いまだに野菜を1日350グラム食べることを推奨しているよ

先日、たまたまテレビをつけると健康番組が放送されていました。

その健康番組では、野菜を1日に350グラムは食べなければならないと言っていました。1日に食べなければならない野菜の量は350グラムで決定したような言い方でしたね。

2007年には、厚生労働省が「1日に350グラムの野菜を食べましょう」と言っているので、この時点で1日に350グラムの野菜を食べなければならないことにはなっていたようです。それが、いまだに信じられているんですね。

野菜を消化できるのか?

私は、野菜をたくさん食べることには否定的です。

一番の理由は、ヒトは野菜を消化するためのセルラーゼという消化酵素を持っていないからです。それどころか、草食動物でさえセルラーゼを持っていないのですから、哺乳類が植物を食べること自体が本来の食性に合っていないわけです。

植物の細胞は、セルロースでできた細胞壁で覆われており、このセルロースを分解するためにセルラーゼが必要になります。しかし、ヒトはセルラーゼを持っていないので、胃や腸といった消化管で植物の細胞壁を壊すことができません。だから、野菜に多くの栄養素が含まれていたとしても、ヒトは消化できない以上、その栄養素を大して補給できないはずなのです。

そうすると、野菜から栄養素を補給するためには、ミキサーを使って野菜ジュースにするといったことをしなければなりません。歯がすり減るほど野菜をかみ続ければ、少しは細胞壁を砕けるかもしれませんが、そんなことをして歯の寿命を縮ませるのは良いことだと思えません。

動物性食品から栄養素を補給できる

一方、肉、卵、魚といった動物性食品は、ヒトの消化管で消化し、栄養素を吸収することができます。

タンパク質をアミノ酸に分解する酵素には、ペプシン、トリプシン、キモトリプシン、カルボキシペプチターゼ、ジペプチターゼ、アミノペプチターゼがあります。ヒトはこれらを持っていますから、動物性タンパク質から、しっかりと栄養素を補給できます。

動物性食品から補給できる栄養素は、タンパク質と脂質ばかりで、ビタミンやミネラルは少量しか補給できないと考えられがちです。しかし、実際には、そのようなことはなく、動物性食品からも、1日に必要とされるビタミンやミネラルを補給できます。唯一、ビタミンCだけは動物性食品からの補給が難しいですが、ペットボトルのお茶を飲んだり、ハムやベーコンを食べればビタミンCの補給も可能です。

また、野菜は、ビタミンが豊富とのイメージが強いですが、どんなにたくさん食べても、ビタミンB₁₂を摂取することはできません。ビタミンB₁₂が不足すると貧血になりますから、特に女性は鉄や葉酸と一緒にビタミンB₁₂もしっかりと摂取する必要があります。動物性食品には、ビタミンB₁₂が豊富に含まれていますから、野菜ばかり食べる生活をしなければ不足することはありません。

野菜ばかり食べるとミネラルの吸収が悪くなる

野菜をたくさん食べることには、鉄などのミネラルの吸収が悪くなるといった欠点もあります。

野菜には食物繊維が多く含まれており、これがミネラルの吸収を邪魔します。また、豆類や穀物も、フィチン酸が多く含まれており、これもミネラルの吸収を阻害します。

食物繊維は、便通を良くするためにたくさん食べた方が良いと思われていますが、肝心の栄養素の補給を邪魔するのですから、たくさん食べるべきではありません。食物繊維を食べなければ便秘になるのなら、野生の肉食動物はほとんどが便秘になっていますよ。

栄養学の本を読んでいると、野菜をたくさん食べることに対して多くの疑問がわいてきます。

そもそも350グラムもの野菜を食べると、肉、卵、魚といった動物性食品を食べる量が減ってしまいます。動物性食品には、良質なタンパク質が豊富に含まれていますし、何よりも、人体はタンパク質でできた細胞の集合体なのですから、野菜の食べ過ぎでタンパク質が不足しては意味がありません。

テレビの健康番組を見ていても、栄養に関する知識は得られません。また、知識がないから栄養について考えることもできません。野菜を1日に350グラム食べないといけないと信じている方は、一度、栄養学の本を読んでみましょう。

参考文献