を十分に作り、それを放出させることができれば、情報のやりとりがひんぱんに行われるため、脳が活性化してアイデアがたくさん浮かぶようになる。(52ページ)

反対に摂取すべきではないものが、本のタイトルにもなっているように砂糖入りの缶コーヒーです。

別に缶コーヒーでなくても構わないのですが、砂糖を摂ると眠気が襲ってくるので、出社して、今から仕事をするぞという時に甘いものを口にするのは厳禁です。

人の体は、糖質を摂取すると血糖値が上がり、それを下げようとするためにインスリンが追加分泌されます。そうすると、低血糖症という症状が表れ、脳にエネルギーとして使われるブドウ糖がうまく供給されなくなり、眠気やだるさ、集中力の低下を招きます。また、うつ病やパニック障害の原因も、低血糖症が大きな要因だと姫野先生は述べています。

脳は糖質をエネルギーとして使ってるのだから、頭が疲れて来た時には、脳へのエネルギー補給のために甘いものを食べるのが良いと思っている人は、考え方を改めた方が良いですね。それ、逆効果ですから。

脂質を摂っても太らない

ダイエットに関していうと、脂質の過剰摂取が太るという説がありますが、これも間違いなんですね。

肥満の原因は何かと聞かれたら、ほとんどの人が「脂質の摂りすぎ」と答えるだろう。しかし脂質を摂ってもほとんど血糖値が上がらないため、インスリン分泌はされず内臓脂肪は増えにくい。(中略)
それよりも健康的だと思っている和食の味つけや市販のたれやめんつゆなどに含まれている砂糖を摂ることで、血糖値が上がってインスリンの分泌に負担をかけていることに気がついてほしい。メタボリックシンドロームや糖尿病を予防するためにやせようと思うのなら、脂質ではなく糖質を減らすべきなのだ。(86~88ページ)

太るというのは、簡単にいうと、体に脂肪がつくということです。そして、体に脂肪がつく原因は、インスリンが食べたものを脂肪に変えて体に貯めこもうとすることです。そのインスリンを追加分泌させるスイッチになっているのが糖質なんですね。だから、甘い食べものだけでなく、砂糖が使われた調味料を料理にかけて食べることも、肥満の原因になり、ダイエットの妨げとなるのです。

豚肉の脂身を見ていると、ついつい自分のお腹周りについているぜい肉は、これが原材料なのではないかと思ってしまいますが、そうではありません。確かに脂身を見ていると、体についた脂肪を連想してしまいます。しかし、両者は別物です。

豚肉の脂身を食べると体に脂肪がつくと言うのは、手羽先を食べると背中から翼が生えてくると言うのと同じことです。誰だって、手羽先食べたら飛べるようになるとは思いませんよね?でも、不思議なことに脂身を食べると脂肪になると思っている人がとても多いんですよね。

姫野先生の「成功する人は缶コーヒーを飲まない」は、バリバリ仕事をこなしたいビジネスマンの方だけでなく、ダイエットに取り組んでいる方にぜひとも読んでいただきたいですね。とてもわかりやすく太る仕組みを解説されていますし、それほど文章量も多くないので簡単に読めますよ。

何より姫野先生自身が、砂糖の摂取をやめタンパク質をしっかりと補給する食生活に変えたことで、疲労が取れやすくなった、体重や体脂肪が減ったという経験をされている点がすばらしいですね。

参考文献