ビタミンCはすぐには体外に捨てられない

ビタミンCは、水溶性なのですぐに体外に排泄されてしまう。

この言葉をよく聞きませんか?

同じ水溶性のビタミンB群も、同じようにすぐに失われやすいと言われています。

また、ビタミンCは、すぐに排泄されるため大量摂取しても無駄だとも指摘されています。確かにすぐに体外に捨てられるのなら、ビタミンCを大量に摂っても、多くが失われるので、それほどたくさんのビタミンCは必要ない気がします。

トイレに行くまでビタミンCは体内に残る

ビタミンCが体外に排泄されるのは、それが尿中に溶けるからです。だから、尿意を催してトイレに入るまではビタミンCは体内に止まっているはずです。

したがって、ビタミンC摂取から排尿するまでの間は、体外にビタミンCが捨てられることはなさそうです。分子栄養学の専門家である三石巌先生の著書「ビタミンC健康法」によれば、摂取したビタミンCは用を足すまで体内に止まり、一部は分解されるけども、大部分は血液や組織のビタミンC濃度を高めているそうです。

では、トイレに行くと、体内のビタミンCは尿と一緒にすべて失われるのでしょうか?

どうやら、尿に溶けて外に捨てられるビタミンCもあるようですが、ビタミンCを摂取して最初の排尿時に摂取した全てのビタミンCが失われることはないようです。

体内のビタミンCの半減期は16日である。これは、放射能を与えたL-アスコルビン酸を人体に投与し、それを追跡して得た数字である。
ビタミンCを含まない食事を続けた場合、壊血病が発症するのは約半年後である。(89ページ)

この文章を読めば、今、果物を食べて摂取したビタミンCが体内で半分になるのは16日後、そして、完全になくなるのは約半年後だとわかります。半年という期間を短いとみるか長いとみるかは人それぞれですが、少なくとも、摂取したビタミンCがその日のうちに体外に排泄されることはないと考えられますね。

血中のビタミンC濃度は加齢とともに薄くなる

摂取したビタミンCは、血液や組織のビタミンC濃度を高めます。

ビタミンC健康法によれば、経口投与したビタミンCは3時間後に体内濃度がピークに達し、1グラムだと1デシリットル(100ml)あたり1.5mg、3グラムだと1デシリットルあたり3.2~3.5mgとなるそうです。そして、ビタミンCを摂らない人だと、体内濃度は、1デシリットルあたり0.6mg程度しかないそうです。

また、血中ビタミンC濃度は、加齢とともに薄くなっていく傾向があります。

20歳までは1デシリットルあたり1.5mg以上のビタミンC濃度を保っているのですが、20歳を過ぎると急降下し、40歳になった頃には0.5mg程度まで血中ビタミンC濃度は下がります。

この理由として考えられるのは、加齢とともに食事量が減ること、腎機能が低下することです。腎機能が正常であれば、原尿に含まれるビタミンCの95%は、糸球体から再吸収されます。しかし、腎機能が低下すると、ビタミンCの再吸収が上手くいかず、尿中に排出されてしまうのではないかということです。

1日のビタミンCの必要量はどれくらいか?

1日のビタミンCの必要量には個人差がありますし、その時の健康状態にも左右されます。だから、1日にどれくらいを摂取すべきかを決めることは難しいです。

体内でビタミンCを合成できる動物の1日当たりのビタミンC合成量から、人間にとっての必要量は1日に2~20グラムではないかと推定されています。

ビタミンC健康法の94ページには、体重60kgと仮定した場合の哺乳動物のビタミンCの1日の合成量が記されています。

  • ラット
    ストレッサーなし=1.7g
    ストレッサーあり=13.0g
  • マウス=16.5g
  • ウサギ=13.5g
  • ヤギ=11.4g
  • イヌ=2.4g
  • ネコ=2.4g

1日に十分なビタミンC摂取量を2グラムとしても、人間が毎日の食事から、これだけ多くのビタミンCを摂取するのは難しいです。だから、こんなにたくさんのビタミンCを摂取する必要はないのではないかと思ってしまいます。

しかし、加齢による血中ビタミンC濃度の低下を考えると、年をとるほどにビタミンC摂取量を増やしていかないと健康維持が難しくなるのではないでしょうか?20歳頃の血中ビタミンC濃度1.5mg/dlを維持しようとすると、40歳を過ぎた頃には、3時間おきに0.7グラムのビタミンC摂取が必要になりそうです。そうすると、1日に6グラム程度のビタミンC摂取で20歳頃の血中ビタミンC濃度を維持できそうです。

ビタミンCがないとコラーゲンを合成できませんし、感染症にも弱くなりますから大量摂取しておいても損はないでしょう。ビタミンCには、現段階では過剰症の報告もありませんから、若いうちから大量摂取しておくのが良さそうですね。

参考文献