糖質制限で痩せるのは水分が体内から出るだけではない

この前、テレビを見ていると、管理栄養士の方が炭水化物を食べないで痩せるのは、体内の水分が抜けるからだと言ってました。

確かに炭水化物(糖質)を体内に蓄えるとき、糖質1に対して水を3とか4とかの割合で蓄えるようになっているので、体内の糖質が減ると、その3倍から4倍の水分が体外に排出される仕組みになっています。しかし、これだけが糖質制限で痩せる理由ではありません。

糖質摂取が中性脂肪を増やす

おそらく、その管理栄養士の方は、インスリンの働きをご存知ないのだと思います。

糖質を摂取すると、それが血液の中に入り込み血糖値を上昇させます。高血糖の状態が続くと、体に負担がかかるので、すい臓からインスリンが追加分泌されて、糖質を血管の外に出し、血糖値を最適な水準にまで下げます。

血管の外に出された糖質は、筋肉に空き容量があればグリコーゲンという形で保存されます。しかし、筋肉に空き容量がない場合、血管の外に出された糖質は中性脂肪に変わり、お腹周りや内臓などに蓄積していきます。

つまり、糖質を摂取すると、運動で代謝したり、筋肉に取り込んだりできなかった分は、中性脂肪として体に蓄えられるのです。そう、メタボ体型は糖質摂取によってもたらされた姿なんですね。

インスリンは脂肪酸の利用を妨げる

さらにインスリンは、脂肪酸の利用を妨げる働きをします。医師の釜池豊秋先生の著書「糖質ゼロの食事術」で、その解説がありますので引用します。

インスリンは、貯蔵した脂肪を脂肪酸に分解する酵素、ホルモン感受性リパーゼの働きを封じてしまいます。貯蔵脂肪の分解がストップすると、血中の脂肪酸が減ります。筋細胞は好みの脂肪酸が手に入らないので、仕方なくいやなブドウ糖を取らざるを得なくなるのです。(128ページ)

糖質を摂取すると、インスリンが分泌されます。そして、インスリンが分泌されている間は、体に蓄えられた脂肪の分解が進みません。つまり、糖質を頻回摂取していると、いつまでたっても内臓やお腹周りに付いた脂肪は減ることがないのです。

このようなインスリンの働きを知っていれば、糖質制限で痩せるのは、体内の水分が外に出されるだけだという発言はしないはずです。

糖質制限は常時脂肪を消費する

糖質制限を行っていると、体に糖質が入って来ないため、脂肪をエネルギーとして常時消費します。

よく有酸素運動は、最初の30分間は脂肪燃焼のための準備時間だから、それ以上の時間の運動が必要になると言われます。しかし、糖質制限を行っていれば、常に脂肪を消費しやすい状態に脂肪が分解されているので、有酸素運動の開始直後からダイエット効果があります。

この効果は、スロートレーニングと同じです。

スロトレの場合は、成長ホルモン、アドレナリン、ノルアドレナリンがトレーニングすることで分泌され、それらが脂肪を分解します。分解された脂肪は、消費されやすい状態にあるので、スロトレ直後に有酸素運動をするとダイエット効果が高まるわけです。

つまり、スロトレのダイエット効果と糖質制限のダイエット効果は脂肪が分解され消費しやすくなっている点で同じなんですね。

医師、栄養士、美容やトレーニングの専門家は、共通して運動が肥満防止やダイエットに効果的だと言います。でも、糖質制限のダイエット効果については、なんだかんだと理屈をこねて否定しようとする人が後を絶ちません。

糖質制限によるダイエット効果を否定することは、筋トレのような無酸素運動のダイエット効果を否定しているのと同じです。

太ったり痩せたりする原因がカロリーだと信じている限りは、こういったことに気づかないでしょうね。

また、糖質を摂取しないと筋肉のグリコーゲンが枯渇すると言う方もいますが、そのようなことはありません。以下の記事でその解説をしていますので、ご覧になってください。

参考文献