果物がヘルシーというのは思い込み

「植物性」と聞くと、なんとなく身体に良さそうに思えますし、環境にも負荷を与えないような気がします。

対照的に「動物性」は、健康に良くないように思えます。

水を弾いている果物を見ると、「天然でヘルシー」なんて思ってしまいますが、実際のところはどうなんでしょうね。

果糖は太る

果物にガブッとかぶりついた時に口の中にジュワーッと広がる果汁には、多くの果糖(フルクトース)が含まれています。

あの果糖たっぷりの果汁を飲みこむと、喉が潤されますし、体を動かした後は疲れが吹き飛ぶような爽快感があります。やっぱり、果物は体に良さそうだなと思いたくなります。

でも、その爽快感は、ビールをグビッと飲んだ時も同じじゃないですか?

そう、果糖はアルコールと同じようなものだと考えられているんですね。シミズ先生の著書「『糖質過剰』症候群」の中で、「果糖は酔っぱらわないアルコール」と述べられています。

果糖とアルコールは、人間の体内での代謝、その有害性や、体に起きる変化などがそっくりなのである。果糖は人間の体の中で解糖されるが、アルコールは酵母があらかじめ解糖してくれているだけの違いである。(254ページ)

体内に吸収された糖質は、細胞質に入ると解糖系でピルビン酸に加工されます。ピルビン酸は、十分に酸素がある状況下では、ミトコンドリアに運ばれ、アセチルCoA(コーエー)に変わった後、オキサロ酢酸とくっついてクエン酸になります。クエン酸は、様々な反応を経て再びオキサロ酢酸となりますが、その過程で電子が取り出され、この電子が電子伝達系に運ばれて、アデノシン三リン酸(ATP)と呼ばれるエネルギーの産生に利用されます。

ところが、同じ糖質でも、果糖は、体内に吸収されると肝臓でほぼ全てが代謝されて、ブドウ糖、グリコーゲン、中性脂肪に変換されてしまいます。

果糖が、肝臓で速やかに代謝されてATP産生に利用されれば、エネルギーとして消費されるのですが、人間の体はそのような仕組みにはなっていないようです。だから、果糖は体内に蓄積されやすいので太りやすい糖質なんですね。この辺りのことは、以下の記事でも紹介していますから、ご覧になってください。

果糖は老ける

水を弾く果実を見ていると、「これを食べれば自分の肌もみずみずしくなるんじゃないか」と思ってしまいますが、果物を食べても若返ることは期待できないでしょうね。

確かに果物には、ビタミンが含まれていますからアンチエイジングに良さそうな気がします。

しかし、現在、栽培されている果物は果糖が多すぎるので、食べるほどに老けていく可能性があります。

果物に多く含まれている猛毒の果糖を、健康的といってよいのかは、非常に疑問である。果糖はAGEsを非常に増加させやすい。もちろん、果物はビタミンや食物繊維を含んでいるので、全く不健康な食材ではないが、少量にとどめておくべきである。(254ページ)

AGEsは終末糖化産物と呼ばれるもので、糖とタンパク質が血管の中でくっついてできます。

「老化は糖化が原因」なんて言われるようになりましたが、糖とタンパク質がくっつくのが糖化ですから、糖化しやすい果糖が多く含まれている果物を食べることは、アンチエイジングとは真逆の行為なのです。

見た目のみずみずしさに騙されて、果物をたくさん食べていると、いつの間にか老けていそうです。

とは言え、以前、テレビで果物しか食べずに何年も生きている男性が紹介されていたので、果物だけでも生きていけそうです。見た目も老けている感じはなかったので、糖化の悪影響はあまり出ていないのかもしれません。

いったい、あの人の体はどうなっているのでしょうか?他の人が果物だけ食べていても、同じように生きていけるのでしょうか?

謎です。

ブドウ糖などの他の糖質と同時に摂取しなければ、果糖は人体に悪影響を与えないのかもしれません。果糖で血糖値は上がりませんしね。

参考文献