東京オリンピックが閉幕し、日常に戻った感じですね。そして、テレビをつければ、オリンピック前のようにコロナの感染者が増加していると言っている番組ばかりです。
大阪では、コロナは、もはや滅多に死なない感染症になったにもかかわらず、テレビでは、陽性者が急増しているので医療崩壊が近づいていると恐怖をあおっています。東京も同じですね。
そんなメディアの報道とは異なり、東京では8月10日頃から陽性者数の増加が止まり、感染拡大がピークに達したようです。大阪も、おそらくピークに達したものと思われます。
新規陽性者数の増加の内訳
1月13日から8月13日までの陽性者の増加数を確認していきましょう。なお、データは、大阪府の「新型コロナウイルス感染症患者の発生状況について」のページから取得しています。
最初は、経路別の新規陽性者の増加表です。
飲食店で久しぶりに陽性者が確認されました。1つのお店で8人の陽性者が確認されましたが、今は発生が止まったようです。後から感染経路不明から飲食店に陽性者が振り替えられるかもしれませんが。
年代別の陽性者の増加表です。
年代別では、20代の陽性者が2万人を超えました。連日300人以上の陽性者が確認されていますから、1週間で2千人以上増加しています。30代から50代も増加傾向です。
反対に60代以上は、あまり増えていません。ワクチンの効果が出ていることが明らかですね。デルタ株は、ワクチンが効きにくいと言われていますが、大して効果が下がっていないようです。東京では、ワクチンを2回接種した方がコロナに感染して死亡したそうですが、それは例外的なことです。ガンだったようですが、それと死亡との関係はわかりません。
現時点では、ワクチンがコロナに対して極めて有効であることに変わりありません。
1月13日から8月13日までの新規陽性者の推移です。
8月11日は1,490人、12日は1,654人と連日過去最高を記録しましたが、13日は1,561人に減っています。
11日は、10日までの3連休の影響で集計が遅れ、増加したものと思われます。12日も、少しは集計の遅れの影響があったかもしれません。
陽性者数の増加スピードが減速しているのを見ると、感染がピークに達したように思えます。
今週は台風9号と10号が発生し、近畿地方は風が強かったので、コロナウィルスが日本海に吹き飛ばされていったでしょうから、来週以降は新規陽性者数が減っていくのではないかと予想します。
台風はコロナと関係がないと思うかもしれませんが、最近は、エアロゾルがどうとか、コロナは空気感染が主であると言われていますから、大気中に浮遊していたコロナがいなくなることで感染が収まることは考えられるでしょう。おまけに今週は雨が続いており、来週以降も雨の日が多いので、飛散するコロナの量も少なくなり、感染しにくくなるのではないでしょうか。
こちらは、検査数の推移です。
徐々に検査数が増加しています。
1週間平均の陽性率の推移です。
8月13日は10.1%まで1週間平均の陽性率が上がりましたが、13日単日で見ると8.6%なので陽性率は低下傾向にあります。ここからも、感染拡大が収まりつつあると推測できます。
経路別と年代別の陽性者の推移
経路別と年代別に陽性者の推移を見ていきましょう。
まずは、経路別の新規陽性者の推移です。
感染経路不明と感染経路不明者の濃厚接触者等が増加を続けています。ただ、どちらも増加の勢いが弱まってきていますね。
上のグラフから、医療機関、施設、「他」を取り出したのが以下のグラフです。
施設はたまに陽性者が発生することがありますが、医療機関ではほとんど陽性者が出ていません。
「他」には、職場や学校などが含まれていますが、こちらも発生数が減り始めました。
次に年代別に新規陽性者数の推移を見ていきましょう。
60歳以上は、ワクチンの効果で低い水準を保っていますが、最近は増加傾向です。
30~50代と20代以下は大幅に増加しましたが、これは先ほども述べたように3連休の影響で集計が遅れたことが理由です。8月13日は、どちらの世代も陽性者数が減少しています。
60歳以上をさらに細かく見ていきます。
64歳以下のワクチン接種が進んでいないため、60代の陽性者数は増加傾向です。
一方で、90歳以上の陽性者はほとんどいません。
70代と80代は、3連休の集計遅れの影響で一時的に大幅に増加しましたが、13日には低い水準に戻っています。こうやって見ると、ワクチンを接種している世代は、コロナが体内に侵入しても発症しにくいことがわかります。そして、すでに大部分が従来株からデルタ株に置き換わったと言われている現在でも、ワクチンが有効なことがよくわかります。
1月13日から8月13日までの年代別陽性者の累計です。下のグラフは8月14日になっていますが、正しくは8月13日です。
20代が、また右に伸びています。若者が遊びまわっているというより、若いほど発症しやすいだけなのでしょう。それにしても、いまだに若者を悪者扱いする風潮が消えませんね。
重症者の状況
