動脈硬化の原因はコレステロールと糖質のどっちなのか?

この前、テレビの健康番組を見ていると、心筋梗塞の治療や予防について紹介していました。

心筋梗塞は動脈硬化が原因で起こる生活習慣病。食生活に問題があると動脈硬化になるということは、多くの人がご存知だと思います。でも、どのような食事をしていると、動脈硬化になるのかよくわからないという人もいるはずです。

私が見た健康番組で紹介されていた動脈硬化の原因は以下のような内容でした。

血管内にコレステロールが溜まる

動脈硬化は、血管内にコレステロールが溜まり、血流が悪くなって血管が硬くなる症状です。

だから、動脈硬化を予防するためにはコレステロールが溜まらないようにしなければなりません。もしも、コレステロールが溜まりすぎた場合には、スタチンという薬を飲んで血中のコレステロールを除去します。

番組では、動脈硬化から2度心筋梗塞になった方の症例が紹介されていました。その方は、治療の甲斐あって現在は元気に生活しているようなのですが、番組に出演されていた医師によると、今後も心筋梗塞の予防のためにスタチンを飲み続けた方が良いとのこと。そうすることで、再発を何割か防ぐことができるというデータがあるそうです。

なぜコレステロールが溜まるのか?

ところで、なぜ血管内にコレステロールが溜まるのでしょうか?

それについても番組では軽く解説していました。コレステロールが血管に溜まるのは、血管の内側の壁に傷がつき、その中にコレステロールが入って血液が通る空間を狭めてしまうからです。血管が狭まれば狭まるほど血液の流れが悪くなるので、余計にコレステロールが溜まります。そして、症状が悪化すると心筋梗塞や脳梗塞になります。

また、血管の内側の壁に傷がつく原因は高血糖だと、さらっと解説していました。

とにかく番組では、コレステロールが動脈硬化の主要な原因だから、コレステロールに対処しなければならないことを主張していましたね。

悪いのは糖質じゃないのか?

おそらく、この番組を見た方は、コレステロールが諸悪の根源だと感じたのではないでしょうか?

でも、じっくりと番組を見ていれば、動脈硬化の原因は糖質摂取だと気付くのですが、なかなかあの番組の構成からだとそれに気づかないでしょうね。

コレステロールが溜まるのは血管の内側の壁に傷がつくから。それなら、血管が傷つかないようにすることが最も大切なことですよね。そして、番組では高血糖が血管を傷つける原因だと解説していましたから、普段の食事で糖質を過剰に摂取しないことが、動脈硬化、ひいては心筋梗塞や脳梗塞の予防につながると理解できます。

グルコーススパイクを防ぐことが大事

糖質を摂ると、血糖値が急上昇し食後高血糖と呼ばれる状態になります。そして、空腹時の血糖値と食後の血糖値の差が大きい高血糖状態のことをグルコーススパイクと言います。

このグルコーススパイクが体にとって危険だと、糖質制限の普及に努めている医師の江部康二先生が、著書の「『糖質オフ!』健康法」で述べています。

食後に血糖値が上がることがなぜ怖いのでしょうか?まず第一に、命に関わる動脈硬化をうながす点が挙げられます。高血糖により血管の内皮に炎症が起こり傷が生じます。この傷にコレステロールが張り付いて傷を修復しますが、くり返すと分厚く盛り上がり、狭くなったり硬くなったりします。その結果として動脈硬化が生じます。コレステロールがたまっていくと、血流が滞ってしまい、血栓で欠陥が詰まることもあります。それが心臓の血管で起こると心筋梗塞、脳の血管で起こると脳梗塞というわけです。(114ページ)

同じ医師でも、見方が違いますね。一方は、動脈硬化はコレステロールが原因だと主張し、他方は食後高血糖が原因だと主張しています。

普通に考えれば、江部先生が述べているように食後高血糖を防ぐことが動脈硬化の予防につながると理解できるはずです。

コレステロールが溜まるのは血管に傷がつくから。だったら血管に傷がつかないようにすればいいわけです。血管に傷をつけるのが食後高血糖なわけですから、普段の食事から糖質が多く含まれているものを排除すればいいのです。そうすれば、食後高血糖は起こらず、血管に傷もつきませんから、コレステロールが溜まることもありません。

それなのにコレステロールを動脈硬化の主要因であるかのように喧伝するのはなぜなのでしょうか?

きっと、そこには大人の理由があるのでしょうね。

なお、糖質摂取で動脈硬化になりやすいというのは、糖質が歯周病や虫歯の原因となり、口腔内から侵入した細菌が血管に炎症を起こすからだともされています。

参考文献