冬になると、体重が増えるもの。
冬こそダイエットが効果的な季節だと言う人もいますが、冬に太る人の方が多いでしょう。サラブレッドだって冬に太りやすいし、クマだって冬眠前に太ります。
冬は呼気に多くの二酸化炭素が含まれていることから、体内で脂肪の燃焼が起こっていると考えられています。でも、事実として太る人の方が多いのですから、冬は太りやすい季節なのでしょう。
だから、冬に太るのは仕方がないと割り切ってしまいましょう。
糖質制限を始める
冬に太るのは仕方がないですが、だからと言って何もしなければ、春以降も太ったままになってしまいます。
春以降に脂肪が減るようにするためには、冬のうちに食生活を改善しておいた方が良いでしょう。
食生活の改善って、カロリー制限をするの?
と思うかもしれませんが、摂取カロリーなんて、まともに計算できないのですから無視して構いません。それよりも、体内に脂肪を蓄えやすくする糖質の摂取量を減らすこと、すなわち、糖質制限をすることの方が重要です。
糖質制限は、カロリー制限のように難しくはありません。ただ、米、小麦、砂糖、果物といった糖質(炭水化物)が多く含まれている食品をできるだけ食べないようにするだけです。
茶碗一杯に白米を食べていたのを茶碗半分にするのも、立派な糖質制限です。5枚切の食パン1枚を朝食で食べていたのを6枚切の食パン1枚に変更するのも立派な糖質制限です。
ただ、ダイエット効果をより高めるためには、今まで食べていた白米や食パンを魚の切り身、ハム、ベーコン、卵などの動物性タンパク質が豊富な食品に置き換える方が良いです。
糖質制限を始めたからと言って、基本的に食事量を減らす必要はありません。糖質制限は、糖質の多い食べ物から糖質の少ない食べ物に交換して食べることと理解してください。
もしも、糖質制限を開始しても、体重が増えていく場合には食べすぎの可能性があります。その場合に初めて食事量を減らすことを考えましょう。
糖質摂取で太る理由を理解する
太っている状態を必要以上に体に中性脂肪が蓄えられている状態と定義すると、痩せるとは、体に蓄えている中性脂肪を減らすことと言えます。
中性脂肪を減らすためには、基本的に中性脂肪からエネルギーを取り出して消費しなければなりません。
ここで、中性脂肪とはグリセロールと脂肪酸がくっついたものであり、中性脂肪からエネルギーを取り出すためには、まず、中性脂肪をグリセロールと脂肪酸に分解する必要があります。そして、中性脂肪を分解するために働くのが、ホルモン感受性リパーゼです。
ホルモン感受性リパーゼは、何もしなくても中性脂肪を分解してくれますが、糖質を摂取して血糖値が上がった時にたくさん分泌されるインスリンによって働きが抑えられます。
だから、中性脂肪を分解するためにはホルモン感受性リパーゼが働き続けている状態を維持する必要があり、そのためにはインスリンがたくさん分泌されるのを防がなければなりません。そして、インスリンは血糖値が上がった時に多く分泌されますから、血糖値を上げないようにする必要があります。それは、つまり、血糖値を上げる原因となる糖質をできるだけ摂取しないということにつながるのです。
糖質制限をすると、痩せやすくなる理由の一つが、これなんですね。
糖質の中でも果糖は太りやすい
反対に糖質を摂取すればするほど、中性脂肪を体内に溜め込みやすくなります。
特に果物に多く含まれている果糖は、速やかに中性脂肪に変わります。
糖質の中で、最もよく口にするのはブドウ糖です。ブドウ糖は、食べ過ぎると中性脂肪になってしまいます。ブドウ糖は、細胞内の解糖系でピルビン酸に加工され、ミトコンドリアに送られます。ミトコンドリアでは、ピルビン酸を加工してアセチルCoA(コーエー)を作り、さらにオキサロ酢酸とくっつけてクエン酸を作ります。
そして、クエン酸からエネルギーを取り出すためにミトコンドリアの中では、クエン酸回路が回ります。しかし、エネルギーが十分にある状況では、クエン酸は、再びアセチルCoAとオキサロ酢酸に戻り、アセチルCoAは脂肪酸合成の流れに乗り中性脂肪となって体に蓄えられます。
ただ、ブドウ糖の場合、エネルギーが足りている状況では、解糖系でブレーキがかかります。
果糖も主に肝臓で吸収されて、解糖系でピルビン酸に加工され、ミトコンドリアに送られます。しかし、果糖の場合は、エネルギーが足りている状況でも、解糖系でブレーキがかからないので、次々にミトコンドリアにピルビン酸が送られていきます。そして、ミトコンドリアでは、余ったアセチルCoAを脂肪酸合成の流れに乗せていくので、中性脂肪が溜まっていきます。
果物は、ヘルシーに思えますが、それに含まれている果糖は、ブドウ糖よりも中性脂肪に変わりやすいので、中性脂肪を減らしたいのなら、たくさん食べない方が良いです。
冬に痩せるのは、難しいです。
でも、冬にできるだけ太らないようにする工夫はできます。
- コタツに入ってミカンばかりを食べていては、太りやすくなります。
- お正月にお餅ばかり食べていては、太りやすくなります。
- 鍋料理の締めに雑炊やラーメンを食べていては、太りやすくなります。
- 体を温めようと甘酒をたくさん飲んでいては、太りやすくなります。
冬の定番料理は、太りやすいものばかりです。どれもこれも、糖質が多く含まれていますからね。
冬に中性脂肪が溜まらないようにするためには、糖質摂取量を減らした方が良いですよ。