亜鉛を多く摂取したいなら牛肉を食べなさい

筋トレをしている人なら、筋肉量を増やすためにタンパク質を多く摂取するように心掛けていることでしょう。

おそらく、ほとんどのトレーニーの方が、タンパク質の重要性を理解しているはずですからね。しかし、タンパク質だけを摂取していても、不十分なところがあります。摂取したタンパク質が合成されなければならないからです。

タンパク質の合成に関わっている補酵素に亜鉛があります。建物に例えると、タンパク質が木材で、亜鉛はそれらを組み合わせるためのクギやネジといったところでしょうか。日本の神社やお寺の建物はクギを使わずに組み立てられていますが、基本的にどんなに良い木材があっても、クギやネジがなければそれらを組み合わせることはできませんよね。

それと同じで、タンパク質を合成するために亜鉛を十分に摂取しておく必要があります。

亜鉛の摂取目安量と上限

亜鉛の働きについて、もう少し詳しく説明した内容が、医師の姫野友美先生の著書「成功する人は缶コーヒーを飲まない」に記載されているので引用しておきます。

亜鉛は補酵素として、全身の300ほどの酵素を活性化させる働きを持つ栄養素である。細胞分裂を促して、タンパク質の合成、免疫機能、ホルモン分泌の調整などに関わり、亜鉛がなければ酵素の働きによる代謝が正常に行われなくなってしまうほどの大切な存在だ。(109ページ)

この1文を読むだけでも、亜鉛の重要性がわかると思います。

厚生労働省が、平成14年3月13日に公表した「保健機能食品制度に関する質疑応答集について」の(問14)で、亜鉛の1日当たりの摂取目安量を3mg~15mgとしています。また、平成16年3月29日に厚生労働省から出された諮問書「厚生労働省発食安第0329001号」によると、亜鉛の1日の摂取上限は30mgとされています。

1日3食を前提にすると、1食あたりの亜鉛の摂取目安量は3mg程度となります。1日の上限30mgを超えないようにするためには、1食あたり10mg未満にしておいた方が良いですね。

どの食材に多くの亜鉛が含まれているのか?

ところで、亜鉛はどんな食材に多く含まれているのでしょうか?

サプリメントに詳しい方ならご存知だと思いますが、亜鉛が多く含まれている代表は、海にいるカキです。1個食べるだけでも2.6mgの亜鉛を補給できるので、冬の旬の時期には、カキを積極的に食べるようにすれば簡単に1日の摂取目安量を補給できますね。

しかし、カキの旬の時期以外の春から夏にかけては、どんな食材から亜鉛を補給すれば良いのでしょうか?

これに関しても、サプリメントに詳しい方ならレバーとすぐに答えることができるでしょう。でも、レバーには、ビタミンAがたくさん含まれているので、常食しているとビタミンA過剰症になる危険があるとも言われているので、毎日食べるのは避けた方が良いですね。

カキとレバーが亜鉛を多く含んでいますが、どちらも欠点を持っています。もっと手軽に亜鉛を補給できる食品はないものでしょうか。

実は、私たちが普段からよく食べている食品に亜鉛はたくさん含まれています。

その食品とは、肉です。

以下の表は、牛肉、豚肉、鶏肉それぞれ100グラムに含まれている亜鉛の量を示したものです。亜鉛だけだと、あまり役に立たないと思ったので、タンパク質と脂質の含有量も加えておきました。ちなみに参考にしたのは、カロリーSlismです。

牛肉、豚肉、鶏肉の亜鉛、タンパク質、脂質の含有量

上記の表を見ればすぐにわかるでしょうが、亜鉛をしっかりと補給したければ、牛肉を食べるのが一番ですね。かたロース赤肉なら100グラムで6.4mgの亜鉛を補給できますし、最も亜鉛の含有量が少ない牛ヒレでも2.8mgの摂取が可能です。

豚肉は、牛肉ほどではありませんが、100グラム食べるだけでも、まずまず亜鉛を補給できますね。鶏肉だとモモ肉が割と多めです。

亜鉛が多い部位は赤肉ですが、脂質がとても少ないので、エネルギー補給のことも考えると、サーロイン赤肉よりもサーロイン、豚ロース赤肉よりも豚ロースの方が良さそうです。脂質悪者説を信じている方なら、赤肉ばかりを食べそうですが、脂質は人間にとって必要な必須脂肪酸を含んでいるので、赤肉に偏らない方が良いでしょう。

ついでにレバーの亜鉛、タンパク質、脂質の含有量も示しておきます。

レバーの亜鉛、タンパク質、脂質の含有量

牛レバーと鶏レバーは、100グラムあたり3mg以上の亜鉛を補給できます。豚肉は、それらの約2倍の6.9mgも含まれていますね。亜鉛補給を目的とするなら、肉の代わりにレバーを食べるのもありでしょう。

なお、レバーの詳しい栄養価については以下の記事をご覧になってください。

カキとホタテの亜鉛含有量も見ておきましょう。

カキ、ホタテ、ホタテ貝柱の亜鉛、タンパク質、脂質の含有量

冬場の肉を食べてない日は、カキを4個か5個食べれば良いですね。ホタテも1食につき1個食べれば、亜鉛補給には十分でしょう。

とは言え、カキやホタテを食べなくても、肉を食べていれば、亜鉛に加えて良質なタンパク質と脂質も摂取できるので、わざわざ肉の代替として選ぶ必要はないですね。

亜鉛不足を予防したいなら、とにかく肉、できれば牛肉をたくさん食べなさいということです。

もしも、これまで牛肉をあまり食べてなかった人は、体内の亜鉛量が不足している可能性があります。特に和食中心の食生活だと、男性の場合は中年と呼ばれる年代になると、高確率で亜鉛不足に陥るでしょう。だから、若いうちからしっかりと牛肉やカキのような亜鉛を多く含む食品を食べなければなりません。

また、中高年の男性は、亜鉛のサプリメントを使うことも検討した方が良いですね。

参考文献