大阪府の緊急事態宣言が2月28日に解除されたかと思ったら、今度は、4月5日から大阪市にまん延防止等重点措置が適用され、1ヶ月間、飲食店は時短営業をしなければならなくなりました。食事をする際も、マスクを着用しなければならないようです。
ここ1週間にコロナウィルスの新規陽性者数が、急激に増えていますが、これをリバウンドや再拡大と考えている識者が多いみたいですね。
何もしなくても、また陽性者数は減り始めそうに思うのですが、とりあえず、また大阪府でのコロナウィルスの感染の状況を分析することにしましょう。
新規陽性者数の増加の内訳
1月13日から4月2日までの陽性者の増加数を確認していきましょう。なお、データは、大阪府の「新型コロナウイルス感染症患者の発生状況について」のページから取得しています。
経路別の陽性者数は、感染経路不明とその濃厚接触者等が最も多くなっています。その次に多いのは、施設と医療機関です。
施設も医療機関も、感染すると重症化する危険が高い人が多いのですから、ここを重点的に対策する必要があります。でも、陽性者数の増加を見ると、あまり対策していないようです。
一方で、感染拡大の原因と言われている飲食店では、たったの21人しか陽性者が出ていません。1月13日以降に発生したのは2店舗だけですから、大阪府の医療機関を受診するより、飲食店で食事をする方が安全です。
こちらは、年代別の陽性者の増加表です。
増加数は、20代が最も多く、その傾向は以前と変わっていません。ただ、30代から50代も増加傾向にありますから、若者を中心に感染が拡大しているとは言い切れない面があります。
陽性者の推移はどうなったか
1月13日から4月2日までの新規陽性者の推移を確認しましょう。
3月上旬までは、順調に陽性者数が減っていましたが、その後、横ばいとなり、3月24日に大きく上昇しています。
3月24日にいったい何があったのか、気になりますね。
こちらは、検査数の推移です。
3月に入ってから検査数も大幅に増えています。
1万件を超える日も多いですね。そのうちの1%程度は、まちがって陽性と出ている人ですから、その分だけ、実際の感染者は少なくなっているはずです。
ちなみにこの1年間の日本国内の陽性者数は50万人に達していないので、陽性者を感染者と仮定すると感染率は0.4%です。PCR検査でまちがって陰性と出る確率が30%、まちがって陽性と出る確率が1%ですから、無作為に100万人集め、PCR検査を実施した場合、12,760人が陽性となりますが、そのうち実際に感染しているのは2,800人だけとなります。したがって、PCR検査で陽性と出て本当に感染している確率は21.9%でしかありません。
検査数を増やせば増やすほど、まちがって陽性と出る数が増えることは、覚えておきましょう。
で、その陽性率ですが、3月中旬までは1%台で推移していましたが、4月2日の時点では4%を少し超えるところまで上昇しています。
陽性者数は、3月31日が599人、4月1日が616人、4月2日が613人です。
感染が一気に拡大するぞ、と言われていますが、もしかしたら、この辺りで頭打ちになったかもしれませんね。
経路別に陽性者の推移を確認します。
感染経路不明がここ最近で一気に増えていますね。市中感染が拡大しているように見えます。
感染経路不明と感染経路不明者の濃厚接触者等が多すぎて他の項目がわかりにくいので、この2項目を除外したグラフを以下に示します。
3月24日に医療機関、施設、他が同じように増加しています。
3月24日の陽性者数は262人。そのうち、大阪市が111人。東大阪市が34人と、全体の半分以上を占めています。
東大阪市のうち、14人は医療機関から発生していますから、この日の医療機関の陽性者のほとんどが東大阪市の医療機関です。4月2日現在で、この医療機関では37人の陽性者が見つかっています。
大阪市では、3月24日に施設で2人の陽性者が見つかっていますが、その少し前に感染経路不明に集計されていた人がこの施設での陽性者であることがわかり、3月24日時点で11人の陽性者が見つかりました。
大阪府での陽性者数は、大阪市が最も多いのですが、東大阪市と堺市も他の市町村と比較すると陽性者が多いです。
東大阪市は、中小企業が多く、企業の物流の拠点ともなっています。東大阪市から大阪市や近隣府県に人や物が移動しやすい構造になっています。堺市も、沿岸部に工場が多く建ち並んでいるので、人や物の移動が多いです。
人が動くと感染が拡大すると仮定すれば、東大阪市や堺市などで、感染した人が大阪市やその他の市町村に移動して感染が広がったとも考えられます。
でも、同時多発的に一気に陽性者が増えるのでしょうか?
