大阪府に緊急事態宣言が出されたのが4月25日でしたから、そろそろ3週間になろうとしています。
このところ、大阪府の新型コロナウィルスの新規陽性者数が急激に減少し始めているので、緊急事態宣言の効果が出てきているのかもしれません。
一方で、同時期に緊急事態宣言が出た東京都では、新規陽性者数の急激な減少は見られません。ただ、じわじわと減り始めてはいますね。この減り方は、4月下旬の大阪に似ています。どうも、コロナの感染拡大は、ある程度まで感染者が増えるとリミッターが働いているように見えます。
新規陽性者数の増加の内訳
1月13日から5月14日までの陽性者の増加数を確認していきましょう。なお、データは、大阪府の「新型コロナウイルス感染症患者の発生状況について」のページから取得しています。
最初は、経路別の陽性者数の増加表です。
感染経路不明と感染経路不明者の濃厚接触者等を除くと、施設の増加が目立ちます。感染すると、最も重症化しやすい人たちが多いので、ワクチンを優先的に接種しないといけないのですが、テレビのニュースを見ていると、元気な高齢者ばかりがワクチンの予約に殺到しているように見えます。
予約したのにキャンセルして、ワクチンを廃棄したというニュースもありましたね。そして、キャンセル分を廃棄しないために医療従事者などが接種したら、今度は、それもいかがなものかと批判が出ています。捨てるくらいなら、使った方が良いのは誰にでもわかることなのに変な批判です。
こちらは、年代別の陽性者数の増加表です。
20代が多いのは、これまでと変わっていませんが、未就学児の陽性者数が、このところ多い傾向が続いています。
施設、医療機関、児童施設での陽性者の発生が目立ちますが、これらの共通点は、人の移動が少ないことです。高齢者施設の入所者は、毎日同じ建物内で集団で生活しています。入院患者も同じ建物内で集団で生活しています。幼稚園や保育園は、昼間だけ集団で生活しているので、前二者とはやや異なっていますが、それでも、同じ建物の中で集団で過ごしている時間は長いです。
これらでの陽性者の発生から、人が動くと感染するのではなく、人の動きが少ないところにウィルスが入ってくると感染しやすくなると考えられます。毎日、別の建物に移動するようにすれば感染しにくくなりそうですが、高齢者や入院患者を毎日移動させるのは厳しいですね。いずれにしても、施設と医療機関での感染予防に最も力を注ぐ必要があります。
陽性者数の推移
次に陽性者数の推移を見ていきましょう。
この1週間の間に一気に陽性者数が減少し、5月14日は600人を下回りました。これだけ陽性者数が少ないのは、検査数が減っているからじゃないかと思うかもしれません。でも、検査数は以前よりも増えています。
で、こちらが検査数の推移です。
5月14日は、過去最高で、2万件を突破しています。それなのに陽性者数が大幅に減少していますから、コロナウィルスの勢いがこれまでより弱くなっていると想像できます。
そして、以下は陽性率の推移です。
4月上旬から陽性率は低下していましたが、その下がり方はゆっくりでした。ところが、5月8日頃から陽性率が順調に下がりだし、5月14日時点の1週間平均の陽性率は6.3%まで下がっています。一時は9%を超えていた陽性率ですが、これからもっと下がって来るでしょうね。ちなみに5月14日の陽性率は2.9%です。
下は、経路別の陽性者数の推移です。
緑色の感染経路不明が5月8日以降、一気に減少しています。全体的な陽性者数の減少は、感染経路不明者が減ったことが主要因だとわかりますね。
上のグラフから、医療機関、施設、「他」を取り出したのが以下のグラフです。
オレンジ色の医療機関と灰色の施設は、全体的な陽性者数の減少とは逆に増加傾向にあります。特に医療機関での増加が目立ちます。ここからは、市中感染が拡大すると医療機関での陽性者数が増えるといった相関関係は見出せません。
一方、黄色の「他」が5月に入ってから一気に減っています。これは、ゴールデンウィークに入って、会社や学校が休日になったから、これらの場所で陽性者が発見されなかったことが理由と考えられます。また、感染経路不明が減っていることから市中感染が急激に減少していると考えられるので、職場や学校などで感染しにくくなっているとも推測できます。
こちらは、年代別の陽性者数の推移です。
すべての世代で順調に陽性者数が減っています。特定の世代が、他の世代にコロナウィルスを移しているといったことは、上のグラフを見る限りなさそうです。
