筋トレは鍛える順番で効果が変わる

スロートレーニングにかかわらず、筋肉は鍛えれば鍛えるほど成長していきます。もちろん無理すると逆効果のこともありますし、限界点もあるので、成長し続けるということは難しいでしょう。

筋肉は鍛えれば成長すると言っても、ただ闇雲に筋トレをするよりも、ある程度の知識を身に付けて行った方が効果的です。特に意識したいのが、筋肉を鍛える順番です。ただ、鍛える順番を守るだけで効果が変わるのですから、こんなに簡単なことはありません。

鍛える順番は、下半身→上半身→体幹です。

筋肉量が多い下半身が重要

筋トレをする目的は人によって違います。筋力アップ目的の人もいれば、ダイエット目的の人もいます。

最近では、体幹を鍛えることが運動にとっては重要と言われていますが、プロのトレーナーの坂詰真二さんは、著書「やっていはいけない筋トレ」の中で、体幹よりも下半身の方が重要と述べています。どんなスポーツであれ、エネルギーの大部分は下半身が生み出します。

ボールを投げたり、パンチを打つ動作は上半身の動きに意識が行きますが、そのエネルギーの3分の2は下半身から生み出されます。スポーツの能力を高めようと思うと、まず、下半身から強化する必要があるということですね。

ダイエット目的の場合も同じように下半身の強化が重要です。

体幹のウェストサイズは、下半身の太腿のサイズより大きいですが、体幹の大部分は内臓や脂肪であるのに対し、太腿の大部分は筋肉です。下半身の筋肉量は全体の半分以上を占めるため、体脂肪を減らすためには下半身の筋肉を鍛える優先順位が高いのです。(37ページ)

このような理由から、スポーツであれ、ダイエットであれ、優先的に鍛えなければならないのは下半身なんですね。

日々の筋トレでは下半身を先、体幹を最後に鍛える

もう、答えを先に書きましたが、日々の筋トレでは、下半身を先に鍛え、最後に体幹を鍛えるのが効果的です。上半身のトレーニングは間に挟みます。

下半身を最初に鍛えるのは、エクササイズ中に多くのエネルギーを使うからです。筋トレの開始時点では、体にエネルギーが満タンに蓄えられているので、最初に下半身を鍛えるのが効率的なんですね。

2番目に鍛えるのは、筋肉量が下半身の次に多い体幹と思ってしまいますが、坂詰さんによると、上半身が先ということです。

例えば腕立て伏せをする時には、体が反ってお腹が床につかないように「腹直筋」が働きますが、もし先に腹筋運動をやって、お腹の筋肉が疲れた状態で行うと、お腹が落ちて上体が反ったまま腕を伸ばすことになるでしょう。(122ページ)

想像すればわかると思いますが、お腹が落ちた状態で腕立て伏せをすると、負荷が分散してしまうので、胸に効かなくなります。せっかく筋トレをしても、その効果が減ってしまうのではもったいないですよね。

体幹は、様々な動作で使う筋肉です。だから、最初に鍛えてしまうと、体幹の疲労のせいで、他のトレーニングに支障が出るわけですね。つまり、体幹を最後に鍛えるというのは、体幹をより強化しやすいという理由ではなく、他の筋トレメニューに悪影響を及ぼさないためなのです。

長期的にみると、鍛える順番を知っているかいないかで、筋トレの効果が大きく変わってきそうですね。

スロトレ基本5メニューの効果的な順番

では、スロトレ完全版に載っている以下の基本5メニューは、どの順番で行うと良いでしょうか。

  1. ニートゥチェスト(腹筋)
  2. スクワット(太もも)
  3. バックエクステンション(背筋)
  4. プッシュアップ(大胸筋)
  5. アームレッグクロスレイズ(背筋)

ニートゥチェスト、バックエクステンション、アームレッグクロスレイズの3メニューは体幹を鍛えるものなので、後回しですね。残ったメニューはスクワットとプッシュアップなので、下半身を鍛えるスクワットが1番目となり、プッシュアップが2番目となります。

次に体幹を鍛える3メニューを実施します。この3メニューは好きな順番で行えばよいのでしょうが、私が思う効果的な順番はバックエクステンション→ニートゥチェスト、アームレッグクロスレイズです。

体幹3メニューのうち2メニューは背筋を鍛えるものなので、連続で行うと疲れが残ったまま後のメニューを実施することになるので、エクササイズ中の姿勢が崩れてしまいそうです。なので、4番目のメニューが腹筋を鍛えるニートゥチェストとなります。

3番目はバックエクステンション、5番目はアームレッグクロスレイズが良いでしょう。理由は2番目のメニューにプッシュアップを持ってきているので、3番目にアームレッグクロスレイズを行うと腕の疲労が残ったままエクササイズすることになり、姿勢が崩れてしまうからです。だから、3番目をバックエクステンション、5番目をアームレッグクロスレイズにするべきでしょう。

以上をまとめるとスロトレの基本5メニューの効果的な順番は以下のようになります。

  1. スクワット
  2. プッシュアップ
  3. バックエクステンション
  4. ニートゥチェスト
  5. アームレッグクロスレイズ

これからは、この順番でスロトレを行えば、長い目で見ると、より効果が出るのではないでしょうか。

また、筋トレは順番に気をつけるのも大切ですが、単関節エクササイズか多関節エクササイズか、アウターマッスルを鍛えるかインナーマッスルを鍛えるかによっても効果が異なってきます。理想は単関節エクササイズでアウターマッスルを鍛えることだと思いますが、筋肉量は人それぞれなので、自分の現在の筋力と相談しながら、どのように筋トレを行うべきか検討した方が良いでしょうね。

参考文献