ヤケドの応急処置にラップを貼るのは当たり前だろうに

先日、テレビの健康番組を見ていたら、ヤケドの応急処置の仕方について説明していました。

その内容が、あまりにもひどく、いまだにこんなことをしているお医者さんがいるのかと驚きました。放送していたテレビ局から想像すると、番組で説明していた内容がお医者さんの間では常識となっているのでしょうね。

ヤケドしたら乾燥させない

まず、当たり前の知識として、ヤケドやすりむき傷は、消毒も乾燥もさせてはいけません。これは、形成外科医の夏井睦先生のウェブサイトで解説されています。

傷を乾燥させない手段として、誰でも簡単にできるのは、ラップを貼ることです。ヤケドもすりむき傷も、乾燥させず保湿しておけば治っていきます。さすがに大きなヤケドの場合は、お医者さんに治療してもらう必要がありますが、とりあえず、お医者さんに診てもらうまでは、ラップを貼って乾燥を防ぐことが大切です。

ヤケドをした場合、どのお医者さんに診てもらっても良いわけではありません。なつい式湿潤療法でやけどを治療している医療機関を調べてから受診しましょう。

ヤケドをしたら洗うように解説していた

冒頭のテレビ番組の内容に戻ると、ヤケドをした場合にやってはいけないことが紹介されていました。それは以下の通りです。

  • 水泡膜を破るのは×
  • ラップを貼って保湿するのは×
  • ワセリンを塗るのは△

これ、言っていることが全部真逆です。ヤケドをした時にできる水膨れ(水泡膜)は全部除去しなければなりません。そうしないと細菌に増殖する場を与えてしまうからです。

水泡膜を全部除去した後は、ヤケドした部分にラップを貼って保湿します。ラップを貼っておけば、酸素が遮断されるので、細菌の増殖も抑えられます。

ワセリンも乾燥を防ぐことができるので、使ったらいけないわけではありません。

ヤケドの治療についても、夏井先生のウェブサイトで、フローチャートを使って手順が紹介されています。

上のフローチャートの下の説明に「創周囲の皮膚を十分に洗うが,創面は洗う必要はない。石鹸洗浄は不要。」と記載されています。ところが、先ほどの番組では、ヤケドしたら、しっかり洗うように説明していました。

もう、何もかもが真逆です。ヤケドを悪化させるようなことばかりで、まったく参考になりません。

ヤケドした時は、ラップを貼って応急処置し、なつい式湿潤療法で治療を行っている医療機関が近所にあるか探して受診しましょう。

参考文献