こうやって新規陽性者数の推移を見ていくと、新型コロナウィルスの感染拡大はストップしていることがわかります。それどころか、陽性者数が一気に減ってきているので、緊急事態宣言を解除しても問題ないように思えます。そもそも、緊急事態宣言とは関係なく陽性者数は減っていますけどね。
以下は、陽性者の年代別累計です。
特に大きな変化はありません。
重症者回転期間が14日まで短くなった
重症者数についても、改善がみられるようになっています。
5月14日の重症者残留数は375人で、最も多かった5月4日の449人から74人減少しました。1月13日から5月14日までの重症者残留数の推移は以下の通りです。
ゆっくりと確実に重症者数が減っているのがわかります。
そして、重症者回転期間も5月14日に14.2日まで短くなりました。3月24日から5月14日までの重症者回転期間の推移は以下の通りです。
私の推測では、重症化してから重症解除までの日数が約14日なので、5月15日から21日までに5月1日から7日までに重症化した人が重症解除となると考えられます。
5月1日から7日までの1日平均の新規重症者数は32人です。そして、5月14日の重症解除者数は23人でしたから、5月15日から21日までの7日間に1日平均10人、7日合計で70人前後は重症者数が減ると予想します。順調にいけば、5月21日に重症者残留数が300人を下回るかもしれません。
それにしても、大阪府の重症者数は多いです。
江部康二先生のブログの以下の記事で、東京医師会がイベルメクチンが新型コロナウィルスの重症化予防に効果があると発表し、田村厚生労働大臣もイベルメクチンを保険適用で使える旨の発言をしているそうです。
ところが、イベルメクチンを使用できることを知らない医師が多いようです。東京の医療機関は、東京医師会がイベルメクチンの使用をすすめているので、コロナ感染者に使っていると思いますが、大阪の医療機関はどうでしょうか。
大阪のお笑いコンビのギャロップ林さんが、コロナに感染し、1週間、解熱剤を使って回復したと述べていました。林さんの話を聞く限りでは、イベルメクチンは使っていなかったようです。 また、林さんは、コロナに感染する前、寝不足の日が続いていたとおっしゃっていましたから、体調が悪いときにコロナウィルスが体内に入ってくると、感染する確率が高まるのかもしれませんね。
林さんの話から、大阪の医療機関では、イベルメクチンを使ってなさそうに思いますが、1人の発言内容だけでは真実はわかりません。ただ、コロナに感染した人全員にイベルメクチンが使われていないことは事実でしょう。
死亡者数は増加傾向
1月13日から5月14日までの大阪府のコロナ感染での死亡者数は1,211人でした。毎日の死亡者数は以下の通りです。
このところ、たくさんの死亡者数が公表されることがありますが、これは、死亡を確認した日であり死亡した日ではありません。死亡者数が多い日は、過去10日以上の期間の死亡者数が報告される傾向があります。1ヶ月前の死亡が報告されることもあります。
上のグラフで、棒が突出している日が4月28日以降何本か見られます。でも、突出している日の前の3日間の死亡者数と平均すると、1日の死亡者数が30人から40人程度になるので、大幅に増加しているわけではないですね。
死亡者数の内訳です。
30代が4人、40代が13人、50代が41人です。
死亡者の平均年齢は、推定で80.8歳です。以前は、83歳くらいだったので、死亡者の若年化が進んでいます。1月29日の時点では、90歳以上の死亡者が28.8%を占めていましたが、5月14日時点で20%まで下がっています。90歳以上の死亡者数の割合が低いことが死亡者の平均年齢が下がっている主要因ですが、60代の死亡者の割合が高まっていることも若年化に影響を与えています。
なお、1月13日から5月14日までのコロナウィルスの陽性者の推定生存率は以下の通りです。
- 90歳以上:78.5%
- 80代:85.8%
- 70代:93.5%
- 60代:98.1%
- 50代:99.5%
- 40代:99.84%
- 30代:99.95%
- 20代以下:100.0%
死亡者数が増加傾向なので、20代以下以外は、推定生存率が下がってきています。それでも、まだまだ生存率は高いので、コロナに感染しても死亡する確率は低いです。
イベルメクチンを使えば、この推定生存率はもっと上がりそうですね。