免疫力は日ごろから細菌やウィルスと接すれば強化される

免疫力アップのための健康法が、近年、各種メディアでよく紹介されています。

それらの多くは、どの食品を食べれば良いといった内容だと思います。キノコ類を食べると免疫力が上がる。植物性食品に含まれるある成分が免疫力を強化する。香辛料が免疫機能を高める。そんな感じですよね。

これらの食品を食べることで、免疫力がアップすることは、何らかの研究で明らかになっているのでしょう。

でも、免疫力の強化には、食事だけでなく、日ごろから細菌やウィルスを体内に取り込むことも大切です。

毒性の弱い細菌やウィルスと付き合う

例えば、ワクチンは、毒性の弱い病原体を注射することで感染症にかかりにくい体にします。風疹や麻疹の予防接種をすれば、それらの病原体が体内に侵入してきても、発症する前に免疫細胞によって駆逐できます。

ワクチンは、細菌やウィルスを積極的に体内に取り込んで免疫力を高めているのですから、これと同じように普段から毒性の弱い細菌やウィルスを体内に取り込んでおけば、免疫力は徐々に強化されます。

藤田紘一郎先生の著書「手を洗いすぎてはいけない」では、タイトル通り、手を過剰に洗わないことが免疫力の強化につながると述べられています。

私たちの免疫力は、チョイ悪菌が日常的に腸に侵入してきてこそ、強化されるものです。自分が日々、免疫力の強化さえ怠らなければ、チョイ悪菌は、私たちの健康増進に役立ってくれる”よき隣人”となるのです。
そのために、今日からできること。それは何度も言っていますが、過剰な手洗いをやめることです。トイレ後や食事前の手洗いは、流水で一〇秒間洗えば十分。なんだったら、洗わなくてもよいくらいなのです。そうすることで、チョイ悪菌を積極的に腸にとり入れることができるからです。(208ページ)

異物が、体内に入ってくることを過剰に怖がると、逆に免疫力が鍛えられず、ちょっとした細菌やウィルスの侵入でも症状が出やすくなります。過剰な手洗いは、チョイ悪菌を取り込む機会を減らすことになりますから、頻繁に洗剤を使うべきではありません。

また、子供たちは、砂場で遊ぶことで、数多くのチョイ悪菌と接することができますから、積極的に砂遊びをさせた方が良いとも、藤田先生は述べています。

洗剤メーカーの意識はなかなか変わらない

藤田先生は、糖質制限もされており、普段から小麦粉食品を悪く言っています。

食品メーカーから、健康に良い食事について講演の依頼を受けることがあるそうです。依頼してきた食品メーカーの製品を否定する内容になると、メーカーの担当者に告げても、「それでもいい」との返事をもらえると述べています。そして、それらメーカーの食品や飲料は体に悪いと講演で話をしているのですが、メーカーは、講演の内容を商品開発の参考にしていきたいと言うそうです。

食品メーカーは、低脂肪が健康に良いと言われると、すぐに低脂肪食品を開発します。低コレステロールが健康的だと医学会が発表すれば、低コレステロールの食品を開発します。そして、糖質の過剰摂取が良くないとわかると、低糖質食品を作りますね。

毎日のように自社製品を食べてもらうためには、健康に配慮する必要があるでしょうから、既存の自社製品が健康に良くないとわかった時には、すぐに改良した製品を市場に投入するのだと思います。

一方で、藤田先生が過剰な手洗いは不健康になると主張し続けていることから、テレビ番組の出演オファーが来ても、その後でスポンサーから文句が出て出演がなくなるそうです。だから、洗剤を過剰に使って体を洗うことが、感染症に弱くなるといったことが社会に普及しにくいようです。

テレビの健康番組で、「体を洗うのに洗剤を頻繁に使うと不健康になりますよ」と紹介されれば、洗剤の使用頻度が下がり、感染症に強い視聴者が増えるでしょうね。でも、洗剤メーカーにとっては売上が減ってしまうので、テレビでそんなことを言って欲しくないはずです。

洗剤メーカーの意識は、そうそう変わりそうにないですから、消費者が賢くなるしかないですね。

参考文献