大人が1日に摂取しなければならない9種類の必須アミノ酸の必要量を調べてみたところ、どうも、メチオニンとフェニルアラニンの補給が難しそうな感じでした。
メチオニンもフェニルアラニンも1日に2,200mgを摂取する必要があります。卵で補給するのも割と難しく、特にメチオニンの必要量を満たすのが厳しそうです。そこで、メチオニンとフェニルアラニンが多く含まれている食品を調べてみました。
メチオニンとフェニルアラニンを摂取しやすい食品
参考にしたのは、文部科学省の「日本食品標準成分表2015年版(七訂) アミノ酸成分表編」です。こちらのページからエクセルファイルをダウンロードして、メチオニンとフェニルアラニンが比較的多く含まれていて日常的に食べる機会が多そうな食品を探しました。
その結果は、以下の表のとおりです。
メチオニンとフェニルアラニンが多く含まれている食品(100g当たり) | ||
食品 | メチオニン(mg) | フェニルアラニン(mg) |
魚介類 | ||
まさば さば節 | 2,400 | 3,000 |
まだら 干しだら | 2,200 | 2,700 |
かずのこ 乾 | 2,000 | 3,000 |
かたくちいわし 煮干し | 1,900 | 2,600 |
するめ | 1,600 | 2,100 |
ほたてがい 貝柱 煮干し | 1,500 | 2,000 |
いかなご 煮干し | 1,300 | 1,700 |
うるめいわし 丸干し | 1,300 | 1,900 |
なまり節 | 1,100 | 1,400 |
しらす干し 半乾燥品 | 1,100 | 1,600 |
肉類 | ||
ぶた 中型種肉 ロース 赤肉 生 | 660 | 910 |
ぶた 中型肉腫 もも 赤肉 生 | 660 | 860 |
ぶた 中型種肉 ヒレ 赤肉 生 | 600 | 890 |
ぶた 中型種肉 かたロース 赤肉 生 | 560 | 820 |
ぶた ロースハム | 410 | 660 |
ぶた ベーコン | 270 | 500 |
うし 交雑牛肉 ヒレ 赤肉 生 | 530 | 820 |
うし 交雑牛肉 もも 赤肉 生 | 510 | 810 |
うし 交雑牛肉 リブロース 赤肉 生 | 420 | 680 |
うし 交雑牛肉 ばら 脂身つき 生 | 300 | 500 |
にわとり 若鶏肉 むね 皮つき 生 | 550 | 780 |
にわとり 若鶏肉 もも 皮つき 生 | 520 | 760 |
乳製品、卵 | ||
ナチュラルチーズ エダム | 830 | 1,700 |
ナチュラルチーズ ゴーダ | 740 | 1,500 |
プロセスチーズ | 580 | 1,200 |
鶏卵 全卵 生 | 390 | 630 |
フェニルアラニンは、どの食品にも比較的多く含まれているので、1日に2,200mg摂取するのは難しくなさそうです。
メチオニンは、魚介類に多く含まれている傾向にあります。ただ、上記の表に掲載しているのは、煮干しやさば節のように乾燥させたものばかりです。水分が少なくなっている分だけ、タンパク質の含有量が多くなっているのでしょう。メチオニンが多いのもそれが理由と思います。でも、魚介類は刺身にしても焼いても、100グラム当たりで500mg以上のメチオニンが含まれているものが多いですから、メチオニン補給に優れた食品です。
肉類は、牛肉、豚肉、鶏肉、どれも100グラム当たりでメチオニンが500mg程度含まれています。なので、1日に400グラム食べれば、2,000mgはメチオニンを補給できる計算になりますね。
米、パン、麺類など炭水化物が多く含まれている食品を中心に食事をしていると、メチオニンが不足するでしょうが、これらの食品をできるだけ食べず、その代わりに肉、魚介類、乳製品、卵を多く食べるようにすれば問題なさそうです。
何はなくともメチオニン
人間の体はタンパク質からできています。
タンパク質を作るためには、遺伝暗号が必要になり、その遺伝暗号には20種類のアミノ酸をどのように使うのかが記されています。
遺伝情報は、ウラシル(U)、シトシン(C)、アデニン(A)、グアニン(G)の4種類の塩基と呼ばれる文字が使われます。そして、これら4種類のうちから3種類を組み合わせてアミノ酸の種類が決定されます。例えば、フェニルアラニンであれば「UUU」と「UUC」と記載され、メチオニンであれば「AUG」と記載されます。ちなみにこれら3文字の並びのことをコドンと言います。
メチオニンがタンパク質を作るのに大切なのは、必ず遺伝暗号の始まりがAUG(メチオニン)からスタートするからです。このスタート段階のコドンのことを開始コドンと言います。
つまり、メチオニンがなければ、タンパク質の製造が始まらないということですね。だから、メチオニンは私たちが生きていくために非常に重要なアミノ酸なのです。とは言え、他のアミノ酸もなければタンパク質は作れませんから、どのアミノ酸も欠けてはいけません。特に体内で合成できない必須アミノ酸は、しっかりと食品から摂取しなければなりませんね。
メチオニンだけのサプリメントはあるのかなと思って、アマゾンを覘いて見たらありました。アマゾンは何でもおいてますな。1粒で500mgのメチオニンを補給できるようです。肉、魚、卵中心の食事をして間食にチーズを食べていれば、メチオニンが不足することはなさそうですけど。
野菜中心の食事だと足りてなさそうですが、そういう人は全体的にタンパク質が不足しているはずですから、メチオニンだけ摂取しても仕方ないでしょうね。