年代別の陽性者の推移も見ておきましょう。
20代以下と30~50代が一気に増えています。
メディアでは、若者が飲食店で騒いで感染を広げているようなことが言われていますが、飲食店での陽性者がほとんど出ていないので、それはまちがっているでしょう。若者が騒いだとしても、それは飲食店以外の場所ですから、飲食店に時短営業を要請するのは筋違いです。
年代別陽性者の累計は以下の通りです。
20代の陽性者が一気に増えましたね。
死亡者数は増えていない
陽性者数が3月下旬から一気に増えたことで、重症患者数も増加しています。それまでは50人程度だったのが、4月2日には112人になっています。
ただ、死亡者数にはほとんど変化がありません。
コロナに感染してすぐに亡くなるわけではないので、死亡者数はしばらく経過しないことには何とも言えませんね。
最近は変異ウィルスに従来のウィルスが取って代わられつつあると言われていますが、もしかしたら、変異ウィルスの毒性が弱く死亡に至らないのかもしれません。
いずれにせよ、しばらく経過を観察する必要があります。
1月13日から4月2日までの死亡者数は499人で、その内訳は以下の通りです。
40代は3人、50代は7人です。
これまでとほとんど変わらず、80歳以上の高齢者が大多数です。
活動時間を変えるべき
インドでは、若者を中心に感染が広がり、すでに集団免疫が確立していると言われています。
その内容は、検索すればいくらでも出てくるので、ここでは詳細は省きます。
日本も、全く効果が出ていないヨーロッパを真似て人の移動を制限するのではなく、インドのように集団免疫の確立を目指した方が、被害が少なく済むのではないですか?
インドの人口は2019年は13.66億人で、コロナでの死亡者数が直近で16.3万人です。人口100万人当たりで、119人が死亡した計算です。
日本の人口は約1.2億人、これまでのコロナでの死亡者数が約9千人ですから、人口100万人当たりで、75人が死亡した計算になります。
インドの方が2倍程度死亡者は多いですが、国民の抗体保有率が40~60%になっています。一方の日本では、東京で0.9%の抗体保有率でしかなかったことから、集団免疫どころの話ではありません。
インドで集団免疫が成立したのは、人口に占める高齢者の割合が低かったことも理由と考えられています。国民に感染が広がっても、人口に比して死亡者数がそれほど増えず、大きな被害とならなかったので、感染が許容された面があったのでしょうね。
それなら、日本も、高齢者世代とその他の世代が交わらないように活動時間を変えれば、大きな被害を出さずに集団免疫を確立できると思うんですよね。
例えば、医療機関の診察時間を11時から16時に変更すれば、高齢者が医療機関を受診する時間帯とその他の世代が通学、通勤、帰宅する時間帯と重なりにくくなります。高齢者が平日に出かける時間帯も、11時から16時にすれば、より効果的です。
さらに飲食店の時短営業は即刻解除し、逆に夜の営業は16時から24時まで拡大。高齢者、医療従事者、施設の職員は、16時から19時までに食事をしてもらうようにし、その他の世代は19時以降に入店します。
若者の感染は許容し、できるだけ多くの若者がメモリーB細胞(抗体)を獲得し、長期間持続できるよう基本的に活動は制限しません。一方、施設の職員に優先的にワクチンを接種してもらい、1日300個配布しているPCR検査キットも、施設の職員の感染状況の確認のために使用します。
私は、人の動きがコロナ感染の拡大や縮小の主要因だとは思っていませんが、医療機関や施設でコロナが発生し市中感染につながっている可能性はあると考えています。一方、世間では、若者が感染し、医療機関や施設にコロナが持ち込まれていると言われています。
どちらの主張であれ、若者と高齢者の活動時間を分けることで、両者が交わりにくくなるのですから、双方納得できるでしょう。