筋トレで重視すべきはアミノ酸スコアかプロテインスコアかどっちだ?

筋肉量を増やすためには、筋トレの他に食事にも気を使わなければいけません。

筋肉は、タンパク質でできているので、特に意識したいのはタンパク質の量と質です。どのくらいの量のタンパク質を毎日食べた方が良いのか、またタンパク質なら何でも構わないのか、といった疑問はトレーニングをしている人なら必ず出てきます。

量に関してよく言われるのが、体重の0.1%から0.2%のタンパク質を補給すべきということです。体重50kgの人なら、1日のタンパク質の摂取量は50gから100gが量の目安となります。

では、質についてはどうでしょうか?

これに関しては、アミノ酸スコアとプロテインスコアという2つの指標があるのですが、どちらを信頼すべきか迷う人も多いことでしょう。

アミノ酸スコアとプロテインスコアの違い

アミノ酸スコアとプロテインスコアを簡単に説明すると以下のようになります。

アミノ酸スコア
特定の食品に対し、窒素1gあたりに占める必須アミノ酸が基準値と比較してどれだけ含有されているかを評価したもの
プロテインスコア
特定の食品に含まれる必須アミノ酸が、人体が求める必須アミノ酸の比率と比較してどの程度含まれているかを評価したもの

アミノ酸スコアはWikipedhiaから引用したものです。また、プロテインスコアは、分子栄養学の三石巌先生の著書「医学常識はウソだらけ」に記述されていたものを要約しています。

上記の定義を読むと、どちらも、ある食品が必須アミノ酸をどの程度含んでいるかを示したものということがわかるでしょう。そして、どちらの指標でも満点は100点となります。

異なっているのは、アミノ酸スコアが窒素1gあたりを基準にしているのに対して、プロテインスコアは人体が求める必須アミノ酸の比率を基準としていることですね。

両者で大きく異なるタンパク質の良質度

次に主な食品で、アミノ酸スコアとプロテインスコアでのタンパク質の良質度を見てみましょう。

以下に示したのは、卵、牛肉、大豆のアミノ酸スコアとプロテインスコアです。

アミノ酸スコアとプロテインスコアの比較

これを見ると、アミノ酸スコアの場合、卵、牛肉、大豆はどれも100点満点なので、タンパク質の良質度は同じと言えます。ところが、プロテインスコアの場合は、卵は100点満点ですが、牛肉は80点、大豆は56点となっています。

卵に関してはどちらも同じなので問題ないですが、牛肉と大豆では、両者で評価が大きく異なっています。いったいどちらを信用すべきでしょうか。

どちらのスコアも高い食品を優先する

2つの指標で評価が異なっている場合は、どちらのスコアも高い食品を優先するのが良いと思いますね。

素人が本を読んで身につけた知識では、どちらの指標が優れているかを判断するのは難しいです。そもそもタンパク質を研究している方たちで、評価が分かれているということは、まだわからない部分がたくさんあるのでしょう。

だから、筋力アップを目指すのならアミノ酸スコアもプロテインスコアも100点満点の卵を重視するのが良いでしょう。また、牛肉と大豆に関しても、どちらを食べるか迷った時は、プロテインスコアが高い牛肉を選ぶべきでしょうね。

Wikipediaを読んでいると、アミノ酸スコアには以下の問題があることが指摘されていました。

「窒素1gあたり」の数値であり、実際の含有量は考慮されていない。「アミノ酸スコアは高いがタンパク質そのものが少ない食品」も当然有り得る。端的に言えば、アミノ酸スコア100点である牛乳を水で100倍にうすめただけの製品を作ったとしてもアミノ酸スコアは100点である。大豆はタンパク質が多く精白米は少ないという事実はアミノ酸スコアには表れない。

つまり、卵も牛肉も大豆も同じ100点満点だったとしても、必須アミノ酸の含有量までわからないので、1日のタンパク質の必要摂取量を把握するのが困難だということです。

これに対して、プロテインスコアの場合は、「医学常識はウソだらけ」の中で、10gの良質タンパク質を摂取できる必要量を食品ごとに示してあるので実用的です。例えば、牛肉は65gで良質タンパク質を10g補給できるので、体重50kgの人なら330g食べれば、1日のタンパク質の必要量を摂取できる計算になります。1種類の食品で必要量のすべてを賄わなくても、卵や魚などのプロテインスコアを調べれば、様々な食品を食べながら良質タンパク質を補給できるので、アミノ酸スコアを利用するより便利ですね。

アミノ酸スコアにしてもプロテインスコアにしても、食品に含まれるタンパク質の良質度を知ることはできますが、どの程度、体に吸収できるのかはわかりません。

例えば、タンパク質30gが含まれる量の大豆を食べたとしても、そこからどのくらいタンパク質を吸収できるのかはわからないのです。大豆の場合は、炒った状態で食べても20%程度しかタンパク質を補給できません。納豆にして食べると80%程度のタンパク質を補給できるので、食べ方を工夫しなければならない点で、大豆はタンパク質の補給に関しては良質な食材とは言えないでしょう。

アミノ酸スコアとプロテインスコアのどちらを信用すべきか。

私は、プロテインスコアをタンパク質の摂取の目安にする方が良いと思っています。

なお、1日に摂取すべき必須アミノ酸については、以下の記事にまとめています。

参考文献