身体にとって最も重要な栄養素は、タンパク質です。人間の細胞はタンパク質でできていますから細胞を元気に保つためには、しっかりとタンパク質を摂取しなければなりません。
1日に摂取すべきタンパク質量は、体重×1グラムとされています。体重が50kgの人だと50グラム、80kgの人だと80グラムですね。でも、この1日に必要なタンパク質量の計算はおかしいんですよね。
捨てられるタンパク質を補う
体重65kgの成人の場合、毎日、体を構成するタンパク質のうち200グラムが分解されます。
タンパク質はアミノ酸の集合体ですから、分解されたタンパク質はアミノ酸になります。そして、アミノ酸は、いったんアミノ酸プールに入り、そこから60グラムがエネルギー利用されたり、外に排泄されたりして失われます。残った140グラムは、まだ利用可能なのでタンパク質となって体の一部を構成します。
しかし、200グラムのタンパク質が分解されて140グラムしか再利用されないと60グラム不足します。だから、60グラムのタンパク質を食事から補給して不足分を補う必要があります。
体重×1グラムのタンパク質の補給は、このアミノ酸プールの仕組みから導き出されているのでしょうね。
タンパク質のカロリー
タンパク質は、体の一部を構成するだけでなくエネルギー利用もできます。
現在よく利用されているアトウォーター係数では、タンパク質は1グラム当たり4kcalの熱量とされています。
タンパク質は燃やすと1グラム当たり5.65kcalの熱量が発生します。これを物理的燃焼値と言います。なぜ、アトウォーター係数と物理的燃焼値が異なるかというと、口から入れたタンパク質の全てが消化吸収されず、また、吸収されたタンパク質の全てを完全にエネルギー利用できないからです。つまり、1グラムのタンパク質を食べても、その70%くらいしかエネルギー利用できないということです。
ここで、どれだけのタンパク質が消化吸収されないのか、また、吸収されたタンパク質のうちエネルギー利用できない分はどれくらいあるのか、その内訳はわかりませんが、不足する60グラムのアミノ酸を満たすために60グラムのタンパク質を食べていたのでは足りないことはわかりますよね。
仮にタンパク質の消化吸収率が90%だったとしたら、60グラムのタンパク質を食べても、54グラムしか吸収されないので6グラムの不足が出ます。そうすると、60グラムのアミノ酸を必要とするのなら、67グラムのタンパク質を食べる必要があります。エネルギー利用できるタンパク質が70%ですから、これを基準にした場合、体重×1.4グラムのタンパク質を補給しておかないと体に必要なアミノ酸を満たせないことになります。
実際にどれだけのタンパク質が消化吸収できるのかわかりませんが、タンパク質が不足しないようにするなら、体重×1.4グラムのタンパク質を毎日食べておくのが無難ですね。