最近、ベジファーストという言葉を知りました。ベジファーストは、食事のとき、最初に野菜から食べることです。
最初に野菜を食べておけば、血糖値の上昇を緩やかにできるというのがベジファーストが推奨される理由です。この考え方自体は、随分前からあり、私も知っていましたが、ベジファーストと呼ばれているとは知りませんでした。
ある健康番組でも、外食時にサラダやキャベツの千切りを最初に食べる人が増えていると紹介されていました。
でもね。血糖値を上げたくないのなら、糖質制限をするべきですよ。
血糖値を直接上げるのは糖質だけ
食べ物の中で、血糖値を直接上げるのは糖質だけです。だから、血糖値を上げたくないのなら糖質制限食が最も効果的です。
食事の際に全く糖質を摂取しなければ、基本的に血糖値は上がりません。また、20グラム程度の少量の糖質摂取でも、血糖値はそれほど上がりません。
でも、例えベジファーストであっても、米、パン、麺類など、炭水化物(糖質)が多く含まれているものを食べれば血糖値は上がります。ただ、血糖値の急激な上昇は抑えられるというだけです。
血糖値を直接上げるのは糖質だけだということを教えずに「ベジファーストなら血糖値が上がりにくくなりますよ」と食事指導するのはどうなんでしょうね。まずは、糖質制限食を指導すべきだと思いますよ。
糖質制限をしている人でもベジファーストとか意味不明
糖質制限をしている人の中にも、ベジファーストが大事だと言っている人がいます。
私には、この理屈が全く分かりません。
糖質制限をしていれば、食事でほとんど血糖値は上がらないのですから、ベジファーストなど意識する必要はないでしょう。むしろ、野菜を先に食べることでミネラルの吸収が邪魔されますから、普段の食事で、しっかりと栄養補給したいのであれば、肉や卵などの動物性タンパク質を先に食べるべきです。
ただ、血糖値を直接上げるのは糖質だけですが、タンパク質摂取で間接的に血糖値が上がることは知っておいた方が良いでしょう。
タンパク質を食べると、血糖値を下げるインスリンが分泌されます。そして、同時に血糖値を上げるグルカゴンも分泌されます。
でも、血糖値の下降と上昇が相殺されるので、見た目の血糖値は上がりません。
ただし、インスリン分泌量が減っている糖尿病の方は、タンパク質摂取でのインスリン分泌量が少なくなるので、グルカゴンによる血糖上昇が優位となり、見た目の血糖値が上がります。
タンパク質は、ただでさえ消化吸収に限界があるのにベジファーストでさらに吸収を邪魔することに意味はないでしょう。1回の食事でタンパク質は、20グラムから40グラム程度しか消化吸収できないと言われていますし、吸収できても25%程度だとも言われています。
そもそも、人間は植物の細胞壁を消化するためのセルラーゼという消化酵素を持っていないので、野菜をたくさん食べて、しっかりと栄養保有できたと思うのは大間違いでしょう。
ベジファーストは、糖質制限食を指導しても、なかなか糖質断ちできない場合に提案すべきことだと思いますよ。
食事で血糖値が上がる理由を教えずにベジファーストを先に指導しても、糖質摂取で血糖値が上がるという根本的な問題を何も解決しません。