葉酸摂取はホウレンソウよりレバーが効果的

先日、テレビを見ていると、葉酸を摂取するのにおすすめの食品としてホウレンソウが紹介されていました。

ポパイもホウレンソウを食べるとパワーアップするので、栄養価が高いのでしょうが、葉酸も含めビタミンB群を多く摂取するならレバーの方が効果的です。特に葉酸の含有量はホウレンソウと比較にならないほど多く含まれています。

ホウレンソウとレバーの葉酸含有量の比較

では、ホウレンソウとレバーの葉酸含有量がどれほど違うかを見ていきましょう。

その前に成人女性の1日の葉酸の推奨量を知っておかなければなりませんね。これを知らないと食品に含まれる葉酸が多いのかどうかを語ることはできません。

成人女性の場合、1日の葉酸の推奨量は240ugです。妊婦の方はさらに240ug追加、授乳中の方は100ug追加となります。また、妊娠を計画されている方や妊娠の可能性がある方は、付加的に400ugの葉酸(プテロイルモノグルタミン酸)の摂取が望まれます。

それでは、ホウレンソウの葉酸含有量をカロリーSlismで調べてみましょう。カロリーSlismでは、ホウレンソウ270グラム(1束)当たり葉酸が567ug含まれているとなっています。100グラム当たりだと210ugですね。1日の推奨量に近い量なので、まずまず多くの葉酸が含まれていると言えます。

では、レバーを見てみましょう。レバーは牛、豚、鶏が主流ですが、どれもホウレンソウ以上の葉酸含有量です。100グラム当たりの葉酸含有量は以下の通りです。

  • 牛レバー=1,000ug
  • 豚レバー=810ug
  • 鶏レバー=1,300ug

同じ100グラムでも、ホウレンソウの4倍から6倍ほどの葉酸含有量です。どう考えても、レバーの方が葉酸摂取には優れています。ただ、豚と鶏のレバーには、ビタミンAが多量に含まれているので、毎日100グラムを食べるとビタミンA過剰症になる危険があります。なので、この2つは常食できないという難点があります。

でも、牛レバーは100グラム食べてもビタミンAの耐容上限量を超えません。とは言え、葉酸をサプリメントで摂取する場合の耐容上限量が1,000ugなので、牛レバーは2日で100グラム程度にしておいた方が無難でしょうね。

このように1日に必要な葉酸摂取量と食品に含まれる葉酸量を比較すれば、ホウレンソウよりもレバーの方が葉酸摂取には有効とわかると思います。

なお、レバーの栄養価は以下の記事に記載しています。

葉酸サプリは必要か?

最近、妊活という言葉が普及しているためか、葉酸サプリの広告を見る機会が増えています。

先ほども書きましたが、妊娠を計画されている方は葉酸を積極的に摂取することが望まれます。だから、葉酸サプリで葉酸の摂取量を増やすことは良いことだと思います。

しかし、葉酸サプリは値段が高すぎますよね。30日分が3,000円くらいで売られているのを見ると割高に感じます。ドラッグストアで販売されているビタミンB群のサプリメントは、60日分で500円程度ですから、はっきり言って葉酸サプリを買うメリットはありません。

また、葉酸は造血のビタミンと呼ばれているように赤血球の合成に働きます。でも、赤血球合成は、葉酸だけでなく、ビタミンB₁₂とともに作用するので葉酸だけ摂取していても意味がありません。鉄も必要になります。他にも、葉酸はエネルギー産生にも必要となりますが、こちらもビタミンB群全体でエネルギー産生に働きますから、葉酸だけ多量に摂取しても大したメリットはないでしょう。

このように視野を広げると、葉酸だけをサプリメントで補給するのではなく、その他のビタミンB群や鉄も摂取しなければならないとわかります。

ちなみに赤血球合成に必要なビタミンB₁₂は野菜などの植物性食品には含まれていません。したがって、ホウレンソウだけを食べても赤血球合成に必要なビタミンB₁₂は摂取できませんから、肉、卵、魚といった動物性食品も食べなければなりません。むしろ、ホウレンソウより動物性食品を多く食べるべきでしょうね。

参考文献