重症者の状況も見ておきましょう。
1月13日から8月13日までの重症者残留数の推移です。
毎日10人から20人の間で、新規の重症者数が増えています。一方で、重症解除となる人も毎日10人前後いるので、重症者残留数は大幅には増加していません。
3月24日から8月13日までの重症者回転期間の推移です。
8月11日に42.3日まで長くなりましたが、以後は短縮し始め、13日には34.0日になっています。
これから、重症解除となる人数が増加していくでしょうから、重症者回転期間も右肩下がりに短くなっていくでしょう。
死亡者数の状況
死亡者数の状況も確認しておきます。
1月13日から8月13日までの毎日の死亡者数です。
陽性者数がどんなに増えても、死亡者数は低い水準を維持しています。高齢者にワクチンを接種した効果ですね。
最近、若者が感染を拡大させているとの理由で、20代のワクチン接種を進めていますが、医療のひっ迫を防ぐのが目的であれば、60代と50代を優先してワクチン接種を進めるべきです。死亡者の年代を見ても、50代と60代が多いですからね。
このところ、ワクチンに関するデマが問題となっていますが、20代が感染を拡大させているとのデマを信じる方が、医療に悪影響を与えていますね。本当に20代が感染を拡大させていたとしても、20代はほとんど重症化しないので、ワクチン接種を後回しにしても医療に悪影響を与えません。
1月13日から8月13日までのコロナ感染による死亡者数は、2,052人です。その内訳は以下の通りです。
20代が1人、30代が7人、40代が22人、50代が79人です。
なお、1月13日から8月13日までのコロナウィルスの陽性者の推定生存率は以下の通りです。
- 90歳以上:71.9%
- 80代:81.0%
- 70代:90.7%
- 60代:97.5%
- 50代:99.4%
- 40代:99.84%
- 30代:99.95%
- 20代:99.99%
- 10代以下:100.0%
1月13日から6月30日までの新規重症者数は2,171人で、死亡者数は1,981人でした。仮に死亡者全員がいったん重症者に集計されていたとすると、同期間の重症化してからの死亡率は、推定で91.2%になります。
一方、7月1日から8月31日までの新規重症者数は229人、死亡者数は71人なので、死亡率は推定で31.0%になります。
死亡率が下がったのはワクチン接種が進んだことと、デルタ株が弱毒化していることが考えられます。6月30日までは死亡者は高齢者ばかりでしたが、今は高齢者の死亡は見られなくなりましたから、ここからも、ワクチンが死亡率を下げていることがわかります。
では、デルタ株の弱毒化はどうでしょうか。
これは、年代別の推定生存率を見れば、なんとなく予想できます。1月13日から8月13日までの50代以下の推定生存率は、6月25日までの推定生存率よりも高くなっています。したがって、デルタ株は従来株よりも弱毒化している可能性があると見られます。
なお、1月13日から6月25日までのコロナウィルスの陽性者の推定生存率は以下の通りです。8月13日までの推定生存率と比較してください。
- 90歳以上:71.9%
- 80代:80.7%
- 70代:90.6%
- 60代:97.2%
- 50代:99.3%
- 40代:99.79%
- 30代:99.93%
- 20代:99.99%
- 10代以下:100.0%
100%雨を降らす祈祷師の話
その昔、100%雨を降らす祈祷師がいたそうです。
その祈祷師は、日照りが続くとお祈りをして必ず雨を降らしていました。
祈祷師には、とてつもない神通力があったのでしょうか?
そんなことはありません。彼は、雨が降るまで、ひたすら祈り続けただけです。3日で降らなければ1週間、1週間で降らなければ2週間、とにかく雨が降るのを待ち続けていたのです。
だから、彼は、100%雨を降らす祈祷師と言われるようになったのです。
緊急事態宣言も、この100%雨を降らす祈祷師と同じではないでしょうか。
陽性者数が減るまで、ただ人の流れを抑えているだけ。その効果があろうとなかろうと、やがては感染拡大は収まり、陽性者数が減少し始めます。
100%雨を降らす祈祷師も、緊急事態宣言も、別の方法と比較して、その効果を検証しようとしていません。祈らずとも、そのうち雨が降るのと同じで、動かなくとも、そのうち感染拡大は止まります。
緊急事態宣言なんて、1週間やれば、効果の測定ができます。
1週間、人の流れを止め、その後はこれまで通りの生活に戻します。すると、効果があれば、次の1週間で陽性者数が減り始めます。
例えば、4月1日から7日まで緊急事態宣言を出し、4月8日から14日までは元の生活に戻すとともに陽性者数が減るかどうかを確かめます。陽性者数が減れば効果があったと推測できます。反対に増えたり変化がなければ効果がなかったと考えられます。
陽性者が減るまで緊急事態宣言を続けるのは、100%雨を降らす祈祷師と同じで、効果を確認することなんてできません。