緊急事態宣言の解除まであと1週間ほどになりました。街中を見ると、すでに人が活発に動き出しており、緊急事態宣言が解除されたかのように思えてしまいますが、飲食店は休業が目立ちますね。特にお酒を提供しているお店は、昼の営業もしていません。
10月に入れば、このような景色も見られなくなると思いますが、再び緊急事態宣言が出る可能性もあります。緊急事態宣言とは関係なく陽性者が減っているのですから、人の動きを抑えることは感染拡大防止に大して貢献していないことに気付いてほしいものです。
新規陽性者数の増加の内訳
1月13日から9月24日までの陽性者の増加数を確認していきましょう。なお、データは、大阪府の「新型コロナウイルス感染症患者の発生状況について」のページから取得しています。
まずは、新型コロナウィルスの経路別の陽性者増加表を確認します。
陽性者数が減り続けているので、全体的に大きな変動がありません。
年代別の陽性者増加表です。
こちらも、大きく増加しなくなっていますが、20代が4万人を超えました。
1月13日から9月24日までの新規陽性者の推移です。
前回の記事で予想した通り、9月24日に新規陽性者数が300人を下回りました。23日が祝日だったので24日の集計が少なくなっていることも理由だと思いますが、それでも、この1週間で陽性者数が大幅に減少していますから、コロナウィルスの勢いは時間の経過とともに弱くなっているのがわかります。
気候的に過ごしやすい時期になっているので、体調を崩す人が少なくなり、それで感染しにくくなっていることも考えられます。
検査数の推移です。
今週は、シルバーウィークということもあり、全体的に検査数が少なめでした。
陽性者の減少は、検査数が少なくなっていることだと考える人もいると思いますが、陽性率も下がっているので、そのようなことはありません。
その陽性率(1週間平均)の推移です。
9月24日は、4%を下回りました。これは、5月20日頃と同じ水準です。9月いっぱいは、順調に陽性率が下がり続けることでしょう。
経路別と年代別の陽性者の推移
次に経路別と年代別の陽性者の推移を確認します。
まずは、経路別の陽性者の推移です。
あれだけ多かった感染経路不明が一気に少なくなりました。大阪府では、感染経路不明が非常に多かったですが、現在はかなり減り、新型コロナウィルスの影しか見ない状況になりつつあります。
上のグラフから、医療機関、施設、「他」を取り出したのが以下のグラフです。
医療機関と施設は、もうほとんど陽性者が出なくなっています。
職場や学校が含まれる「他」も、順調に減少しています。2学期が始まると感染が拡大するのではないかと言われていましたが、まったくそのようなことはありませんでした。ここからも、人の動きと感染拡大との間に明確な相関関係がないことがわかります。
感染が拡大する原因は、もっと他の所にあると考えるべきですね。感染の拡大と縮小は、人間側の問題ではなさそうですけど。
こちらは、年代別の陽性者の推移です。
あれだけ多かった20代以下の陽性者数が9月に入ってから急落しています。30~50代も同じように急落しています。
60歳以上は、増えるのも緩やかなら、減るのも緩やかです。高齢者のワクチン接種が進んだことで、高齢者の感染がかなり低い水準で抑えられているのがわかります。デルタ株にもワクチンが有効だと考えて良いでしょう。
上のグラフから60歳以上を取り出したのが以下のグラフです。
一時期は60代の陽性者が多かったですが、今は他の世代とほとんど変わらなくなっています。
年代別の陽性者の累計です。
60歳以上がほとんど増えなくなり、そのほかの世代との差が広がっています。
重症者の状況
重症者の状況も確認しておきましょう。
1月13日から9月24日までの重症者残留数の推移です。
9月10日頃をピークに順調に減少しています。
前回の記事では、9月24日に150人程度まで減るだろうと予想しましたが、170人を下回るところまでしか減りませんでした。意外と重症解除に時間がかかっているようです。
それでも、重症者残留数は順調に減っていますから、心配することはないでしょう。今月中に100人を切るところまで減少するでしょうか。
3月24日から9月24日までの重症者回転期間の推移です。
回転期間が10日を下回りました。
今いる重症者が、10日後にはゼロになる計算です。でも、新規の重症者も発生しますから、10日後に重症者残留数がゼロになっていることはまずありません。
それでも、回転期間が短縮しているのは、順調に回復している人が増えていることを意味していますから良いことです。
死亡者の状況
死亡者の状況も見ておきます。
1月13日から9月24日までの毎日の死亡者数です。
少しずつ死亡者数が減っているのがわかります。1日に10人以上の死亡の報告もなくなっています。
1月13日から9月24日までの死亡者数は2,252人です。その内訳は以下の通りです。
10代が1人、20代が1人、30代が10人、40代が34人、50代が99人です。
下は、1月13日以降のコロナ陽性者の重症化率と推定生存率の表です。
6月30日までは、デルタ株の影響がほとんどなかった時期です。7月1日以降、デルタ株の割合が高まってきましたが、重症化率は、6月30日以前よりも7月1日以降の方が低くなっています。70歳以上はワクチンの効果で重症化率が下がっていると考えられますが、それ以外の世代もワクチン接種が進んでいないにもかかわらず、重症化率が下がっています。
これは、デルタ株が弱毒化しているということでしょう。
また、推定生存率も6月30日以前より7月1日以降の方が高くなっていますから、ここからもデルタ株が弱毒化していることがうかがえます。
そのデルタ株も、最近は勢いを失ってきているので、恐れるほどのウィルスではなくなっています。
今は、50代の重症者数の割合が高いので、犠牲者を効果的に減らすためには、この世代に早くワクチンを接種することが大切です。重症化率は20代の36倍ですから、50代1人にワクチンを打つのと、20代36人にワクチンを打つのは、重症者を減らす効果は同じです。
それなら、50代から優先的にワクチンを打った方が良いですよね。