4月25日に大阪府など4都府県に緊急事態宣言が発出されて、そろそろ1週間が経とうとしています。
新型コロナウィルスが体内に入ってから症状が出るまでに1週間程度かかるとされていることから、現時点では、緊急事態宣言の効果があったのかどうかを判断することはできません。
このところ新規陽性者数が緩やかに減少していますから、緊急事態宣言なしでも、感染者が減っていきそうなのですが。
新規陽性者数の増加の内訳
1月13日から4月30日までの陽性者の増加数を確認していきましょう。なお、データは、大阪府の「新型コロナウイルス感染症患者の発生状況について」のページから取得しています。
経路別の1月13日から4月30日までの陽性者数の増加表から見ていきましょう。
最近、「他」の増加が際立っています。「他」には、事業所や学校などが含まれており、これらで多くの陽性者が出ています。
また、施設での陽性者数も増加しています。
医療機関での陽性者数の発生は落ち着いてきていますが、それでも、ある時、院内感染が起こって多くの陽性者が出ることがあります。
飲食店は、いつもの通り、陽性者は出ていません。
次に年代別に陽性者数の増加を見ます。
未就学児の陽性者数が、このところ増え続けています。就学児よりも陽性者数が多いです。
児童施設での陽性者の発生が増えてきているので、保育園や幼稚園で感染しているのかもしれませんね。それにしても、どこから児童施設にコロナウィルスが持ち込まれているのでしょうか。
感染経路不明が減ってきた
1月13日から4月30日までの新規陽性者数の推移を見ていきましょう。
4月10日頃から、大きな動きはありませんが、少しずつ陽性者数が減少しています。
1月13日から4月30日までの検査数の推移です。
検査数が1万9千件を超えてきました。それでも、陽性者数が増えていないので、感染拡大のピークは過ぎたと考えられます。
そして、こちらは1月13日から4月30日までの陽性率の推移です。
ゆっくりですが、陽性率が下がっています。4月30日の1週間平均の陽性率は7.3%、同日の陽性率は5.4%ですから、最も高かった4月9日の9.2%から着実に低下しています。
陽性率の推移をみると、感染の再拡大は起こりそうには思えませんね。
経路別の陽性者の推移です。
感染経路不明と感染経路不明者の濃厚接触者等が横ばいから減少に転じています。
これらが減少し始めているので、市中感染が落ち着き始めていると推測できます。やっぱり、緊急事態宣言はいらなかったんじゃないですか。
上のグラフから、医療機関、施設、他を取り出したグラフです。
4月30日に感染経路不明と感染経路不明者の濃厚接触者等に計上されていた陽性者45人の感染経路が判明し、施設に人数が移されています。後から感染経路が判明すると、感染源が施設だったということが多いです。
施設には、高齢者や持病がある方が暮らしているので、感染予防が最も重要なのですが、メディアの報道内容からは、施設での対策が行われているようには見えません。メディアも、飲食店ばかりを悪者にしようとしているので、視聴者に施設での陽性者が多い事実が伝わっていないようです。
ここ3ヶ月で、飲食店での陽性者の発生はわずか22人ですから、どんなに飲食店での対策をしても3ヶ月に22人しか減らすことはできません。飲食店での時短営業やアルコールの販売を禁止するよりも、施設での感染予防に力を入れたほうが、医療のひっ迫を解消できるでしょう。
こちらは、年代別の陽性者数の推移です。
20代以下で陽性者数が減少しています。60代以上も、この3日間で陽性者数が減少し始めています。
30~50代は、まだ横ばいです。
このグラフからは、若者が感染を拡大させているようには見えません。30~50代の陽性者の方が多いのですから、感染を拡大させている世代があるとすれば、この世代と普通は考えるはずです。
でも、実際のところは、特定の世代が感染を拡大させているということはないのでしょう。たまたまウィルスがいる場所にいたから感染したのであって、特定の世代がウィルスの運び屋になっていると決めつけていると、感染拡大の本当の原因がわからなくなります。
年代別の陽性者数の累計です。
20代が最も多いですが、30代から50代も結構多いです。
重症者数は増え続けている
重症者の状況も確認しましょう。
4月30日時点で、重症として治療を受けている人は412人です。
グラフを見ても、重症者の残留数は増え続けています。
ただし、今現在の重症者が、回復や死亡により重症者でなくなるまでの回転期間は短くなっています。
4月30日は、重症解除となった人数が13人しかいなかったので、回転期間が延びていますが、4月29日以前までは、順調に回転期間が短縮しています。4月26日以降は30人前後の人が重症解除となっていますから、この調子でいけば5月8日頃には、重症者残留数が増加しなくなりそうです。
回転期間が14日まで短縮してくれば、重症者残留数が減り始めると思います。
1日に44人の死亡が確認されたが
4月29日に大阪府で44人の死亡が確認されました。
この死亡者数に驚いた方が多かったと思いますが、この44人は4月29日の発表数であり、4月29日に44人が亡くなったわけではありません。大阪府の公表資料を見ると、4月29日の死亡者数は、4月19日から28日までの期間に亡くなった方が集計されていました。事務処理の関係で、4月29日に多くの死亡者が発表されたということですね。
1月13日から4月30日までの死亡者数は766人で、その推移は以下の通りです。
なお、4月30日は8人の死亡が確認されています。
期間を通して全体を見ると、1月から2月の死亡者数の推移と4月上旬以降の死亡者数の推移はほぼ同じですね。陽性者数や重症者数が2倍ほど増えているにもかかわらず、死亡者数は大きく増加していません。
これからどうなるかはわかりませんが、今のところ、変異ウィルスの毒性が従来よりも強まっているようには見えません。
死亡者数の内訳です。
70歳以上の割合が88.9%と高いですが、以前は90%以上を占めていたことを考えると、死亡者の若年化が起きているようです。
30代は2人、40代は5人、50代は21人の死亡が確認されています。60代の死亡も、じわじわと増えている感じですね。
なお、1月13日から4月30日までのコロナウィルスの陽性者の推定生存率は以下の通りです。
- 90歳以上:80.7%
- 80代:88.0%
- 70代:95.0%
- 60代:98.5%
- 50代:99.7%
- 40代:99.92%
- 30代:99.97%
- 20代以下:100.0%
緊急事態宣言が出て、そろそろ1週間です。
来週には、緊急事態宣言の効果があったのかなかったのかがわかりそうです。でも、陽性者数が顕著に減少しないと効果があったかどうかわかりませんけどね。逆に陽性者数が増えれば、緊急事態宣言に効果がなかったとの結論が出るのですが。