風邪やインフルエンザなどのウィルス感染症にビタミンCの摂取が有効だとの報告は数多くあります。
ただし、摂取量が少ないと効果が低いので、風邪やインフルエンザにかかった場合には1日に20グラム以上の大量摂取が望ましいです。
また、細胞がビタミンCを効率的に取り込めるようにするためには、ブドウ糖(糖質)の摂取量を減らさなければなりません。ビタミンCは、ブドウ糖と競合するので、糖質過多の食生活を送っていると、細胞がしっかりとビタミンCを取り込めなくなるからです。
ビタミンCもブドウ糖も入り口が同じ
ビタミンCとブドウ糖が体内で競合するのは、その形がよく似ていることが理由とされています。
ブドウ糖の化学式は、C₆H₁₂O₆です。一方のビタミンCは、C₆H₈O₆です。
どちらも、C(炭素)とO(酸素)は6個で同じです。異なっているのはH(水素)で、ブドウ糖は12個、ビタミンCは8個です。
化学式を見ただけでも、同じように見えますが、その構造も非常によく似ています。ブドウ糖からビタミンCを合成できることを考えても、両者は似た者同士と言えます。
似た者同士のブドウ糖とビタミンCは、細胞が取り込むための入り口も同じです。どちらも、グルコーストランスポーター(ブドウ糖輸送体、ブドウ糖運搬体)を利用して細胞の中に入ることができます。
グルコーストランスポーターには、たくさんの種類がありますが、有名なのはGLUT4です。GLUT4は、すい臓から分泌されるインスリンの指令を受けて、細胞の表面に発現し、ブドウ糖やビタミンCを細胞内に取り込みます。
しかし、生田哲先生の著書「ビタミンCの大量摂取がカゼを防ぎ、がんに効く」によると、ブドウ糖をたくさん摂取している状態では、ビタミンCを細胞に取り込みにくくなるとのこと。
似て非なるものは競争相手になりやすい。ビタミンCとブドウ糖もライバル関係にあります。ブドウ糖は細胞に入ろうとするビタミンCと競争するのです。
だから、血液中のブドウ糖濃度(血糖値)が高ければ、ビタミンCは少量しか細胞に入れないことになります。カゼや他の感染症にかかったとき、ビタミンCを摂取しても効果があらわれにくい理由は、まず第一に、一~二グラムという少量しか摂取しないからですが、加えて、日頃から糖類の摂取量が多すぎるためとも説明できます。
だから、カゼや他の感染症にかかったら「もっと多くのビタミンC(二〇グラム以上)を摂取して、逆に砂糖や糖類は少なめに摂りましょう」という結論になります。(137ページ)
したがって、ウィルス感染が疑われる状況では、まず糖質制限をしてビタミンCが細胞に届けられやすい状態を作っておくことが大切です。
風邪をひいた時に炭水化物(糖質)ばかりのお粥を食べることは逆効果ですね。風邪をひいた時こそ卵や肉を食べるべきです。
糖質過多の食生活が身体をウィルスに弱くしている
風邪やインフルエンザにかかりやすい方は、冬場に人が多い所に行ってウィルスをうつされやすくなっているのかもしれません。
誰だって、人が多い所に行けば、ウィルスをうつされる危険はあります。でも、ウィルスをうつされても、辛い症状が出る場合と、大した症状が出ない場合があります。それは、ウィルスをうつされた前後の糖質摂取量の差なのかもしれませんね。
日頃から糖質摂取量を控えめにしている人は、体内でのビタミンCの利用効率が高まっているので、ウィルスが侵入してきても、速やかにやっつけられる体制が整っているのでしょう。
一方、1日3食、必ず米やパンを食べる糖質過多な食生活を送っている人は、常にビタミンCの利用効率が悪い状態になっているので、ウィルスの侵入という不測の事態に速やかに対応できないのでしょう。
風邪やインフルエンザなどのウィルス感染にビタミンCが効果的であっても、そのビタミンCの利用を妨げている糖質をたくさん摂取していては効果が薄れてしまいます。ウィルスはいつ体内に侵入してくるかわかりませんから、糖質摂取量は常に少なくして備えておくことが大事ですね。
余談ですが、ビタミンCのサプリメントには、ビタミンCとほぼ同量の炭水化物が含まれています。なんで、あんなにたくさんの炭水化物が入っているのでしょうか。
炭水化物でも、その多くが食物繊維なら問題ないですが、糖質だと邪魔ですよね。