大阪府のまん延防止等重点措置は継続、そして、東京都には緊急事態宣言が発出されました。
陽性者数が増加傾向にあることが理由ですが、そんなことは本来どうでも良く、医療崩壊を防ぐことが緊急事態宣言の目的だったはずです。それが、いつの間にか、感染者を出さないことに目的がすり替わってますね。
メディアも、陽性者数の増加ばかり報じて、重症者数が減っていること、なにより、高齢者の感染が激減していることは一切報じません。ワクチン効果で、日本のコロナ禍は6月末で終焉したと言って良い状況です。
新規陽性者数の増加の内訳
1月13日から7月16日までの陽性者の増加数を確認していきましょう。なお、データは、大阪府の「新型コロナウイルス感染症患者の発生状況について」のページから取得しています。
最初は、経路別の新規陽性者数の増加表です。
約半年経過しましたが、この期間での陽性者数はわずか7万人ちょっとです。風邪だって、これくらいの人がかかるんじゃないですか?
そして、年代別の新規陽性者数の増加表です。
7月に入ってから高齢者の感染が激減していることから、60代以上の陽性者数があまり増加しなくなっています。
1月13日から7月16日までの陽性者の推移です。
1日の陽性者数が300人を超える日も出てきましたが、7月16日は200人台まで減りました。このまま減少するかもしれませんが、7月下旬から夏の暑さが本格化してくるので、暑さで体調を崩した人がコロナに感染しやすくなり、陽性者数が増加するのではないでしょうか。それでも、高齢者の感染爆発は起こらないでしょうけどね。
同期間の検査数の推移です。
そして、陽性率の推移です。
陽性率は、7月に入ってじわじわと上がっているのがわかりますね。2%を超えてきており、感染が再拡大していることは間違いありません。
経路別と年代別の陽性者の推移
経路別と年代別の陽性者の推移を見ていきましょう。
まずは、経路別の陽性者の推移です。
7月になって感染経路不明の増加が目立っています。市中感染が広がっていることがわかりますね。
上のグラフから、医療機関、施設、「他」を取り出したのが以下のグラフです。
オレンジ色の医療機関と灰色の施設で、陽性者の発生数が少ない状況を保っています。高齢者と医療従事者に優先的にワクチンを接種したことが理由でしょうね。
一方で、「他」が7月上旬から増加傾向です。「他」には、学校関連や職場が含まれています。60歳未満での感染が進んでいることが理由です。
年代別陽性者の推移です。
これを見れば、青色の60歳以上の線が7月に入って、ずっと低空飛行なのがわかります。明らかにワクチンの効果が出ています。30~50代、20代以下では陽性者数が増加していますが、60歳以上で陽性者数が急増する気配は見られません。
ただ、60代は、65歳以上はワクチンを接種していますが、64歳以下はワクチンを接種していないので、少し陽性者が増加傾向にあります。それでも、60歳未満の世代と比較したら、大した陽性者数ではありません。
1月13日から6月16日までの年代別陽性者の累計です。
60代以上の棒線がほとんど伸びなくなりました。
男女別の陽性者の推移
今回、男女別の陽性者の推移もグラフにしてみました。
下は、7月1日から7月16日までのグラフです。
これを見ると、オレンジ色の女性の棒線が、すべての日で低いのがわかります。男性の方が、女性よりも感染しやすい傾向がはっきりと出ていますね。
こちらは、5月の男女別の陽性者の推移です。
5月も、女性の方が少ない傾向にありますが、男女でそれほど大きな差が見られません。日によっては、女性の方が多いこともあります。
5月と7月で、どうしてこんなに男女差が出たのかというと、以前の記事でも述べましたが、専業主婦が感染しにくいからだと思います。
年代別で男女の活動を推測すると以下のような感じでしょう。
- 20代以下は、通学や通勤が男女ともほぼ同じで外出が多い。
- 30~50代は、女性の専業主婦の割合が高まるので、全体的に女性の外出が減る。
- 60歳以上は、男性が仕事をやめるので、男女とも外出が少なくなる。
ワクチン接種が始まるまでは、全世代で感染が進んでいました。20代以下と60歳以上では男女の行動に大きな差がないので、5月は陽性者の男女差が小さかったと考えられます。
ところが、ワクチン接種が進んだ7月以降は60歳以上の陽性者が激減したので、陽性者数に占める60歳未満の割合が大幅に上がりました。そのため、30~50代の外出が多い男性の割合が高まるとともに同年代の女性の割合が低くなるので、7月は女性の陽性者数が少なくなったと推定できます。
だから、20代の陽性者数が多いのは、男女とも通勤や通学で外出する人がたくさんいることが主要因だと思うんですよね。若者が不要不急の外出をするから感染が拡大していると言われていますが、これは、おそらく違うでしょう。
大阪府が、年代別に男女の陽性者数を公表してくれれば、20代女性の陽性者数が、30~50代の女性の陽性者数よりも多いかどうかを確かめられるのですが。
重症者の状況
大阪府の重症者数は順調に減少しています。
こちらは、1月13日から7月16日までの重症者残留数の推移です。
7月に入って、重症者残留数の減りが緩やかになっていますが、これは、6月中旬以降、新規重症者数が減ってきていることが理由です。この1週間は、新規重症者がゼロの日もあります。一方、重症解除者数も毎日1人や2人程度で、日によってはゼロのこともあります。
それでも、重症者数は、3月よりも少ない50人未満にまで減少しています。現状の重症者数からは、医療崩壊が起こることは考えられません。特にワクチン接種が進み、高齢者の感染が激減していますから、新規の重症者がうなぎ上りに増える状況は想像できないですね。
おそらく、大阪府以外の地域でも同じような状況になっているはずです。大手メディアも、もっと高齢者の感染が低い水準で抑えられていることを報じるべきです。
3月24日から7月16日までの重症者回転期間の推移です。
重症者回転期間がじわじわと長くなってきています。そろそろ10日を超えそうですね。
重症化してから重症解除まで平均して約14日かかるので、重症者回転期間も、新規重症と重症解除が現在の状況を維持していれば、14日当たりで落ち着くはずです。
死亡者数も激減
1月13日から7月16日までの毎日の死亡者数です。
7月に入って、死亡者数が非常に少なくなっています。死亡者数がゼロの日も目立ち始めていますし、死亡が報告される日でも4月から6月の死亡が多く、7月に死亡した人は少ないです。
死亡者数の減少からも、ワクチンの効果が出ていることがうかがえます。
同期間の死亡者数は、2,013人でした。その内訳は以下の通りです。
20代が1人、30代が6人、40代が21人、50代が72人です。
なお、1月13日から7月16日までのコロナウィルスの陽性者の推定生存率は以下の通りです。
- 90歳以上:71.5%
- 80代:80.4%
- 70代:90.4%
- 60代:97.2%
- 50代:99.3%
- 40代:99.80%
- 30代:99.94%
- 20代:99.99%
- 10代以下:100.0%
推定生存率も、各年代で徐々に上がり始めていますから、感染しても死亡する危険性が低くなっているのがわかります。
ワクチンの効果は、想像以上に大きかったですね。
今年の2月から医療従事者に先行してワクチンを接種していましたが、これを高齢者から先行して行っていれば、もっと被害を少なくできたはずです。4月の緊急事態宣言も必要なかったかもしれませんし、7月の東京の緊急事態宣言など考える必要性すらなかったでしょう。
分科会の判断ミスと言わざるを得ないですね。