食事回数とダイエット効果は関係があるのだろうか?

食事回数は、多い方が痩せやすいのか、少ない方が痩せやすいのか。

どっちなんでしょうね。

「食事回数 ダイエット」で検索したら、たくさんのWEBサイトがひっかかるのですが、私の知りたいことはなさそうな感じです。いくつかのサイトを読んでみたのですが、言ってることは同じで、1回の食事量を少なくし食事回数を増やした方がダイエット効果があるという結論です。その理由は、1回あたりの食事量が少ない方が血糖値の上昇を抑えられるので、インスリン分泌も少なくて済み、糖質が中性脂肪に変わって体に蓄積しにくくなるからというものです。

それなら、糖質制限をすれば血糖値は上がらないのですから、食事回数を増やせばダイエットしやすくなるとは言えないですね。

食事時のエネルギー需要を超えれば太りそうだけど

自分が食べたものが脂肪になって体に蓄積するかどうかは、食事をしている時のエネルギー需要と関係があると思うんですよね。

例えば、マラソン中に栄養ドリンクを補給した場合と安静時に栄養ドリンクを補給した場合を比べると、マラソン中の方がエネルギー需要が多いので、安静時との比較で栄養ドリンクがエネルギー利用される割合が高いはずです。これは、誰もがすぐに納得できると思います。

では、安静時の食事量が多い場合と少ない場合は、どうでしょうか?

この場合も、食事量が多い方が太りやすいと直感的にわかると思います。

つまり、エネルギー需要が同じなら食事量が多い方が太りやすく、食事量が同じならエネルギー需要が少ない時に食べた方が太りやすいということですね。

ここまでは、一般的に言われていることです。でも、私が知りたいことは、エネルギー需要が多い場合と少ない場合では、食べた物が体の中でどのように化学反応を起こすかです。

ピルビン酸が余ると脂肪酸になる

エネルギー需要の多少と食事量の多少で、体の中での化学反応がどう変化するのでしょうか?

これについては、糖質摂取時の化学反応が最もわかりやすいです。

糖質(ブドウ糖)を摂取すると、細胞質内の解糖系でピルビン酸に加工されます。そして、ピルビン酸は細胞内小器官のミトコンドリアに運ばれてアセチルCoA(コーエー)に変わり、オキサロ酢酸とくっついてクエン酸になります。クエン酸は、様々な反応を経て再びオキサロ酢酸になります。このクエン酸からオキサロ酢酸になる1回転の化学反応をクエン酸回路(TCAサイクル)といいます。クエン酸回路が1回転する間に電子伝達体が作られ、これが電子伝達系に運ばれると多くのエネルギーが作られます。この生体内でのエネルギーがアデノシン三リン酸(ATP)です。

エネルギーが必要な状態で糖質を摂取すれば、解糖系とミトコンドリアを経てATPが作られエネルギー利用されます。

では、エネルギー需要を超えて糖質を摂取した場合は、どうなるのでしょうか?

この場合、解糖系でピルビン酸に加工されミトコンドリアでアセチルCoAになりますが、エネルギー需要よりもアセチルCoAの供給量が増えるのでクエン酸回路はエネルギー需要分しか回りません。そうすると、アセチルCoAが余ります。

そして、余ったアセチルCoAはマロニルCoAに加工されます。このマロニルCoAは、その後、脂肪酸合成に回り、最終的に中性脂肪となって体に蓄えられます。

食事量が同じなら食事回数を増やす方が脂肪になりにくい

糖質摂取から中性脂肪が蓄えられる流れを見ると、エネルギー需要を超えて摂取した糖質量だけ中性脂肪になるとわかります。

食事回数に関わらず、食事をしている時のエネルギー需要が同じだとすれば、1回の食事量が少ない方がエネルギー需要を超えて摂取する糖質量が少なくなるので、糖質から合成される中性脂肪の量も少なくなるはずです。したがって、1日の食事量と運動量が同じであれば、分食した方が中性脂肪は貯まりにくいと考えられます。

脂質も、中性脂肪の分解以上に摂取すれば中性脂肪の蓄積量が増えるでしょうし、タンパク質もエネルギー需要を上回って摂取すれば中性脂肪の合成量が増えるでしょうから、1回の食事でたくさん食べた方が太りやすくなると思います。

しかし、カロリー収支で太るか痩せるかが決まるという理屈であれば、食事回数はダイエットとは無関係なはずです。1日1食で2,000kcal摂取しようが、1日5食で2,000kcal摂取しようが、1日の運動量が同じならカロリー収支は同じになり黒字なら太ります。したがって、カロリー収支で太るか痩せるかが決まると思っている人が、食事回数を増やすべきか減らすべきかを考えても無駄です。

では、なんで食事回数とダイエットが関係あるかどうかを考えるのかというと、カロリー収支だけで太るか痩せるかが決まるわけではないと思うからです。太ることを脂肪がつくことと考えれば、脂肪がつきにくい食べ方をした方がダイエットには効果的だと思います。

しかし、分食で痩せる人もいれば、1日1食で太らない人もいますから、食事回数とダイエットとはあまり関係がないのかもしれません。食事回数を気にする前に何を食べるべきかを考える方が、ダイエットには大事かもしれませんね。

参考文献