私は、視力が良く裸眼で生活しています。
このままずっと裸眼でいられたら良いのですが、年を取れば、視力が悪くなってくるでしょうね。それでも、米、パン、麺類など、炭水化物(糖質)が多く含まれている食品を食べるのを控える糖質制限をしているので、まだ当分は眼の健康を維持できると思います。
適切な血糖コントロールが目の健康には大事
糖質制限と眼の健康が、どう関係があるのか疑問を持つ方もいるでしょう。
先日、眼科外科医の深作秀春先生の著書『視力を失わない生き方』を読んだのですが、糖質をたくさん食べる生活が眼に負担になることがわかりました。
糖質を食べると、血中のブドウ糖濃度が高くなります。血糖値が上がると表現されることが多いですね。血糖値が上がると、すい臓のβ細胞からインスリン(インシュリン)が分泌され、血糖が骨格筋や脂肪組織に吸収されます。身体に脂肪が溜まっていくのは、糖質摂取によりインスリンが分泌され、血糖が中性脂肪に変えられて脂肪組織に押し込まれるからなんですね。
上がった血糖値が下がりにくくなる病気を糖尿病といいます。糖尿病は、糖質摂取を続けた結果、β細胞が壊れインスリンの分泌が悪くなったり、脂肪組織にこれ以上血糖を取り込めなくなってインスリンの効きが悪くなることで起こります。
糖尿病になると様々な合併症を併発しますが、眼では糖尿病性網膜症を発症する場合があります。糖尿病性網膜症がどういったものなのか『視力を失わない生き方』で解説されているので紹介します。
糖尿病の人は網膜の微小血管が詰まり、破けて眼底出血します。出血による酸素不足を補うためや組織修復のために、血管新生因子が出て新生血管が生えてきますが、これがまた、もろくて破けやすいのです。そして、眼底出血や硝子体出血を繰り返し、さらに進行すると、出血での炎症反応から眼球内に繊維組織の増殖が進み、最終的にはこの増殖膜の牽引で、網膜が破けたり剝がれたりして、網膜剥離で失明します。(253ページ)
網膜剝離と聞くと、ボクサーが発症する眼の病気と思ってしまいますが、糖尿病の人も症状が悪化すると発症します。だから、失明しないためには、糖尿病にならないように予防すること、糖尿病と診断された場合には、適切な血糖コントロールを行うことが大切です。
適切な血糖コントロール=糖質制限
適切な血糖コントロールは、内科で血糖値を下げる薬をもらったり、インスリン注射で上がった血糖値を下げることと思いがちですが、このような方法では、糖尿病性網膜症を悪化させてしまいます。
深作先生は、眼科で網膜症が見つかり、血液検査をして糖尿病と分かった後に患者を内科に送ると、糖尿病性網膜症がかえって悪化することが多いとおっしゃっています。その理由は、薬やインスリン注射を使って血糖値を急激に下げるからです。
血糖を急激に下げるという変化や、インシュリンそのものが、網膜の血管を破いて出血させるのです。この出血によって炎症反応が起き、増殖膜が張ります。増殖膜が張ると、網膜を引っ張って、網膜剥離となり失明するのです。
つまり、血糖を上げたあとでインシュリンで急に下げるような、過激な血糖コントロールを避ける必要があります。(258~259ページ)
そもそも、血糖を上げたり下げたりすること自体をできるだけ避けなければ、糖尿病性網膜症が悪化します。だから、眼科的にも、糖質制限食が理にかなった糖尿病治療だということです。
もしも、糖尿病性網膜症や白内障になっても、腕の良い眼科外科医に治療してもらえば視力が回復するので諦めてはいけません。でも、せっかく手術で視力を取り戻しても、糖質摂取を続けていれば、また眼の健康が害されますから、糖質制限は続ける必要があります。
糖質制限は、そんなに難しいことではありません。米、パン、麺類などの糖質が多く含まれている食品から、肉類、魚介類、卵など糖質がほとんど含まれていない食品に置き換えるだけです。
眼の健康を維持するためにも、早期に糖質制限を始めましょう。