メタボリックシンドロームの基準から見えてくる不健康な食生活

この10年くらいの間にメタボリックシンドロームという言葉が、すっかり日本人に定着したように思います。

最近では、太っている人のことをメタボなんて言ったりしますよね。メタボリックシンドロームという言葉を聞いたことがあるけど、太っているといった程度の認識しかない方のために簡単に説明しておきます。

メタボリックシンドロームとは、内臓脂肪型肥満に加えて、高血糖、高血圧、脂質異常のうち2つ以上が当てはまる状態のことです。メタボの状態をそのままにしておくと、やがて、糖尿病、高血圧症、高脂血症といった病気に進行してしまう危険があるので、解消しましょうと言われているんですね。

詳しい基準値よりも意味を理解することが大事

メタボリックシンドロームについては、様々な基準値があります。

まず、腹囲が男性は85cm以上、女性は90cm以上だと、メタボの容疑がかかります。

次に中性脂肪が150mg/dl以上または(かつ)HDLコレステロール(善玉コレステロール)が40mg.dl未満、空腹時血糖が110mg/dl以上、血圧が上が130mmHg以上または(かつ)下が85mmHg以上といった3つの基準のうち2つ以上が当てはまると、メタボとなります。

1日1食で若々しい容姿を保っている医師の南雲吉則先生の著書「50歳を超えても30代に見える生き方」では、こういった検査項目の数値を知ることにあまり意味がないと記述されています。それよりも、各項目が何を意味しているのかを理解することが大切だそうです。

これらの項目に隠されているメッセージとはこういことです。

ウエストが太い・・・・・食べ過ぎ
高脂血症・・・・・脂の摂り過ぎ
高血糖・・・・・砂糖の摂り過ぎ
高血圧・・・・・塩の摂り過ぎ

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こうやって見ると、とてもわかりやすいですね。

太っているということは、普段から食事量が多いことが想像できます。中性脂肪の値が高いということは体内の脂の量が多いことがわかります。高血糖は血中の糖の量が多いこと。高血圧は、塩分の過剰摂取で起こる可能性があります。

だから、太っていることを自覚している人は、食べ過ぎない、脂っこい食事を控える、甘いものはできるだけ食べない、料理に食塩をやたらめったら振りかけない、といったことを日ごろから意識すれば良いということですね。

実は糖質だけ控えればメタボは解消する

でも、食べ過ぎない、脂と塩分を摂り過ぎない、甘いものを食べすぎないといったように多くの制約が課せられると、実行するのが難しいでしょう。

どれかひとつだけなら、我慢できるという方は、真っ先に糖質の摂取を控えるのがおすすめです。

糖質と聞くと、砂糖をすぐに思い浮かべるでしょうが、それ以外にも米、小麦、イモ類、果物にもたくさんの糖質が含まれているので、これらを常食するのも良くありません。ちょっと食事制限が大変そうと思うでしょうが、これら糖質を多く含む食品を常食しなければ、それ以外の食べ物に神経質になる必要はありません。

糖質を摂取しなければ、まず血糖値が下がります。そして、不思議なことに中性脂肪の値も低くなり、血圧も下がっていきます。

しかも、こういった体内の変化は、糖質制限を開始して1週間もすれば、見た目に表れます。糖質を常食していた頃と比較して、明らかに痩せるからです。

なぜ、糖質を控えたら痩せるのでしょうか?

その答えは単純で、太る主要な原因が糖質だからです。糖質を摂取すると、膵臓からインスリンがドバっとたくさん分泌されます。インスリンは肥満ホルモンとも呼ばれており、血中の糖を血管の外に出して脂肪に変え、蓄積します。内臓やお腹周りに脂肪がつくのは、これが原因なんですね。

糖質を控えれば、インスリンがドバっと分泌されず、脂肪がつくこともありません。だから、体内の脂肪は、現状維持か減っていくかのどちらかとなります。

しかも、糖質を摂らなければ、血液がサラサラになります。分かりやすく言うと、コーラから砂糖を抜いた状態ですね。コーラで手を洗うと、ベタベタとします。これは砂糖が手につくからです。砂糖が含まれていない水で手を洗っても、ベタベタすることはありません。血中の糖の量が多いということは、血液がコーラ状態になっているということです。

血液がサラサラになれば血圧が下がるので、糖質を制限すれば高血圧も解消します。

ここまで読んでいただけたら、メタボの原因が何のか、わかりましたよね。

答えは、糖質の過剰摂取です。

脂、塩分、食べ過ぎを意識するよりも、真っ先に糖質を控えれば、メタボと言われなくなりますよ。

参考文献